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名探偵コナン
作:Daisy Katsura



第25話:推理クイーン霧崎 綾


ウオォーン!
と、パトカーのサイレン。
それに紛れて、光彦が戻って来た。
その後ろに、高木 渉刑事と佐藤 美和子刑事もいる。目暮 十三警部は来ていなかった。
「一応確認するけど、第一発見者は君達かい?」
その問いに、元太、光彦、あゆみが頷く。
「高木君!」
彼を呼んだのは、遺体を見つめてる美和子だ。
高木は彼女の下に向かう。
「これ、気にならない?」
「何がです?」
「15年前、この場所で起きた事件と似ている──そう言いたいんですよね?」
そう言ったのは、謎の女子高生、綾だ。
が、それより謎なのは、彼女が工藤 新一の声で喋っている事だ。
(何で?)
と、謎に包まれる灰原。
高木は驚いて、
「えっ、工藤君っ?」
と、後ろを振り返った。
が、そこにいるのは、新一では無く、綾である。
「君は?」
高木の問いに、
「こう言う者です。」
と、名刺を出して渡す綾。
高木はそれを受けとると、
「探偵か・・・。」
そう呟いて、それを大事そうにしまった。
「退いて下さーい。」
そう言って、鑑識さん達がやって来る。
すると綾が、死因や殺害状況を話始めた。
それは、灰原の推理通りで、筋が通っていた。
「成る程・・・──高木君、周辺で怪しい人物が目撃されていないか、聞き込みをして来て頂戴(ちょうだい)。」
そう言ったのは、美和子だ。
「解りました!」
高木はそう返事をして、走り去って行った。
それと入れ替わりに、数人の男女がやって来る。
そいつらは、
「何だ?」
と、keep outと書かれた黄色いテープが張られた現場を覗く。
「木村?
あれ、木村じゃないか?」
そう言ったのは、眼鏡を掛けた若い男性だ。
美和子はその彼に、
「被害者の知り合いですか?」
と、警察手帳を見せながら聞いた。
「さあ?
近くで見ないと判らないなあ。」
「じゃあ、入って良いから、確認お願い。」
そう言って、テープを持ち上げる美和子。
彼等はそれを(くぐ)ると、仏さんの顔を確認した。
「木村っ、どうしてこんな・・・。」
そう言ったのは、もう一人の若い男性だ。
「木村っ、どうして殺されたんだっ?」
と、先程の眼鏡。
その後ろで、二人の女性が泣き出した。
この二人からは、話は聞けないだろう。
「あの、<木村>と言うのは?」
そう聞くのは、自称探偵の綾だ。
「友達だよ。」
「俺達、大学が一緒なんだ。」
(成る程。)
と、心の中で呟く灰原。
「所で、貴殿方(あなたがた)のお名前は?」
と、綾が訊ねると、
「西宮 光一。」
と眼鏡が名乗り、
冴京谷(ごきょうや) 拓海(たくみ)。」
と、男が名乗った。
「で、あいつらが、右から中村 (ゆい)、西村 亜季(あき)だ。」
と、泣いてる二人の女性を示す冴京谷。
綾はその女性達をチラッと見ると、彼等の方を向いた。
「──それで、木村はいつ殺されたんだ?」
そう聞くのは、やはり西宮だ。
「今から1〜2時半間程前よ。」
綾はそう答え、
「西宮さん──貴方はその頃、どこで何を?」
と、聞いた。
「なあ、それって西を疑ってるのか?」
と、冴京谷。
「とんでも無い。捜査の一貫(いっかん)ですよ。」
綾はそう言って、
「そうですよね?」
と、美和子の方を振り向いた。
その問いに、美和子は黙って頷いた。
「だったら、西は違うぜ。
その時、俺と一緒だったからな。」
(と言う事は、シロか・・・。)
と、心の中で呟く綾。
それと同時に、一瞬だけニヤっと笑う灰原。
パシュッ!
灰原の腕時計から、麻酔針が綾に向かって飛んだ。
チクッ!
麻酔針が首に当たった瞬間、
「ふぎゃっ?」
と、奇声を発しながら、壁に寄り掛かる様に座り、深い眠りに就いた。
「ちょっとどうしたのっ?」
と、美和子が駆け寄る。
「犯人が解ったんですよ。」
そう言ったのは、変声機で綾の声を出した灰原だ。
「それって本当かっ?」
冴京谷はそう聞く。
「冴京谷さん、黙ってて下さる?
──さて、西宮さん。」
「何だい?」
「木村っ、どうして殺されたんだっ?──貴方はどうして、被害者が殺された事を知っていたのですか?」
「何故って、そりゃあ、誰だってあの状況なら、そう思うんじゃないかな。」
「いいえ。普通なら、それは考えられません。
何故なら、こう言うからです。
どうして死んだんだっ?――とね。」
「それって、俺を疑ってるって事?」
「それしか無いんですよ。」
ちょっと待って――と、冴京谷が言う。
「さっき言ったよな?
俺達、木村が殺された時、一緒にいたって。」
「確かに・・・――そう聞きましたが、何処にいたかは聞いていません。
あの時、あなた方は何処にいたんですか?」
「近くの公園にいたよ・・・なあ、亜紀?」
冴京谷の問いに、西村は頷く。
「その時、トイレに立ったりした者は?」
「いなかったぜ。」
「――と言う事は、全員一緒だった。――そう言う事になりますね。」
「それってまさかっ?」
と、美和子が口を挟む。
「そのまさか・・・――この四人は一緒に、現場にいたんですよ。」
綾のその発言に、西宮、冴京谷、中村、西村の四人は、その場に膝を落とした。
「どなたが、主犯ですか?――と言っても、西宮さんしかいない。私はそう思いますがね。」
「ああ、そうだよ。
あれは15年前の事だ。」
そう言って、西宮は15年前の事を話し始めた。

――15年前――

午前0時頃、一人の女性が歩いていた。
女性は「はあ」と溜め息を吐き、
「また彼氏いなくなっちゃった。」
と呟いた。
女性は酷く落ち込んでいた。
そんな女性の前に、ニット帽を被り、サングラスとマスクをした男が現れた。
そいつは、刃物を持っていた。
殺意に満ちた感じだ。
女性は足を止めると、
「きゃああああ!」
悲鳴をあげて逃げ出した。
しかし男は、何処までも追い掛けて来る。
女性は必死に逃げる。
(あそこの角を曲がろう!)
そう思った女性は、狭い路地に入り込んだ。
が、世の中そんなに甘くない。
女性が曲がった先は行き止まり。後ろには、さっきの男が立っている。
男は段々と女性に近付いて行き、
「死ねぇ!」
と叫んで、女性の胸に刃渡り10センチ程の刃物を、躊躇(ためら)いも無く突き刺した。
グサッと言う音と共に、女性の胸から血が勢いよく吹き出る。
女性は意識を失い、その場に倒れる。

――現在――

「成る程・・・――その時の犯人が今回の被害者。――そう言う訳ですか。
しかし・・・――だからって、人を殺しても良いとは、言えませんね。」
「刑事さんっ、こいつらはどうなるんだっ?」
西宮は美和子にそう聞いた。
勿論、<こいつら>と言うのは、冴京谷、中村、西村の三人だ。
「署で詳しい事情を聞いた後、釈放と言う形になります。」
美和子はそう言った。
それから暫くして、高木が戻って来た。
美和子はそんな高木に、
「遅い!」
の一言。
「もう事件は解決しちゃったわよ!」
「えっ?」
「『えっ?』じゃないわよっ、『えっ?』じゃ!」

「ふぅ〜。」
と、灰原はため息を吐き、
(終わったあ。)
と、額の汗を腕で拭いながら、心の中で呟いた。
「成る程、このネクタイで声を出してたって訳だな。」
突然、背後から元太の声が聞こえた。
(まずっ、バレたかっ?)
と、恐る恐る振り向く灰原。
が、そこにいたのは、元太では無く、自称探偵の綾だった。
しかも何気に、灰原の蝶ネクタイ型変声機をいじくり回して遊んでいる。
「それ返して!」
と、変声機を奪う灰原。
「で、何時から起きてたの?」
「『さて、西宮さん』って所から。」
「要するに、全部じゃねえか。」
「そゆ事。」
「それより、貴女は犯人気付いてたの?」
その問いに綾は、
「内緒よ。」
と、灰原の声で言った。
どうやらこいつ、悪戯(いたずら)が過ぎるみたいだ。












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