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貴族専用食堂車


数時間前に賭博を始めたばかりなのに相変わらず騒がしいパレードは続いていた。ポーカーやスロットが織りなす螺旋の中、喜劇と悲劇を繰り返して、そして豪華なディナーを食しながら そんな中 貴族たちの目が一つのゲームに釘付けになっていた。

「ふ、後悔するぜ、爺さん」

一人は若い二十歳過ぎの貴族

「フォ、フォ、フォ、用意はできましたかな」

もう一人は白い服装の老紳士だった


二人が行っていたのポーカーだった。 ただし普通のポーカーでなく賭博式のポーカーである。
元々は4人いたのだが二人が脱落し最終ゲームが開始していたのだ。このゲームはそれぞれに懸けた金額分のチップを出し、相手の誰かを選択しそれらに勝てば懸けた金額分のチップを手に入れることができる。ちなみに敗退した2人は一万ドルと五千ドルを懸けていた。一万は若い貴族に、五千は老紳士にと。

2人は自分の手札を見つめ準備を整える。若い貴族には自信があった 何故なら自分の手札は中間的強さを持つフルハウスが揃っていたからだ。

『勝てる…勝てるぞ これなら勝てる ふふ じじい 覚悟しとけよ これであんたも終わりだよ!』

そして幕は下りた

若い貴族が手札を晒す すると周囲から歓声がわいた。

「さぁ 爺さん 次はあんたの番だ 手札を見せな」

「フォ、フォ、フォ、言われなくとも出すよ」

老紳士が手札を晒すすると若い貴族と周囲の貴族たちは驚愕した。

「な、ば…バカなっ」

「フォ、フォ、フォ お前の負けじゃのう お若いの」


老紳士の手札 そこにあったのはすべてエースカード4枚 つまり最強のフォーカードが揃っていたのだ これではさすがのフルハウスでは太刀打ちできず よって老紳士の勝利が確定したのである。

「くっ…クソォオオオオオオオオオオオ!!!」

若い貴族は悔しさと後悔と絶望の三つを同時に叫んだ。
周囲から最高潮の歓声が湧いた瞬間だった。


しばらくすると、金を儲けた老紳士は廊下へ出ていき自分の部屋に戻ろうとした時、後ろの廊下から怒声が湧いた。

「待て!糞ジジイ てめぇ イカサマしただろ!そうだろ?出なきゃあんな奇跡なんか起こるわけがねぇ!」
顔を真っ赤にして激昂していた先ほど対戦者の若い貴族だった。

やれやれ どうも自分がフォーカードを出したことを疑問に思ったのであろう。どこの貴族もプライドが高い分貪欲な性格をしているからな
老紳士が溜め息をつく。

「言いがかりはよしてくれないか。お若いの あれは間違いなく偶然が起こした奇跡だ それをイカサマなどと言うなど失礼にもほどがあるぞ」

「五月蝿い!俺は納得いかねぇぞ!その金は元々俺がもらうはずの金だ!だからほかの二人に負けるようにしたんだからな!」

どうやらこの貴族は勝つことしか脳になく、自分が勝つためなら手段を選ばないタイプらしい つまり………。

「お前さんがイカサマをしてたのではないか。」

「あぁ そうだよ! 勝つための手段だよ 勝つためなら俺はどんな手段も選ばないからな こんな風に……」

若い貴族は懐から拳銃を出し老紳士に銃口を向ける。
なるほど 脅して金を頂くと言う魂胆だろう。だが、まだまだ青いのぉ…おかげで“計画”が少し速まったではないか。
「分かった チップは渡そう だから撃たんでくれ」

老紳士は床にチップの入った袋を置いた
「最初からそうしてりゃいいんだよ。長生きしたけりゃな」
若い貴族がチップの袋を取ろうとした時
「なぁ…若いの、お前さんは(バネ足ジャック)と言う奴を知っておるか?」

不意に老紳士が話かけてきた。

「あ?バネ足?なんだそりゃ 聞かねーな んなアホみたいな奴」

「フォ、フォ、フォアホみたいな奴……それは違うぞ 若いの……」

「………?」

老紳士はまるで子供におとぎ話をするように若い貴族に話し始めた。

「十数年前 ある男がいました。その男は殺人に興味を持ち次第に白装束の服装を纏い 夜な夜な 家に侵入しては女性や子供を殺すこと快楽とし、殺人を楽しんでいました。」

「はぁ?ジジイ何言って……」

若い貴族の言葉を無視して老紳士は話を続ける

「そして、事件続きで腹を立てた警察が男を捕まえようとしましたが無駄だった。男には驚異的な脚力を持つ黄金の両足を持っていたからだ、これのおかげで男はいつも6メートル壁だろうが10メートル壁だろうが余裕で警察を捲き 殺人を楽しむ毎日を過ごしていました。」

「おい、ジジイいい加減しろよ おとぎ話は餓鬼の前でほざいてろよ」

次の瞬間………

「うるせぇ!!黙ってろクソ餓鬼!!」
「なっ……!?」

老紳士とは思えない暴力的な言葉が飛んだ。するとさらに老紳士は暴力的声を吐き出すように話を続ける。

「だがよ!だがよ!だがよぉおお!!ある貴族様が住まう家に忍び込んだ時だ 俺はその家の餓鬼を殺そうと寝室に行こうとしたら どぉうよ 貴族たちがライフル銃を構えてて俺の自慢の両足を打ち抜きやがったんだ!!まちがいねぇ!あれは俺を“わざと”家に入れてはめて喜んでいやがったのさ!しかも餓鬼もケラケラと笑ってやがったんだぜ!」

若い貴族は後ずさった。こいつはヤバい こいつは老紳士なんかじゃないと考えたからだ 今まで数々の老紳士どもを見てきたがこんな風に狂った奴なんか見たことがなかった。
「両足を失った男はされるがままに貴族どもの遊び道具にされた ダーツを投げられたり、粉袋をぶちまけられたり、唾を吐きかけられたり、小便の入ったバケツまで男にぶちまけやがったのさ!そして最終的には谷に落とされたのさ!!」
老紳士は唇に血がにじむまで噛みしめていた。

「だが男は奇跡的な助かった 谷に下に木があってそれがクッションとなってくれたからだ……」

若い貴族が後ずさる中、老紳士はそれに釣られるかのように一歩ずつ前に進んでいき、不気味に話を続ける

「男は地をはいずりながら誓った。いつかあの傲慢でえらぶった貴族の豚どもを皆殺しにしてやるとな……そして数年と言う年月を経て、貴族どもが集まる恰好のテーブルを見つけたのさ!無駄に豪華な装飾を施した フライング・ケット・シー号と言うなのテーブルがなぁ……」
「ち、近づくんじゃねぇ!化け物!!」
いつの間にか怯えていた若い貴族は老紳士に銃口を向けて威嚇する。しかし老紳士はびくともしない。

「あ〜そういえば、お前さんも貴族じゃったなぁ しかもワシが憎むべき奴らと同じ性格の……」

「く、それ以上 近づいたら……」

「殺すか?それは見物だ 果たしてその位置からどうやって?」

若い貴族が気付くのが遅かった。いつのまにた自分が廊下の非常用ドアの前にいることを………。

「んなの知るかぁああああ!!」

絶叫し引き金を引く若い貴族。
殺される。間違いなく俺は殺される。なら先に殺してやるまでだ!
しかし、銃声は鳴らなかった

え、間抜けな声を上げ自分の右手を見るが、そこに右手はなかった、いや血しぶきを上げる右の手首しかなかった。よく見ると床にゴロンと銃を握った自分の右手が落ちていた

「ひ、ひぎゃああああああああああ!!」

右手を失ったショックが脳に伝わりものすごい痛みが襲い思わず悲鳴を上げる貴族

見ると老紳士が持っていた杖が細長い両刃剣へと姿を変えていた どうやら仕込み剣だったらしくそれで貴族の右手を切り落としたらしい
「うぐぐっ クソォ よくもっ!!」

残った左腕で老紳士に向けて拳を突き出した。最後の足掻きとも言える行動だ

しかし彼の行動は無駄になった。老紳士が老人の年齢とは思えない跳躍し、貴族の溝に蹴りを叩き込んできた。それならまだ良かった 蹴りを撃たれた瞬間 突然貴族の体がものすごい勢いで吹っ飛ばされ非常用ドアと一緒に走る列車の外に放り出された。おそらく命はないだろう。

貴族が消えた後、老紳士は笑みを浮かべ狂ったように笑い出す。

「くははははははははははははははははははは!!!さぁ 宴の始まりだ さぁ踊ろう 貴族諸君 絶望と復讐の炎に灼かれてな!!」

老紳士…いや、かつて“バネ足ジャック”として恐れられた男が笑う そして彼は再び舞台に舞い戻る 殺戮の舞台へと


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