無言劇
何も言わずにそっと一人でやって来た女の子
寂しげな顔でベンチに座って携帯を触っている
携帯と周りをかわりばんこに見て何かを探している
探しているのか見ているのかはわからないけれど
とにかくやたらと不安そうだった
不安な顔で辺りを見回して
それからまた携帯を見て その姿はまるで雨の日の猫のよう
誰かが来るのかわからないけれど
不安な顔のままで辺りを見ているばかり
そのままずっといるのかと思ったら
不意に立ち上がって彼女の方に歩いてくる男の前に来た
暫く言い争いをしていてムキになって
その顔はさっきまでの不安なものは何処へやら
怒ってムキになっていた
そうして怒っているうちにやがて泣き出して
男の胸を叩きだす
男はそんな彼女を宥めて
慰めているのか謝っているのか
けれど何かを言っていたのは確かだった
暫くそれを聞いていなかった彼女も
少しずつその言葉を聞くようになって
男を見る顔が穏やかになっていていた
男もそんな彼女を優しく抱き締めて
舞台は幸せなまま終わった
無言劇は静かに幕を降ろし
後には幸せな余韻があるだけ
思想家
自分が偉いと思いたければ
何かを考えればいいだけのこと
それで何かが変わるというのなら
案外幸せなことなのかも知れない
考えて何かを見つけて
そこへ歩いていくのが幸せなら
人は誰でも幸せと一緒にいる
それを考えるのが思想と言うのなら
人は誰だって思想家なんだ
偉いかどうかはわからないけれど
思想家であることに変わりはない
思想家は時として傲慢で時として偏屈で
あまりにも嫌な奴になってしまうけれど
それは人間だからなのだろう
決して悪いことじゃない
そんな思想家を軽蔑するのも嫌うのもその人次第
誰もが思想家なんだから
至極当然のことなんだ
2007・4・14
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