第32話:小龍、灰原になるぅ?
「はぁ、やっと完成したわ」
そう異様な液体を睨みながら言ったのは灰原だ。
(取り敢えず、これを飲めば工藤君は元に戻る筈・・・)
心でそう呟いた灰原は、その異様な液体を持って上に上がった。
「何じゃその異様な液体は?」
そう聞いてきたのは阿笠博士だ。
「ああ、これは工藤君に飲ませる解毒剤よ。じゃ、ちょっと出て来るわね」
灰原はそう言うと、阿笠邸を出て行った。
(暇だし、コナンの所にでも行くか)
そう思ったのは、空き地で横になっている小龍だ。
「よし!」
と、小龍は立ち上がり、毛利探偵事務所に向かった。
その途中、角から出て来た灰原と、小龍はぶつかってしまった。
「あっ、解毒剤が!」
その瞬間、異様な液体の入った小瓶が宙を舞った。
ガッシャンッ!──その小瓶は地面に落下し、割れて中身が飛び出した。その飛び出した異様な液体は、小龍と灰原に掛かった。
シュポッ!──灰原と小龍から何かが抜ける音がした。
すると二人は気を失い、その場に倒れてしまった。
それから灰原が目覚めたのは数分後の事だった。
(何が起こったんだ?)
と、灰原は蹌踉めきながら立ち上がった。
(確か、コナンの所へ行こうとしてて・・・)
と、灰原はゆっくり歩き出した。
向かった先は毛利探偵事務所。
やがて、灰原はポアロの前までやって来た。そのポアロのショーウィンドウに写った自分の姿を見た灰原は、かなり驚いた。
「なっ、何だよこれっ!?」
灰原は自分の手で、顔、胸、アソコを触ってみた。
(なっ、無いっ!
僕って女だったのかぁっ!)
灰原は顔を真っ青にして座り込んだ。
(ぼ、僕、自分がずっと男だと、思っていた・・・。でも・・・、本当は違ってたんだね)
と、灰原は心の中で物凄い勘違いをしていた。
「灰原じゃねぇか。こんな所で何してんだ?」
そう声を掛けて来たのは、毛利探偵事務所に居候しているコナンだった。
(は、灰原!?灰原ってこの間あいつらといたっ!?
解ったぞ!僕は今その灰原って子なんだ!でも何でそんな事に?
いや、兎に角今は、僕が小龍である事を悟られない様にしなくては!)
「あ、あら江戸川君?な、何か用かしら?」
灰原は妙に焦りながら訊いた。
「いや、何やってんのかなって思って」
「あ、いや、その・・・貴方に言いたい事があったのよ。明日の午前9時、米花駅で待ってるから!」
そう言うと灰原は、慌ててその場を離れた。
(僕のバカッ、何言ってんだっ!?
でも、何とか誤魔化せたから良いか)
「全く、何なのよ!?」
少し怒り気味の小龍はゆっくり立ち上がった。
「あっ、解毒剤が!
って、私こんな声だっけ?」
小龍は恐る恐る股を触った。
その瞬間、小龍は一気に青ざめた。
「嫌ああああっ!」
小龍は雄叫びの様な悲鳴をあげた。
(まっ、また男だわっ!)
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