挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
俺がビキニアーマーでどうすんだ!? 作者:ダラリノコトダマ
303/308

第二章 第16話 お得意の逃げをうった結果・・・ その10

◇ ◆ ◇

 ・・・。
 ・・・・。
 ・・・・・。

「ごめん、なんか・・・むずい・・・」
 俺はヘェヘェと息を吐く。
 わりと疲れる。

「・・・・ですか。
 あの・・・おにぃさんの人生でイヤだったこととか、辛かったこととか有ったら、それ思い出してみてください。
 特に、子供のころ死ぬほど辛い目とか、酷い虐待とかされてたら・・・分裂しやすくなります」

「・・・・虐待?
 いや、ないわ・・・」

「そうですか・・・」

「あ、でも、なんかテレビで見た多重人格みたいな話って、虐待されてたからそうなったって話、聞いたことあるかも。そういう感じ?」

「・・・・・・・・・・・ですね。たぶん」

 ヒカリちゃんが吐き捨てるように言った。
 ヒカリちゃんは・・・すぐできたって言ってたな・・・。
 あれ?
 もしかして・・・そうなのか?
 そういうことなんだろうな・・・。

 眉間にしわが寄る。
 勇斗にしても、ヒカリちゃんにしても・・・くそっ!


 俺は、いままで自分のことを取り立てて幸せだとは思ってなかった。
 普通に暮らして普通に生きて、イケメンでモテる奴らや、親が金持ちの奴ら見て、あいつら勝ち組で羨ましーっ!とか思ったりしてて、俺もジョニーズ顔に生まれたかったぜ、とか、医者の息子に生まれたかったぜ、とか思ったりして・・・。

 ほんとクソだな、俺。
 自分が死にそうな目にあってて、自分よりキツイ人を目の当たりにして、やっと気づく。
 死んだほうがましだ・・・とまでは思わないけど。でも、視野、クソみたいに狭かった。


 そんなグルグルした精神状態では当然集中できないし。
 そもそも虐待もされたことないし、学校で虐められてもないし、交通事故どころか骨折もないし(こないだワニ男に殴られて折れたけど、すぐ治ったし)。

 ほんとに天楚神社の階段から落ちて、捻挫したくらいしか経験ない・・・。

 うん無理だ。
 ヒカリちゃんの過去が、俺の中の想像でとても酷いことになってて、そっちがむしろツライ。


「ヒ、ヒカリちゃん、あの・・・ヒカリちゃんて・・・昔・・・」
 黙ってるヒカリちゃんに、恐る恐る声をかける。

 ハッとするヒカリちゃんが察知して切り返す。

「な、なんですか!?
 私のこととかどうでもいいですよ!?
 変に勘ぐってます?わかりやすすぎですよ!
 おにぃさんてホントデリカシーないですよね!?
 わたし、自分が虐待されてたなんて一言も言ってないですけど!?
 今は大変なのは、おにぃさんでしょっ!?
 自分が死ぬかもしれないのに、人に同情とか、バカですか!?」


 すげー怒られた。
 そういうとこに安易に踏み込んじゃいけないってのは、頭じゃ解ってんだけどな。
 デリカシーが・・・。

「あ・・・ご、ごめん、ホント、俺って・・・」
 凄く気落ちした謝罪の言葉が出る。

「あ、いえ、こちらこそ、すみません。
 ちょっと・・・大きい声出しちゃって・・・。
 で、デコイの人格作るのは・・・無理そうです?」

「なんか・・・糸口すらつかめない感じです・・・」

 自分の無能を痛感する。
 役に立たない妄想はあんなに得意なのに・・・。
 その妄想の産物であるレスラーどもが邪魔過ぎる。


「ですか・・・。
 他の方法は・・・私からの『精神感応』が、あるにはありますけど・・・。
 でも・・・どうしよう・・・私・・・。
 ここで使っていいのか・・・でも、もう・・・それしか・・・」

 凄く迷っているヒカリちゃん。
 残された方法・・・何をするかはわからないけど、相当の事なのだろう。
 なんといっても死ぬのを回避するんだ。
 それなりの代償を覚悟しなければならない。
 だから俺は、決意を込めて言う。

「ヒカリちゃん!
 頼む!!!
 迷ってる暇はない。
 方法があるなら何でも試したい。
 いや、最悪、俺はギアスの痛みに耐えて見せるし、死ぬ気もないけど!
 でも・・・ここからみんなで逃げるためには、やっぱりちゃんと生きていたい!
 どんなキツイことでもいいから!!!
 やらせてくれ!!」

 そうだ。
 俺は絶対に生き残らなきゃいけない!!
 生きて、脱出して!勇斗とヒカリちゃんを安心させてあげなきゃ!!

 俺は、強く、拳を握った。
 どんなことでも絶対引かない!!


「どうしても・・・ですか・・・」
 ヒカリちゃんが、念を押す。俺の決意を確認するように。

「うん。どうしてもだ!」

「ひ・・・引きませんか?」

「絶対ぇ引かねぇっ!!」

「ほ・・・ほんとですか?」

「ホントだ!!」

「真剣ですか?」

「真剣だ!!!」

「どうなっても・・・責任、とれますか?
 絶対ですよ!?」


 こんなにも何度も・・・すごい、念押しだ。
 それだけヤバいってことか?

 恐れの気持ちが出てくる。

 死なないだけで、その後どうなってしまうのかわからない・・・。
 廃人のようになって人生の殆どを引き換えにするのかもしれない。

 それでも・・・。


「 責 任 、 と る !! 絶 対 !!」


 強く、強く、言い切った。
 自分への言い聞かせでもあった。


 その11に続くのでもあった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ