ディメイション・ザ・アドベンチャー2(1/14)PDFで表示縦書き表示RDF


今回は舞台が現代ではなく、異世界ファンタジーです。
ディメイション・ザ・アドベンチャー2
作:宮座頭数騎



プロローグ『シリアス世界に神様(アホ)降臨!』



 クランパイア――俺の生きる世界。

 この世界は今、闇に染まっている。

 二つの大陸アガクスとレガリカで、いろんな生物が生き、平和に暮らしていたハズだった。

 しかし、ガンと呼ばれる種族が繁栄してたアガクスのマグネリア帝国から突如、魔王マダンと呼ばれる存在が名乗りを上げ、帝国の戦力を使い。所々に戦争を仕掛けたのだ。

 異常な強さを持つ兵力に、アガクスとレガリカの両大陸の国々は、ほぼ完全に鎮圧され、俺のいたイグ王国も亡国と化してしまった。

 俺の父であり、レガリカ最強の剣士だったクラウ王と、最高の魔導師であった軍師ラナは、勇敢に戦うも三日三晩の激戦の末敗北し捕らえられ、処刑された。

 王族は全員絞首刑となり。全員死んだ。
 いや、辛うじて俺だけは生き残れた。

 俺を昔から影で守っていたクシャと呼ばれる隠密護衛部隊の生き残り、ハノが助けてくれたのだ。

 そのおかげで俺は生き延びた。
 そして彼女と共にマダンを倒すことを誓い。俺は王国からの逃亡の際手に入れた、王家代々から伝わる家宝の魔剣、ソルデファーを片手に世界中の魔物やマグネリア帝国軍と、激戦を繰り広げた。

 いろんな国々の英雄達と共に協力し、数々の困難を乗り切った末、遂にマダンがいる帝国の領土まで辿り着いた。


 もう、勝利は目前かに見えた。


 だが――。

「く………バカな…………」
 大剣こと魔剣ソルデファーを支えに立っている俺は、目の前の光景を疑った。
 焼け付いた野原、火薬や血の匂いなどが充満する戦場は、仲間の屍により血に染まっていた。
 優勢だった俺達連合軍が、今、目の前の脅威に壊滅寸前まで追い詰められていた。
 その脅威とは、リザードマンだ。
 戦闘能力はエルフを遥かに凌ぐ爬虫類族。脅威的な身体能力は、魔導師が魔法を使う前に切り裂き、そして鋭い牙と強靭な顎で相手を見るも無惨に噛み砕く程。それがざっと数千はいるだろう。帝国がこれだけのリザードマンの軍を所持していたとは、全くの予想外だった。
 戦局は絶望的だ。今まで何度もハノ達と危機を乗り切ってきたが。流石に今この囲まれた状態で戦闘の続行は無理だ。このままでは、俺達は全滅する。
「ハノ! みんなを連れて逃げろ!」
「え!」
 退き際と判断した俺は、後ろでリザードマンの攻撃をかわしながらも、両手剣を振り回し応戦しているハノに命令を下す。
 周りでは、リザードマンに斬られ、食われて行く兵士達。
 もはや、残りの兵士達でも数百人程度しか残っていない。正直言って、彼等ではもはや粘ることすら不可能だ。
「うおおお! ――ハァッ!」
 せめて近くで戦っている兵士だけでもと、俺は力を振り絞って敵をソルデファーで薙払う。
 波動斬(はどうざん)――刀身から放たれる漆黒の波動は、敵を跡形もなく吹き飛ばす。
 今まで、この剣には何度救われた事か。俺はこの剣に感謝している。だが、それも今日限りかもしれない。
「おい! お前ら、撤退しろ!」
「リスク様! あなたも――」
「俺はいい! 最後まで戦う……」
「リスク様しかし!」
「これは命令だ!」
 ハノを含め、周りの兵士達の疲れ切った表情が強張る。そして、意を決したかのようにお互いを見合わせた後、俺に言い放った。
「その命令は聞けません!」
「リスク様。私達は、これからも運命を共にします! 一人だけで戦わないで下さい!」
 やはり、みんなは聞き入れてくれなかったか。確かに、気持ちは判らなくない。俺が逆の立場であったとしても、命令を無視していたはずだ。しかし、心が痛む。
 俺と残ったがために、命を散らすとなると、やりきれない気持ちになる。こういうのは何度も経験はした。だけど、それでも仲間を失う悲しみは募るばかりだ。
 仲間を失うのは、もう嫌だ。
「みんな、すまないが。嫌でも撤退してもらう!」
 俺は魔剣の力で魔力を高め、上に手を翳して転送魔法を発動させた。
 光に包まれた仲間達が、驚愕の表情で俺に叫ぶ。
「リスク様! 何故です!」
「リスク様! せめて、せめて代々からあなたに仕えていた私だけでもお側に!」
「ハノ……お前は生きろ! 俺の分まで」
「り、リスク様!」
 悲しみに染まったハノの表情を一瞥した俺は、辛い気持ちを面に出さず背を向けた。
 周りで戦闘を行っている兵士達は、そのまま光輝くと共に、この戦場から消えた。
 転送魔法はそれほど遠くには転移出来ない。だが、この戦場からは十分避難出来るだろう。
「すまない……みんな」
 こんな自分勝手な真似をした俺を、許してほしいとは言わない。だけど、今は俺の分も生き延びてくれ。そして、この戦場が俺の死に場所だ!
 俺は弱りきった体に活を入れ、ソルデファーを構えた。
 目の前には、リザードマンの軍勢。その数は未だに数千を維持している。だが、死を覚悟した以上、俺は後退しない。
「行くぞぉ!」
 颯爽と、敵陣に俺は駆け出した。




 敵の軍勢に突撃して、どれだけ時間が経っただろうか?
 俺は未だに魔剣を振るい、敵を薙払い続けている。だが、もはや体は限界に達していた。
 傷や疲労のためか、視界が掠れて見える。
 呼吸を荒げて、俺は倒れそうな体を屈むような体勢にし、剣を地に刺し身を支える。
「はぁ……はぁ……まだまだか」
 うなだれていた顔を上げ、こちらに向かって進軍してくる敵を睨む。だが、もう抵抗する力は殆ど残ってない。
「ここまでか……」


 忍び寄る死を、受け入れようと覚悟した俺だった。


 しかしそんな中、突如俺の前で不可解なことが起きた。
「な、何だあれは!」
 正面の空にヒビができ、ガラスのように割れた後に黒い裂け目が出来たのだ。
 そして、空の黒い裂け目から紅い光に包まれた何かが、俺の目の前に降り立った。
「イエーイ! 頓・着!」
「ディメイションさん! それを言うなら到着!」
 俺は夢を見ているのだろうか?
 突如現れたこの二人は一体何者だ?
 体を上下にリズム感のある動きで、右手を空に指を差す男。防御性が低そうな桃色の長髪をさらけ出したヘッドアーマーに、何とも若く自信に満ち溢れた、精悍な顔付き。
 深紅のロングジャケットと銀色のベルトを巻いた黒い長ズボンに、漆黒の鉄製グローブにブーツと言う変わった格好をした、摩訶不思議な存在。
 その隣には黒い聖職服のようなのを着た、黒い髪に瞳の少年。
「まあ、何にしても着いたな! へへへ」
「まったく……下校中にいきなり僕を誘うんだから――って、うわっ! 何かトカゲみたいな人間が沢山いるよ!」
「おぉ〜! 何かきしょいな。舌を蛇みたいにペロペロ出してるのが、何か良ちゃんっぽいぜ」
「何でだよ! てゆーか僕あんな下品な真似してないし出来ないよ!」
「え、本当? 試しにやってくれ」
「それこそ何でだよ!」
 平然とした様子で意味の解らない会話を行う二人。
 俺は唖然と危機感の無い二人を見ていたが、すぐに我に返って叫んだ。
「お前ら、一体何者かは知らないが、ここから逃げろ!」
「え、あっ! あなたは?」
「俺はリスク。この戦場に残った最後の戦士だ」
 俺はある程度回復した体を立たせ。聖職服の良ちゃんと呼ばれる少年の後ろにいるリザードマンを、瞬時に両断する。
「うわ! びっくりしたぁ。あ、ありがとうございます」
「俺の後ろに下がれ!」
「は、はい!」
 俺はようやく事態を把握して驚いた少年の前に立ち、襲い来るリザードマンを斬り倒しながら訊ねた。
「お前達、いったいどこから転移してきた?」
「え? えと、日本って国からです!」
「日本? 初めて聞く国だ」
 知る人が少ない、小規模の国だろうか?
 この見たことない服装からして、嘘をついてるようにも見えない。実在する小国なのは確かだろう。
「あ、あの。大丈夫ですか? 凄い傷だらけ何ですけど……背中に矢が刺さってますし」
「気にするな。どうせ今から散る身だ、心配する必要はない」
「えっ!」
 俺は戦いながらいきさつを説明する。
「それじゃあ、僕達が来るまでたった一人で!」
「そうだ、死ぬのは俺だけでいい。俺は戦士だ。みんなを守り戦場で死ぬのは本望。だから、今こそ命を賭して戦うべきなんだ!」
 付近のリザードマンを波動斬で一掃した後、俺は後ろに一歩下がり良ちゃんの隣に立つ。
 剣を構えて前を睨む俺の横顔を、良ちゃんは切なそうに見つめていた。
「なぁる程、戦士だから戦死するわけか! 上手いなぁあんた。アッハハハハ!」
「オイィ! そこ空気読めえええ!」
 何がおかしいのだ? このディメイションと言う男の言っている意味が解らないのだが、妙に腹が立つのは何故だ?
 良ちゃんの怒り具合から、俺は馬鹿にされているのだろうか?
 だが、このディメイションと言う男、大した身のこなしだ。余裕綽々の笑顔で、襲い来るリザードマンの斬撃を、残像を残す程の速さで僅かに体を動かして避けては、相手の頭を指で軽くつつき。
「フッ……お前はもう、死んでいる……なんてな! ダッハハハハ!」
「アべしっ!」
 言葉の後にリザードマンの頭は爆発し、奇怪な叫びと共に絶命する。
「イヤイヤイヤイヤ! 冗談じゃなく本当に死んでるから!」
 良ちゃんはディメイションとやはり意味の解らないやり取りをしてるが。それよりも、何て力だ。初めてみる魔法だ。
 この男は本当に何者なんだ?
 そんな驚く俺を尻目に、ディメイションと言う男は、更に驚愕させることを見せた。
「てゆーか、凄い数だよ! このままだとヤバいんじゃ」
「いよっし! んじゃあ一掃すっか」
「え?」
「何?」
 訝しげに見据える俺達の前に立ち、ロングジャケットを開いて鉄の胸部をさらけ出したディメイション。胸の中央には三角形状のルビーが埋め込まれていた。
「いっくぜえぇ!」
 徐々に赤い光が三角形状のルビーに集まって行く。
『ひぃぃっさつ! イオン・バアアアアスト!』
 そして響きある叫びに呼応するかの如く、真紅の光が勢いよく放出された。
「うおおおお!」
「う、嘘でしょおおお!」
 とてつもない威力だ!
 正面のリザードマンの軍勢が、瞬く間に光に飲まれて消滅していく。そして、光が消え去る頃には、草原で広がっていた大地は荒野と化していた。
「あ、ちょっとパワー強かったかな?」
「な、何?」
「もちっとパワー下げればよかったな……失敗失敗! てへっ」
「その猫かぶりな素振り気持ち悪いよ、ディメイションさん」
 地面を軽々とえぐる程の光を放っておきながら、まだまだあれ以上の力を放てたと言うのか?
 全く訳が解らない!
 俺は夢でも見ているのか?
 俺達を追い詰めた奴らを、たった一人の男が一撃で一網打尽にするなど、こんなこと。魔剣の力をフルに引き出しても不可能だ。
 だが、壮絶な驚愕と共に、俺は一筋の希望を目の前にした。

 このディメイションと言う男なら、もしかしたらマダンを倒せるかもしれない。
 この世界を、マダンの魔の手から救えるかもしれないと。


どうもです! 次元の悪魔と戦う次元の神様のノリと勇気の物語。ディメイション・ザ・アドベンチャーの第二部です。
今回の舞台はファイヤーエムブレムみたいな雰囲気の異世界ファンタジーです。
剣と魔法の異世界にて、何でもありなマイペース神様が何をしでかすか。こうご期待下さい!











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