第42話:Christmas event
先程、東都でパートで事件が起こった。
女性がナイフを胸に突き立てて死亡している、というものだ。
少年探偵団の一行は事件を目撃したお客さん達から話しを聞いて回っていたが、有力な情報は何一つ得られていない。
「あれ、そう言えば江戸川さんは?」
美幸が自分たちの所に居ない事に気付いた吉田 歩美が不意に訊ねた。
皆が辺りを見回し、円谷 光彦が答える。
「そう言えば居ませんね。先刻までは居たんですけど」
「チクショー、あの生意気な女も抜け駆けかよ!?」と小嶋 元太。
「誰が生意気な女ですって?」
その問いに元太が驚いて後ろを振り向くと、江戸川 美幸が腕を組んで仁王立ちしていた。
「全く、何処に行ってたのよ?」
灰原 哀がそう訊ねると、美幸が仁王立ちを解いて満面の笑みで答える。
「いやね、あの刑事がどうも気になったから探ってたのよ。そしたら驚いた事に、何とそいつは偽刑事だったのさ」
「「「偽刑事!?」」」
と光彦以外が驚いて声を合わせる。
「あれ、雀斑は・・・っ!」
何かに気付いた美幸は「一寸来て!」と光彦の手を掴み、人気の無い所へと連れ込んだ。
「何ですか、江戸川さん?」
「あんた、何で驚かないの?」
「そ、それは・・・」
「ひょっとして何か知ってるんでしょ?あの刑事連れて来たのあんただから」
「はい。実は──」
光彦はあの刑事が偽物である事を話し、先程の事件がクリスマス用のイベントである事を美幸に教えた。
「クリスマスイベント!?でも、遺体に触った時、冷たかったし、脈も無かったわよ?」
「え、そうなんですか?」
「あー、解んない!」
美幸は訳が解らず両手で頭を掻いた。
その直後、三人が二人の下にやって来た。
「二人で何やってるの?」
歩美が疑問の表情で二人に訊ねた。
「何もしてないよ。じゃ、私はもうちょっと調べるから」
美幸はそう言って去って行こうとしたが、元太が項を掴んで引き留めた。
「何すんのよ?」
と振り向き様に元太を睨む美幸。
「抜け駆けは許さねえぜ」
「何の話しよ?事件の捜査の手伝いがしたいって言うなら却下よ。そもそもこれは事件じゃないし」
「どう言う事だ?」
「雀斑に聞け。じゃあな」
美幸は元太の腕を振り払って去って行った。
「光彦、どう言う事なんだ?」
元太に訊ねられた光彦は、美幸に伝えた事を話した。
「何だ、事件じゃないのかよ」
元太はすっかり落ち込んで肩を竦めた。
「事件じゃないなら、探偵団は用無しね。帰りましょ」
そう言って一人去って行く灰原。
「あ、待ってよ哀ちゃん」
「一寸待って下さいよ」
「待てよ灰原」
と三人が後を追う。
一方、美幸はデパート内の医務室に来ていた。
そこのベッドには先程の女性が横たわっている。
胸には心臓まで達した穴が一つ開いており、目は大きく開いていた。
(やっぱ死んでるよな)
美幸は女性の手首に触れるとそう思った。
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