第33話:新たなる被害者
雨上がりの午後。
米花公園に、一人の少女が頭から血を流して倒れている女の前に立っていた。
名は天道 未来。北の国、北海道から東京に引っ越して来た高校生探偵である。
彼女は東の工藤、西の服部、北の天道とよく騒がれたものだ。
その少女の傍に、拳銃を構えた太っている男ウォッカと、平気で何人もの人間を殺して来た様な目をしたジンが彼女を見下す様に立っていた。
「悪いな嬢ちゃん。此処を見られたからには、生きては帰せねえ」
ウォッカはそう言って、引き金を引いた。
パアンッ!──銃声が鳴り響き、銃口から一発の弾丸が物凄い速度で飛び出す。
しかし、未来は慌てる様子も無く、また焦る事も無く、飛んで来る弾丸をセロバウアー(マトリックス避け)の如く、体を後ろへ反らして見事にかわした。
チッ!──と、ウォッカは舌打ちをし、もう一発放とうと引き金を引こうとした。
「待て」
ジンはそう言って彼の拳銃を下ろした。
「こいつにはこの新製品の毒薬を使おう」
と、懐から妙なケースを出した。
ボグッ!──ジンは未来の腹を思いっ切り殴って気絶させた。
「あ、兄貴それは!?」
「ああ、この間あのお方から直々に頂いたAPTX556だ。前のは成人した者が幼児化すると言う欠点があったがこいつは違う。服用した者の体をジワジワと蝕み、やがて死に至らしめる。死亡後には毒物反応は一切検出されないと言う毒薬」
「それじゃあ前とあまり変わってない様な・・・」
「五月蠅い!」
と、ジンはウォッカに怒鳴り散らし、ケースを開けて中からカプセルを取り出した。
ジンはそのカプセルを気絶している未来の口に放り込むと、彼女に水を一口飲ませた。
その直後、パトカーのサイレンが聞こえて来た。
「サツだ、ずらかるぞ」
ジンはそう口にすると、ウォッカと共にその場を去って行った。
ゴト──ジンがウォッカの持っていた拳銃を、指紋を拭き取って未来の前に投げ捨てた。
(やられた!このままだと私が犯人にされてしまう!けどさ一体どうしたら!?)
考えていても埒があかないと思った未来は、取り敢えずその場から逃げようとした。
が、体が全く言う事を利かない。それどころか、体中を何かがジワジワと蝕み始めた。
『服用した者の体をジワジワと蝕み、やがて死に至らしめる』
未来の頭にジンの言葉が蘇った。
(私、死ぬのね・・・)
未来は苦笑すると、そっと目を閉じた。
すると、未来の無事を確認すかの様に、誰かが声を掛けて来た。
「しっかりしろ、大丈夫か!?」
(誰?)
未来は思った。
「聞こえたら目を開けるんだ!」
(私死んでるから無理だべさ)
未来はそう思いつつ、目を開けてみた。
(いっ、生きてるっ!?私生きてるっ!?)
驚いた未来は、そのまま起き上がってみた。
(そうか、あの薬効かなかったんだ?)
「君、早速で悪いけど、此処で何があったか話せる?」
その問いに、未来は辺りを見回した。
周囲には刑事、警官が沢山いた。
(こ、この状況じゃたいしたじゃないけどさ逃げられないわね。それに、あの事正直にぬかしても信じてはくれないんだべし)
そう思った未来は、横にいた警官に両手を差し出した?
警官は頭に?を浮かべた。
「私がやったべ。逮捕して欲しいっしょ」
未来のその発言に、警官は軽く笑った。
「君、大人をからかっちゃいけないよ?君はまだ小さいじゃないか。君みたいな小さな子供が、拳銃を撃てるのかい?」
「な、何ぬかしてるんですか!?私は子供じゃないっしょ!拳銃だって撃てます!」
「プッ、犯人に頭でも殴られて混乱してるのかな?君はどう見ても小学生だよ?」
(え?)
何が何だか解らなくなった未来は、突然走り出した。
「ちょっ、君!」
しかし、警官の言葉は既に届かない。
「はぁ・・・はぁ・・・」
と、息を切らしながら街中を走り回る未来。
行き交う人々は、彼女の服装を見て笑い出す。
が、そんなのはお構い無しだ。
(鏡、鏡は何処?)
未来は走りながら辺りを見回す。
すると、ポアロと書かれた店のショーウィンドウを見付けた。
未来はそこまで駆け寄ると、ガラスに反射する自分の体を確認した。
(かっ、体が縮んでるべっ!?)
未来は驚き、腰を抜かした。
(な・・・何で?)
と、その時、学校帰りのメガネの男の子が通り掛かった。コナンである。
「君、どうしたの?」
すると、未来は突然泣き出し、コナンに抱き付いた。
「私の体が小さくなっちゃったのよ!子供の君にぬかしても仕方ないんだべけどさ本当なの!」
それを聞いたコナンは、険しい表情で聞いた。
「今何て言ったのっ!?」
「したから、体が縮んだって」
「何だってっ!?
それで、体が縮む前、黒ずくめの男に変な薬とか飲まされたりしなかったっ!?」
「うん、した。って、何で解るのっ!?」
そう驚く未来に、コナンは自分の身に起きた事を話した。
(へぇ、私以外にも似た境遇の人がいたのね。ちょびっと安心したわ)
「兎に角そう言う事だから、ちょっと一緒に来て」
「えっ、何処に?」
「こっち!」
と、コナンは未来の手を取って阿笠邸まで引っ張って行った。
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