ディメイション・ザ・アドベンチャー2(6/14)PDFで表示縦書き表示RDF


今回は真面目に真面目な展開
ディメイション・ザ・アドベンチャー2
作:宮座頭数騎



チャプター5『救世主は彼だ!』


「波動連牙斬!」
 次から次へと迫り来るレッドドラゴンを蹴散らし、俺とリョウスケはマダンのいる城を目指す。
《にゃははは! どうだいリスク! ボクの力は? 凄いでしょう!》
 魔剣ソルデファーが楽しそうに問い掛け、俺は小さく頷いて言葉を返す。
「しかし。何で今まで教えてくれなかったんだ?」
《ん? 何がかな?》
「お前が実は喋れると言うことだ」
 俺は訊ねながら、空から襲いかかって来たドラゴンを跳躍して避け、素早く首を切り落とす。
 魔剣の力で、ディメイション程ではないが身体能力が大幅に上昇したのだ。そのおかげで、今の俺はドラゴンを二、三匹を相手にまともに戦えるようになった。
《ああ、喋れる事を隠してた訳じゃにゃいよ。ディメイションって神様が触ってから喋れるようになったのにゃ》
「ええっ! ディメイションさんが触ってからって、あの時?」
 俺の隣りを走るリョウスケが、驚愕つつ訊ねる。
《うん、でもその時はディメイションのゴッドパワーがあまりに強かったから力が逆流して、ボク自身が耐えきれず壊れちゃったんだにゃ》
 そしてにゃはははと愉快げな声でソルデファーは笑う。
「ゴッドパワーってなに……?」
 隣りでリョウスケがげんなりと訝しげに呟くが。あまり気にするな、俺も同じ気持ちだからと、アイコンタクトで伝えた。
《まあ、その後でクロノスって人がボクを新しく作り直したから、おかげでリスクが力を解放し易くなるくらいにまで質が良くなり、今に至るわけだね。にゃっははは》
 浮かれたような歓喜をあげるソルデファー。しかし、魔剣がこんな明るい性格をしていたとは、最初は意外過ぎて引いてしまったが、けっこう話を聞いてると面白く。また元々付き合いが長いからか、すぐに慣れてしまった。
 まあ、改めてよろしく頼むとしよう。
《こちらこそ、改めてよろしくにゃあ》
 心が読めるのか!
《持ち主のだけにゃ》
 そうか、まあ構わないか。何にしても、そうこう話してる内に俺達は、マダンの城、城門前に到着した。帝国の門に負けず劣らず、レッドドラゴンを象ったレリーフが刻まれた大きな漆黒の門だが、今の俺なら破壊可能だ。
 俺は集中力と魔力を高めるため、柄を強く握る。
《ああん! リスクぅ――そんな強く握られたらボク。興奮しちゃう!》
 一気に集中力と魔力が減少した。
「オイイ! こんな時にあんた何変な事言ってんのオオ!」
 ずっこけたリョウスケが、赤面しながら起き上がって叫ぶ。
《だって、リスクが握る部分はボクの――あぁん。ダメダメ! 恥ずかしくて言えないよぉ!》
 頼むから止めてくれ。そんな事を言われたら余計集中出来ない。そもそも、お前は男なのか、それとも女?
《女の子だよ。最近はボクっ子が人気でしょ? だから一人称はボクにしてるのにゃ》
 知るか!
 聞かなければよかった。余計に集中出来ない。だいたい、俺の握ってるとこは、人の体ではどこに当たる部分なんだ?
《言えないよぉ。恥ずかしくて》
 あんまりじれるから、何だか苛立ってきたな。
 俺は無視する事にして集中力と魔力を高める。ソルデファーは色っぽい口調で俺にいろいろと誘惑気味に責め立ててきたが、それでも無視してパワーを増幅させていく。
 そして――。
「うおおおおっ! 波動、連牙斬!」
 溜まった力を一気に解き放ち、魔力を全て刀身に流し、俺は渾身の波動連牙斬を振るい放つ。三日月を形作った光の刃が、連続で鉄の門を切り刻む。
 そして門は、切れ目が入ると次には崩れ落ちる。
「凄い。リスクさんパワーアップしてる。これならマダンも倒せるんじゃ?」
「いや、油断は出来ない」
 リョウスケは期待しているが、俺は正直マダンを畏怖している。何せ、奴はこの世界を僅か数年で支配し、それにも関わらず、リザードマン、ドラゴンの軍勢を従えている。
 帝国の兵士や付近に生息するモンスターだけでも世界を手中に納めつつあったマダンだ。きっと、奴はディメイションに引けを取らない強大な力を持っているにちがいない。

 ここから先、気を引き締めて掛からなけねばいけない。

「よし、行こう。リョウスケ、ソルデファー」
《おうにゃ!》
「うん」
 ディメイション、俺は一足先に奴のところへ向かう。俺達に追い付くことを信じるぞ。
 心の奥で呟き、俺達は意を決して城内に侵入する。
 城内では漆黒の鎧で身を包んだ騎士や、リザードマンなどが配備されていたが、俺はリョウスケを守り、それらを打破して上の階へと駆け上がって行く。そして、玉座の間を守る二体の金と銀の騎士を纏めて波動斬で両断し、薙払い。扉をぶち破ってマダンのいる玉座の間に突っ込んだ。
「遂にここまで来たぞ。マダン!」
 俺は玉座に腰を降ろしてる黒い影に剣を差し向けた。次第に影の姿がはっきりとしてくる。
「ふぅん、城内が騒がしいと思えば、君だったのか。その顔、確か……リスクって言ったかな?」
「お、女!」
 俺達は目を疑った。玉座に君臨していたマダンとは、妙齢の女性だった。
 前髪に青いメッシュの掛かった白髪、同色の白い肌。
 幼さを感じさせる艶やかで凛とした精悍な顔付き。
 優しく見据える蒼天のように透き通ったつぶらな瞳。
 そして純白でロングのウールコートを羽織った、全く予想を翻す美女。
「ふふ、いかにも魔王な外見してると思ったのかな?」
 マダンは俺を嘲るように微笑し、玉座から腰を上げて悠然と立ち尽く。
《うわぁ、マダンってボン、キュッ、ボンな体つきでスタイルいいね》
 前髪をかきあげて見下すようにこちらを見据えるマダンに対し、ソルデファーはしょうもないことを口にした。
「あんたはこんな時に何を言ってるんですか……」
 呆れ顔でリョウスケは呟いた。同感だぞリョウスケ。
「ふふ、(わたくし)はルックスには自信を持っておりましてね。そう言っていただけると嬉しいですよ」
 低調に礼を言うマダン。しかし腰をくねらせ、胸を乗せるように腕を組む姿勢は、何ともけしからん。
《うわぁ、リスクってオヤジみたいな事言うね》
 うるさい。だいたい、あんな女より、ハノの方が全然スタイルが良いし、美しい。
《ハノちゃんは胸ペッタンコじゃん》
 次ハノを馬鹿にしたら埋めるぞ。お前。
《怒んないでよ。事実じゃん》
「ね、ねぇ、ソルデファーはさっきからリスクさんと何を話してるの?」
「少年、君は聞かない方が良いですよ」
 ソルデファーに訝しげに訊ねるリョウスケを、マダンがクスクスと笑いながら忠告する。どうやらマダンも相手の思考を読み取れる能力があるらしい。
「まあ、私くらいになれば、相手の思考を読み取れて当然ですがね」
 手のひらを返し、含みの篭もった笑みを浮かべるマダン。その蒼い瞳を細め、俺達をしっかり見据えていた。
 流石はボスか。視線からは冷酷な殺意が感じられる。

 マダンは既に戦闘体勢に入っていた。

「マダン。お前の目的は何だ?」
 俺も気持ちを切り替え、マダンを睨み付けて問い掛けた。
「今更それは愚問では? 次元の悪魔の目的を知っているのですから、訊く必要は無いでしょう?」
 何が可笑しいのか、桃色の唇に指を滑らせ、色気づいた笑みを浮かべたマダン。さっきから笑顔を絶えず崩さず、俺達を見下す。奴の悪意を感じるのに十分過ぎる態度だ。
「……そうだったな。これ以上話をしても無駄だな」
 俺は魔剣を正面に構え、そして奴に覇気を込めて言い放った。
「マダン! お前を倒し、この世界を救う!」
 ソルデファーを大きく振り上げながら、俺は地面を蹴りだし、一気にマダンへと詰め寄る。そして、瞬時に横に剣を薙いだ。
「遅いですね」
 しかしマダンは腰だけを動かし、後ろに身を反らすと言う柔軟な動きでかわす。
 俺はすぐに切り替えし縦斬りに移行するが――。
「破っ!」
 それよりも速い身振りでマダンは跳ね返ったバネのように身を起こし、その勢いを乗せた掌底を俺のみぞおちに当てる。
「ぐはぁ!」
 心の底まで響くような痛烈に思わず呻きをあげてしまった俺は、マダンの掌から弾き飛ばされ、リョウスケの手前にまで転がった。
「り、リスクさん!」
「リョウスケ、来るな」
 俺は起き上がって、近寄ろうとするリョウスケを手で制止させる。
 リョウスケは愁い、いや、危惧の念を抱いてるような様子で俺を見据えた。
「大丈夫だ。俺とソルデファーは勝つ」
 自分も含めて安心感を持たせるために、俺は意気込みを入れるように発した。
 そうだ。まだ戦いは始まったばかり。先手を取れなかったが、次は当てる。
「ふふふ、いいですね。その活気に満ちた顔を絶望に染め上げるのは実にいいです。あぁ――そうだ」
 マダンは何か思い出したように軽く手を叩くと、手のひらを俺に翳し、魔力を集めて行く。
 最初は手のひらサイズの球体が、次第に魔力を吸い取り、遂にはマダンの胸を覆う程にまで膨張する。
「ゲームをしましょう。ドッジボールというゲームです。私考案のドッジボールですから少々ルールは違いますがね」
 両手の中央に浮かばせてる、電撃が迸る黒い魔力の球体を見やりながら、マダンはルールを説明しだす。
「まず、私が投げますから、あなたは打ち返して下さい。私もそれを跳ね返します。ちなみに、この魔力の球体は魔力を吸い取り膨張し続けます。つまり――」
 長引けば長引く程、球体は膨張し続け、威力が増し続ける。そうなると最終的に食らった方は大ダメージを負うと言う訳か。
「そのとおり。では、いきますよ。それっ」
「なっ!」
 速い! 軽く前に押す身振りにも関わらず、マダンが飛ばした球体は、風を切り裂くような速さでこちらに迫り来る。
「くっ! うおお!」
 俺は球に、目一杯の魔力を加えた斬撃を入れた。すると球は俺の体を覆う程にまで膨張し、マダンへと飛んでいく。
「よし――!」
 これだけデカい魔力の球なら、マダンも流石に受け切れまい。そう思った俺だったが、それはすぐに甘い考えだと思い知らされた。
「まだまだ、勝負は始まったばかりですよ。ほら」
 なんとマダンは、軽く手を添えてやるだけで魔力の球を俺に弾き返したのだ。それも、更に膨張させた状態で。
「くっ! ぐおおお!」
《り、リスク! これはヤバいよ!》
 明らかにレッドドラゴンは包めるだろう魔力の球体。まさかマダンの魔力はこれ程とは。予想を遥かに上回っていた。
 俺は魔力を高め、飛んで来た球体を押し返そうと必死に踏み止まる。しかし、徐々にのし掛かって来る重さは上がるばかり。このままでは潰される。
「ぐ――ぐぅ――!」
「リスクさん!」
「リョ、リョウスケ……逃げろ! 君まで巻き添えを食らう前に!」
 リョウスケは入口に近い位置にいる。彼だけでも逃がさなければ!
「で、でも!」
《も、もう耐えれないにゃあー!》
 ソルデファーの嘆きと共に、徐々に膨張していく魔力の球体は遂に天井まで及ぶ大きさにまで広がり、俺と魔剣を飲み込んだ。
 体全体に激痛が走る。焼けるような、痺れるような。鋭く熱い痛みが、俺を襲った。

 俺はこのまま消滅するのか……?

 ここまで来て……終わってしまうのか?
 徐々に意識が保てなくなり、視界が薄れて来る。

 意識が飛ぼうするその時。

 救世主は現れた。

『ダブルブリット・フィスト!』

 どこからともなく飛んできた漆黒のグローブが、膨張した魔力の球体を貫いた。
 ぽっかり中央に穴が空いた魔力の球体は、爆散するように消滅した。
「何っ!」
 驚愕するマダン。
 そして、仰向けで倒れてる俺の前には、彼がいた。
「へっへっへ!」
 崩れた天井から見える満月の光が、彼と俺だけを照らす。
 そんな中、彼は不敵な笑みを俺に向けた。
「リスク、大丈夫だな」
「あ、あぁ」
「へへへ! いよしっ! パーティーには間に合ったみてぇだな!」
 月に目掛け、彼は手を翳し、高らかに名乗った。
「ディメイション! 参上だぜぃ!」
 そして、マダンに指差し、熱く言い放った。

「覚悟しな! 次元の悪魔!」


 はい、あとがきっす。
 ラストは投げやりな書き方になっちゃいました(汗
 自分、ケータイのメールで小説を執筆してるんですが。最近は執筆力、文章力や言い回しの技術など、低下していってる気がしてなりません。
 う〜んスランプ。他の上級作者さんからみたら、結構ヒドい文章みたい何ですよね。俺(汗
 誰か作者さんの弟子入りしたいなぁ(愚痴
 まあ、ディメイション・ザ・アドベンチャーはノリで書いてるから、ぶっちゃけ文章力についての指摘は無視です(オイ
 まあ、妖狐玉藻伝は凄い頑張って書く作品故に、文章力の指摘はしっかり受けます。あれは真面目に、とてもシリアスで上手く書きたいですからね。
 ディメイションシリーズとも、なんだかんだ言ってリンクする作品ですから、両作品共々今後宜しくです。では











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