ポツリファミリー。(※小説更新無期限停止)(4/8)縦書き表示RDF


後編です。
ポツリファミリー。(※小説更新無期限停止)
作:摩璃藻



僕と皆と肝試し(後編)です。


 04 旧校舎









 僕達が向かうのは、旧校舎。ヒビとかツタとかでいい雰囲気ですね。
 あははは…はぁ…うー、本当は僕も、得意ではないんですよ…。
 「すすすすす素敵ねっ!」
 彩芽さん、無理はしない方が…
 「だよねっ!ホラ、早くいこ?」
 「楽しみだなぁ」
 ほら、二人がノリ気になっちゃったじゃないですか。ただでさえノリノリだったのに…。
 「ははははは」
 時谷君…貴方何がしたかったんですか…?怖いなら来るなよ。人の事は言えないけど…
 そんなこんなで…御入場〜。




 たよれるのは懐中電灯の光のみ。暗いな…怖い…
 「あ、ゴキブリだ」
 「キャァァァァッ!!!」
 「イヤァァァァァッ!!!」
 やっぱり女の子なんですね。でも真夜さんが切れると怖いので…
 「真夜さん、僕の眼を見て…」
 「眼…?」
 「ええ…」
 ふぅ。彩芽さんはすすり泣くだけなんで無害ですね。他の二人はおろおろしてるんで、僕にとっては、ですけど。
 真夜さんはかかりやすいので楽です。これが兄弟だと、心っっっ底苦労するんですよね。
 今、僕達が居るのは2階の西側。東側の昇降口から入ったので、2階に上がって直ぐの所です。
 今の所何も出て来てないです。助かります。




 「…3階。何も無かったね、残念だけど。帰ろっか?」
 真夜さんの言う通り、本当に何も無かったです。色んな噂が立っていたんですけどね。
 …良かったです。
 「じゃあ…」
 ―――ナ―――
 「?誰か、何か言いました?」
 僕の言葉に被されました。
 皆首を振ります。
 ―――ス…ナ…―――
 ………。これは、何か、聞こえましたね…砂?
 多種多様の表情ですね。
 真夜さんは少し緊張気味、進君はちょっと驚いてるようです。彩芽さんは真夜さんにしがみつき、青い顔。時谷く…うわぁ、真っっっ青。僕? もう落ちそうです。
 ―――カ……スナ……カエ…ス……ナ…―――
 …。
 ―――ムキズデ…カエスナ…!―――
 …え、と。
 ずどん!
 「うわ!?」
 「きゃっ!?」
 「ひっ!?」
 「あぇ」
 「…っ!!」
 ちなみに進君、真夜さん、彩芽さん、僕、時谷君です。
 これは…地震、ですかね?
 ―――死ヲ!我ラノ場所ヲ汚スモノニ死ヲ!―――
 いきなり滑舌に…
 「俺の勘って、よくあたるんだ」
 時谷君、こんな時に何を?
 「…嫌な予感がしてた。だから来てみたんだけど…案の定、こういう事だったか…」
 …今は、
 「それどころじゃありません。逃げますよ」
 今の僕はやけに冷静クレバーですよ。珍しい。生き延びなきゃいけない。
 皆で駆けだす。
 「いせの、お前、もっと速く走れんだろ!」
 「一人だけ助かるのは嫌ですから!」
 そう、一人で助かっても意味がないんです。一番、助かりそうな…よし。
 ―――一人残ラズ死ヲ―――
 「五月蝿いよぉっ!皆で助かるんだから!」
 「まったくです。真夜さん、僕の眼をみて」
 「ふ…ぇ?」
 「彩芽さん連れて逃げて」
 「私…そんな事…」
 「真夜さん、君だから出来る。信じて」
 「あい」
 真夜さんは彩芽さんを軽く担ぎ、駆けだした。
 「進君は、後ろにぴったりくっついて逃げて下さい」
 「…うん」
 た、と進君も駆けだす。
 ガラガラ、と建物が崩れだす。
 「真夜さん!」
 「平気」
 ズガァン!
 真夜さんは彩芽さんを少しずらし、キックで鉄骨を吹っ飛ばした。…真夜さんは本当に怒らせない方がいいですね。今度からはマヨ煎餅、隠れて捨てたりしません。
 進君は真夜さんがあけた道を駆ける。そう、これでいい。
 「っく…」
 流石にこれだけの量、避けるのって難しいな…
 ガラ。
 「!危ねぇ!」
 「え!?」
 時谷君が、僕を突き飛ばした。時谷君が、鉄骨の下敷きに…?僕を、庇って?
 ずっと目立たない僕を庇って?
 僕なんかより、ずっと…必要とされているはずの時谷君。
 ……そんな人は、死んじゃいけない。少なくとも、泣いてくれる人が居る人。
 明るくて、目立ってて、少し馬鹿だけど、愛されてる時谷君。…そういや彼が苛めに参加してるところなんて無かったな。優しい時谷君。
 駄目だ。地味な行動でも、命をかけて守ろうとしてくれた事には変わらない。…死んで欲しくない理由も増えた。
 それに…僕は見た事があるじゃないか。いじめを止めようとして。それには彼は非力すぎて。自分の弱さに、泣いているところを。
 「…君に時間は流れないっ!」
 ピタリ、と鉄骨が止まった。
 「は?え?いやいや空中停止?」
 「紅牙君!そんな事今は気にしない!」
 「え?いや、でもよ…」
 「いいから!」
 一番驚いているのは多分僕ですから。まさか非生物にも効くとは…。末恐ろしや、催眠術。
 それより、まずは…逃げなきゃ。




 「生きて…るね…」
 「生きてる…みたいだね…」
 「生…きてるのね…」
 「生きて…ます、よ…」
 「生きて…るんだな…」




 命がけで生き延びた夜。恐怖に支配されかけた夜。満天の星空が美しい夜。




 ………仲間が一人、増えた夜。


 いせの「僕の名前ってあんまり目立たないですよね」
 作者「そうだね。呼ばれる機会少ないもんね」
 いせの「どうにかなりません?」
 作者「なりません」
 いせの「そうですか。ところで、「ファミリー」なのに家族がほとんど出てこないんですが」
 作者「そのうちだすよ」











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