俺は高校生探偵、工藤 新一。
昨日、ロス行きの旅客機の中で初めて事件を解決したばかりだ。
日本時間PM9:00。(アメリカ時間ではAM7:00)
旅客機が着陸を開始する。
目暮:「それじゃ、わしらはこの殺人犯を日本へ連れて帰るんでな。
機会が有ったらまた会おう。」
待て待て。
お前ら凶悪犯を追っているんじゃなかったのか!?
まぁ、俺にとっちゃどうでも良いけど・・・。
それに、俺は殺人事件や暗号以外には興味が無い。
蘭:「新一、何やってるの?
さっさと行くわよ。」
新一:「あ、うん。」
俺たちは旅客機を後にした・・・。
蘭:「それにしても驚いたわよ。
まさか、新一が難事件をあっさり解いちゃうなんて。
もし、私が事件に巻き込まれたら、新一に解いて貰うかな。」
新一:「おいおい、演技でも無え事言うなよ。
それに、ああ言う事件なんて滅多に起こらねーよ。」
と、その時だった。
「キャー!」と言う女性の悲鳴が聞こえた。
俺は、悲鳴の聞こえた方へと駆けつけた。
それに続き、蘭も「待て」と言わんばかりに付いて来た。
新一:「What was there?(何があったんですか?)」
と、俺は英語で訪ねた。
理由は、悲鳴の主がアメリカ人だったからだ。
女性は、指を差しながら「A person is dead(人が死んでいます)」と答えた。
俺は、女性が指を差した方を見た。
すると、首を吊った女性の身体が目に飛び込んだ。
蘭:「いやー!」
蘭が遺体を見て悲鳴を上げた。
すると、一人の男が入って来た。
この従業員専用の女子トイレに・・・。
目暮:「警察です、何があったんだね?」
目暮警部!?
帰ったんじゃなかったのか?
目暮:「おや、工藤君に蘭君では無いかね。
こんな所で何をやっているんだね。
それと、工藤君。
此処は女子トイレだぞ。」
お前もだよ、目暮・・・。
そう思いつつ、俺は此処で何があったかを目暮警部に話した。
目暮:「成るほど。
それで君は、悲鳴が聞こえたので、何だろうと来たら女性が首を吊って亡くなっていたと言う訳だな。
よし、高木君はフロントに行ってこの事を伝えて来てくれ。」
そう言うと、高木刑事はフロントへ駆けて行った。
目暮:「で、君が第一発見者かね?」
女性:「・・・・・・。」
返事が無い。
それはそうだ。
女性は日本人では無いのだから・・。
新一:「Is the first finder you?(第一発見者は貴方ですか?)」
女性:「Yes, so.(はい、そうです。)」
目暮:「・・・で、工藤君、何と言っているんだね?」
新一:「彼女が第一発見者です。」
目暮:「そうか・・・。
では、貴方のお名前を教えて下さい。」
新一:「What your name?(貴方のお名前は何ですか?)」
クリス:「My name is Chris Marti.(私は、クリス マーティです。)」
新一:「クリス・マーティだそうです。」
目暮:「うむ。
クリスさん、被害者の事は知っていますか?」
新一:「Miss Chris, do you know a victim?(クリスさん、貴方は被害者と面識はありますか?)」
クリス:「Yes, I know it.(はい、知っています。)」
新一:「Please teach a name of a victim.(被害者のお名前を教えて下さい。)」
クリス:「She is Asami Sugo.(彼女は、須郷 麻美です。)」
日本人か・・・。
目暮:「で、彼女は何と言っているんだね?」
新一:「クリスさんは、被害者と面識があるそうです。
因みに、被害者の名前は須郷 麻美。
名前からして日本人でしょう。」
目暮:「成るほど。
では、被害者とはどんな関係なのかを聞いてくれるかね?」
新一:「With a victim, what kind of relations?(被害者と、どんな関係ですか?)」
クリス:「She is my friend. (彼女は私の友達です。)」
新一:「被害者とは友人だそうです。」
目暮:「他に何か気づいた事は?」
新一:「Have noticed elsewhere?(他に気づいた事はありますか?)」
クリス:「No.(いいえ。)」
目暮:「犯人の手がかり無しか・・・。」
確かに、現時点では、犯人に結びつく手がかりは一切無い。
高木刑事:「警部、ロサンゼルスの警察を連れて来ました。」
そう言うと、高木刑事の後から、一人の可愛い女性が現れた。
彼女がロス警察の人だろう。
クリスティー:「Los Angeles Police of, Christie Midoriyama.(ロス警察の、クリスティー 緑山です。)」
緑山と言う事は、ハーフなのだろうか?
クリスティー:「あ、すいません。
日本語の方が宜しかったでしょうか?」
やはりハーフか・・・。
しかも、上手だ。
クリスティー:「それで、第一発見者は?」
俺は、クリスティーに第一発見者の事を話した。
クリスティー:「解りました。
では、被害者のお名前を教えて下さい。」
俺は、クリスティーに被害者の名前を教えた。
クリスティー:「え、麻美が事件の被害者!?」
ん、彼女は被害者と面識があるのか?
ちょっと調べてみるか・・・。
新一:「あの、被害者と面識があるのですか?」
クリスティー:「はい、麻美は、私の友人です。
実は、今日・・・麻美は旅客機ガイドの仕事で、こちらへ来ると言っていました。
その時、私に会いに来ると言うので、待っていたんですが・・・。
まさか、こんな事になるなんて・・・。」
と、クリスティーは涙を流す。
目暮:「緑山さん、この件、貴方には荷が重すぎる。
降りてくれないか?
それに、被害者と顔見知りの様ですし・・・。」
クリスティー:「いいえ、降りません。
この件、私にやらせて下さい!」
目暮:「だが、被害者が知人だとやりづらいでしょ。
それに、我々警察でも、被害者が知人だった場合、捜査の参加をお勧めしていない。」
新一:「それって、日本だけでは?
そんな事より、犯人の事は良いんですか?」
目暮:「それなら、先にこっちへ来ていた、刑事に頼んで日本へ連れて帰って貰ったよ。
で、工藤君。」
新一:「はい?」
目暮:「被害者の死亡推定時刻は調べてあるのかね?」
新一:「日本時間のPM9:00です。」
目暮:「我々がこっちへ来た時と同じか・・・。」
蘭:「ちょっと待って。
新一、あんた遺体には触れて無いわよね?
それなのに、どうして死亡推定時刻が解ったの?」
目暮:「え、触れてない?
どういう事だね?
まさか、まだ調べてなかったのかね?」
新一:「あ、いや、あの時、遺体が揺れていたんですよ。
それで、遺体の揺れ具合で時刻を割り出したんですよ。」
本当にそんな事が出来るのかは不明だが、それは置いておこう。
目暮:「で、死因は首吊りで間違い無いのかね?」
新一:「ええ、首回りに索状痕がありましたので。」
目暮:「待ち賜え、君の言ってる事には何の根拠も無い。
先ほど、蘭君が遺体には触れていないと言った。
触れもせずに死亡推定時刻は割り出せたとしても、索状痕は良く見ないと解らないでは無いかね?」
新一:「あ、いや、チラっと見えたんですよ。
絞殺時に残る首回りにある独特の痣がね・・・。」
ったく、洞察力が低くて探偵が勤まるかよ。
目暮:「それじゃ、高木君。
遺体を降ろすのを手伝ってくれ。」
高木刑事は、目暮警部と遺体を降ろした。
そして、被害者の遺留品を調べ始めた。
遺留品は、携帯電話、免許証、パスポート、ハンカチ、タバコ、ライター、財布。
と、色々入っていた。
目暮:「ん、携帯電話の画面に何か・・・。
C、r、i、m、i、n、a、l、カンマ、 C、ドット、M?」
新一:「それは、Criminal, C.M(犯人は、C.M)と読むんですよ。
意味は、"犯人は、C.M"。
つまり、被害者が残したダイイングメッセージですよ。」
目暮:「と言う事は、犯人はクリス マーティ。」
クリスティー:「待って下さい。
もし、そのC.Mが頭文字なら、私も当てはまるのでは?
ほら、私もC.Mですから。」
目暮:「いや、貴方の場合、M.Cでしょう。」
成る程、そう言う考えね・・・。
でも、アメリカでは苗字が後に来るから、C.Mで良いと俺は思う。
おっと、話を戻そう。
えっと、何処まで行ったか・・・。
あ、そうそう。
須郷 麻美と言う日本人女性が殺害され、携帯にC.Mと言うダイイングメッセージが残されていたんだったな。
だけど、これでは誰が犯人なのかは解らない。
何故なら、容疑者として疑われるのが、第一発見者のクリス・マーティと、ロス警察のクリスティー・緑山の二人だからだ。
この二人には、頭文字が同じと言う共通点がある。
だから、俺は困っているのだ・・・。
一体、どっちが犯人なのか・・・。
高木刑事:「警部、被害者のポケットにこんな物が。」
高木刑事が被害者のポケットから何かを取り出した。
目暮:「何だね、それは?」
高木刑事:「どうやら、手紙の様です。
開けてみましょうか?」
目暮:「うむ。」
高木刑事は、手紙の封を破った。
中には白い紙が入っていた。
紙には、日本語でこう書かれていた。
「5年前の殺人犯さん、私の彼を返して。
返さないと、今度は私が貴方をこの世から消す。
by A.S」
成る程、殺人予告か・・・。
目暮:「この、by A.Sってのは何だ?」
コイツ、本当に無知だな・・・。
新一:「by A.S。
差出人の事ですよ。
日本では、文末に『工藤より』と書きますよね。
それと同じ事です。」
目暮:「じゃあ、A.Sは?」
少しは自分で考えろ。
新一:「恐らく、被害者では無いでしょうか?
Aは麻美、Sは須郷。
つまり、須郷 麻美。」
目暮:「と言う事は、須郷さんは誰かを殺そうと思ったが、逆に自分が殺されてしまったと言う訳か。」
そう考えるのが妥当だろうな。
此処で、今までの事を推理してみよう。
先ず、携帯に残されたダイイングメッセージ。
これだけでは、誰が犯人なのかは解らない。
次に、日本語で書かれた手紙。
成る程・・・・・・。
謎は全て解けた!
後は、警部にこの事を話すだけだ。
新一:「目暮警部、真犯人が解りました。」
目暮:「本当かね、工藤君。」
と、目暮警部は半信半疑な気持ちで聞く。
新一:「先ず、この手紙。
この手紙は、被害者が犯人に書いた物。
恐らく、手紙はこっちに着いた時に、犯人の荷物にこっそり、気づかれない様に入れるつもりだった。
そして、携帯に残されたダイイングメッセージ。
この事から考えると、犯人は一人に絞られる。
そして、その犯人は、クリスティー 緑山さん、貴方です!」
蘭:「えっ!?」
クリス:「Really!?(本当!?)」
クリスティー:「!?」
目暮:「な、何だって!?」
クリスティー:「ちょ、ちょっと待って。
何で私が麻美を殺さなくてはならないのよ?
それに、私が殺したと言う証拠でもあるの?」
新一:「証拠ならありますよ。
5年前の事件を覚えてるでしょう?
被害者は狩屋 雅弘。
彼は、亡くなった須郷さんの彼氏でしょう。
そして、須郷さんは犯人が誰なのか気づいた。
だから、犯人を殺そうと思い、殺害しようとしたが、逆に殺された。
そうですよね、緑山さん?」
クリスティー:「ま、待って。
そんなんじゃ、証拠にならないわよ。
それに、頭文字がC.Mで、日本語が読める人なら沢山いるわよ?」
新一:「と言うのが、真犯人が「貴方がやった」と、他人に思わせる為の筋書き。
そうですよね、真犯人のクリス マーティさん。」
クリス:「What?(何?)
Please talk in English.(英語で話して下さい。)」
目暮:「おいおい、彼女に日本語は通じない筈では・・・。」
新一:「いいえ、彼女は日本語を話せますよ。
その証拠に、先ほど、僕がわざと緑山さんが犯人だと、日本語で言った時に、『本当ですか!?』と、驚いていましたしね。」
クリス:「(It is dangerous...(危険だわ・・・。)
Unless I do something...(何とかしなくては・・・。))
wait, I cannot understand Japanese.(待って、私は日本語が解りません。)
Please translate.(翻訳して下さい。)」
新一:「いいえ、貴方は日本語が理解出来ます。
その証拠に・・・。
あ、スカートがめくれてる!」
クリス:「Do not look!(見ないで!)
O no!(あ、私とした事が!)」
新一:「どうやら、日本語が話せるみたいですね。
さぁ、全て話して貰いますよ!
クリス マーティさん!」
クリス:「貴方の言う通り、私は日本語が話せるわ。
でも、それだけでは、私が犯人だと言う証拠にはならないわ。
そうね・・・、私が殺したと言う証拠を見せてちょうだい。」
やばいな・・・。
折角、追いつめたと思ったんだが、やっぱり証拠無しじゃキツイか・・・。
クリスティー:「証拠、これでどうかしら?」
クリスティーは、そう言って、ある物を取り出した。
目暮:「携帯電話?」
クリスティー:「実は、死に際に彼女からメールがあったのよ。
これがその本文よ。」
本文にはこう書かれていた。
『クリスティー、久しぶり。
麻美です。
今日、仕事でこっちへ来てるの。
それで、そのついでに、そっちへ行こうと思うんだけど良いかな?
それと、友人のクリス マーティ。
彼女は、日本警察が追っている凶悪犯よ。
これから、それを確かめるけど、もし、私の身に何かあったら・・・。』
メールは、そこで終わっていた。
ちょ、ちょと待て!
今、凶悪犯と書いてあったな。
と言う事は、やはりクリスが例の凶悪犯だったのか!
クリス:「麻美が悪いのよ。
麻美が、脅して来るから・・・。
麻美ね、私が日本警察に追われている事、全て知っていたのよ。
それで、かくまってあげるから金を払えと言われて・・・。
でも、要求された金額は持ち合わせて無くて・・・。
そして、口論になって、ついカッとなって殺してしまったわ。
頸動脈の血の流れを止めてね。
最初は気絶しただけかと思った。
でも、脈が無かったから、殺してしまったと思ったわ。
だから、ロープで首を絞めて吊ったの・・・。
勿論、麻美には悪いと思っているわ。
だけど、過ぎてしまった事は仕方が無いわ。
今更、悔やんでも、麻美は帰って来ない。
私、麻美の所へ逝くわ。」
待て!
コイツ、自殺する気か!?
新一:「ま、待て!」
だが、クリスは俺の言葉に耳を傾けず、懐から取り出したカプセルを飲み込んでしまった。」
クリスは、血を吐き、その場に倒れ、息を引き取った。
アーモンド臭がした。
青酸カリだ。
畜生!
追いつめられたの苦に自殺か!
ふざけんな!
俺は、哀しくなった・・・。
涙が止まらない。
どうすれば良い?
俺は悔しくてたまらなかった。
この次は、誰も死なせない。
例え、それが犯人であっても・・・。
To be continued... |