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1889年 ロンドン
ホワイトチャペル地区。切り裂きジャックの惨劇の恐怖がまだ消えないこの町で、世界初であろうニューヨーク行きの大陸横断列車 フライング・ケット・シー号が発車の用意していた。
「これで全員ですか?先輩」
「あぁ これで全員乗った筈だな」
例によって老人の車掌と見習い車掌がケット・シー号の乗客のリストを確認していた。ちゃんと確認しとかないと上司にどやされてしまうからだ

「さて、わしらも乗るとするか。今日が初めてなんだろ?」
「は、はい!自分、今日初めて列車に乗らせてもらいます!よろしくお願いします!」

と老人の車掌に激励をする見習い車掌 無理もない彼にとって今日が初陣だったのだ。

「それじゃ 乗るとするか」

「はいっ!」

こうして彼らは乗り込んだ これから起きる 惨劇も知らずに………。


フライング・ケット・シー号の内面構造はとにかく広かった。蒸気機関車でありながら豪華な装飾を施され、車両は全部で十車両あった。各車両については一号車〜三号車が一般の乗客たちが乗る食堂車と寝室。四号車〜五号車までが当時金で物を言わせている貴族たちが乗る食堂車と寝室。、六号車〜七号車がワインなどを保存するための車両。そして八号車〜十号車が乗客たちの荷物を保管するための貨物車である。


車掌室で今日初めて乗る列車に内部地図を見ながら老人の車掌と見回りをしていた 見習い車掌ことアールは広すぎるケット・シー号の構造に絶句していた。

「うへぇ〜、まさかこんなに広いなんて聞いてないっすよフレッド先輩」

フレッドと呼ばれた老人の車掌も

「わしもだよ 車掌になってから20年こんな馬鹿げた構造をした列車は初めてだよ」

と同意見をしてきた
「はぁ…この列車ってどえらい貴族の人が製造会社に無理やり作らせたんですよね?」

「ん?あぁ たしかにそんな風だと聞いたな。表向きは初の大陸横断列車と聞いておるが、なんでも裏ではニューヨークに賭博等を持ち込んで金儲けをするために作ったと聞いたが本当かどうか分からんよ」

アールは一つの仮説を考えた。もしかしてこの列車の貨物室に賭博等で使用する金貨や札束などが大量につまれてるのではないかと
だとしたら

「あ〜フレッド先輩俺、貨物室を見てきても……」

「はっはっは アール お前の頭ん中はすべてお見通しじゃ どうせ貨物室に賭博で使用する大金があると考えてるのだろう?」

「え、何のことでしょうか?」

思わず汗を流すアール するとフレッドがニヤニヤと笑みを浮かべ

「お前の考えを説明するなら こうじゃな 『もしかしたら札束の一つや二つをかすめ盗れるんじゃないかな〜』とな」
アールは苦笑いをしながら頭の後ろをかき呟く

「あ、あはは バレちゃいましたか?」
「うむ、今頃の若い連中が考えそうなこったな ただ止めといた方が身のためだぞ」

「え、何でですか?」

フレッドは顎の髭をしゃくりながら言った。

「うむ。何でもな 賭博で使用する大金を守るために、貨物室にガンマンが警護しとるらしいぞ」

「え、ガンマンってマジですか!?」

「うむ…それでも行くというなら止めないが……」

「いや、遠慮しときます……」
と………
アールがそう言うとフレッドは思わず爆笑していた。


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