第11話:米花中央病院殺人事件!(前編)
スーピー、スーピー。
灰原が病室で静かに眠っている頃。ナースステーションでは、二人のナースが夜勤をしていた。
「ねぇ、麻衣子。」
一人のナースが、机に向かって書類を整理しているもう一人のナースに声を掛けた。
「何、葉子?」
麻衣子は書類を整理しながら返事をした。
「外科の中村先生の事なんだけど・・・。」
麻衣子は、葉子の言葉を静かに聞いた。
「え!?」
麻衣子は葉子の言葉に驚いた。
「そんな、中村先生が!?」
麻衣子は、信じられない、と言う顔で聞いた。
翌朝、灰原は、病院内の慌ただしさで目を覚ました。
「(朝っぱらからうるさいわね。)」
そう思いながら、瞼を擦る灰原。
「痛っ。」
灰原は自分の怪我の痛みに耐えかねて声を出した。その時。
「キャー!」
病院内に、女性のかん高い悲鳴が響いた。
「(な、何っ?)」
灰原は、ベッドから降りると、松葉杖を付き、点滴が繋がった棒を転がし、悲鳴の下へ駆け付けた。
一人のナースが、中村と書かれた部屋の前で腰を抜かしていると、灰原が駆け付けて来た。
「何があったの?」
「あ、あ、あれ・・・。」
ナースは幽霊でも見た顔で、部屋の中を指差した。
灰原は部屋の中を覗いた。するとそこには、先日、灰原を担当したDoctorが首を吊って死んでいた。
灰原はナースに、
「警察に電話を。」
そう言うと、部屋の中へと入って行った。
室内には、荒らされた後があり、書類等が散らばっていた。
「(自殺かしら・・・。いや、それにしては、おかしい。)」
灰原は、首を吊った時に使った、椅子がその場に立っている事に気が付いた。普通、自殺をする人は、椅子を蹴り飛ばす筈。なのに、椅子は立っている。これが自殺だと考えるとおかしいのだ。
と言う事は、他殺?
灰原の頭には、「他殺」と言う文字が浮かんでいた。
あれから少し経った頃、刑事や警官、鑑識さん達が、現場へゾロゾロとやって来た。
「警視庁の目暮です。」
そう言って、小太りで丸顔のチョビ髭を生やしたオジサンが、警察手帳をナースに見せた。その手帳には、「捜査一課 目暮 十三警部殿」と書かれている。
「第一発見者の方ですか?」
「ええ。」
ナースは覚束ない様子で頷いた。
「遺体には誰も触れてませんでしょうな?」
「それが・・・さっきから妙な女の子が・・・。」
ナースは灰原を指差した。
目暮警部は、ムスッとした顔で現場へと入って行った。
「君、勝手に現場へ入っちゃ困るよ。」
目暮はそう言うと、灰原を摘み出した。
「ウーム。自殺か・・・。」
目暮は現場を一通り見るとそう呟いた。
「自殺じゃないよ。」
灰原が目暮に言った。
「また君かね。」
目暮は振り向き様にそう言い、
「自殺じゃないってどうして解るんだね?」
と聞いた。
「見て下さい。あの椅子・・・。」
灰原は椅子を指差した。
「この椅子がどうかしたのかね?」
目暮は立っている椅子を見て言った。
「普通、自殺する人なら、椅子を倒す筈よ。」
灰原はそう言った。
目暮は、ポンッと手を叩き、
「なるほど。」
と納得をした。
「って、子供が事件に首を突っ込むんじゃないよ。」
目暮は灰原をジッと見つめた。
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