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深窓のご令嬢が凡人のぼくに恋を教えてくれるそうです 作者:えま
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第3話 登校

次の日の朝、学校に行く準備を済ませ昨日起きた出来事を思い出す。
君敵時雨、椿楓、七瀬匠との出会い、恋愛塾への入部。
何もかもが新しく、輝いて見えた。自室以外でようやく自分が自分らしくいられる空間を見つけることが出来た。彼らともっと同じ時間を過ごしたい。もっと同じことをして思い出を作りたい。そうしている内にきっと、僕の知らなかった恋情が芽生えるかもしれない。そう考えると一分一秒がとても長く感じた。
現在の時刻は七時二十分。ここから学校までは十分とかからないので朝練のない僕にはまだ早い時間帯だった。初めて僕のメールのアドレス帳に加わった三人のアドレスを眺めていると、家の呼び鈴が鳴る。
恐る恐るドアを開けると、七瀬くんがポリポリと気恥ずかしそうに頬を掻きながら
「よう」と軽い挨拶を掛けてきた。
「…おはよう七瀬くん」
訳が分からなかったながらもとりあえず挨拶を返す。だが、正直に言うとこの状況を理解しきれていない。なぜ彼が僕の家を知っていたのか。中学も違うはずなのにいつ知る機会があったのだろう?そんな事を考えていると
「まあパニクってるのは分かる。歩きながら話すからさ、とりあえず用意清ませてこいよ。」
「わ、わかりましたよ。少しだけ待ってて下さいね」
そう言い残し、自室からスクールバッグを手に取り玄関に向かう。
誰もいない空間に向かって「行ってきます」と小声で呟きドアを開ける。
先程も感じたが、春の麗らかな日差しに目を痛め、心地よい春風が未だ咲き誇る桜の香りをのせ僕の鼻孔をくすぐる。 
そんな中、僕の高校生活二日目がスタートする。
桜並木の桜はどれも満開で春の終わりを感じさせない。そんなピンクのカーペットが敷かれた道をたくさんの生徒が学校に向かい歩を向ける。
その中にはカップルがなん組か存在しており、その全てが楽しそうに話している。
どこにでもあるようで、僕たちとはほど遠い景色をただ何となく眺めていた。
いつか僕たちもあんな風になることが出来るのだろうか。そんな事を考えていると
「なあ月之瀬はさ、マジで恋愛した事ないのか?コイツちょっと気になるな~とかさ?」
 「そんな経験がないから、君敵さんのお誘いに乗ったんですよ?」と軽く返そうとしたがその声が口から出すことが出来なかった。急に七瀬くんの表情が一変したからだ。先程までは軽そうでフレンドリーな空気を出していたが、今の彼にはそんな様子が全くなかった。真面目な表情で軽い返事をしたら暴走してしまいそうな。
真剣で何よりもその表情がもろそうに感じた。同意を求めているのか、それとも
意見を求めているのか、人と話すことにあまり慣れない僕では返事の仕様がなかった。それでも彼には期待と覚悟、両方を備えた目で僕を見つめてきた為、少し考える素振りを見せ、答える。
「そんな経験したことないですよ。どんな感情なのか、知りたくはあるけれど知る術が無くて、一生恋愛なんて出来ないのかな?って考えたこともあります。
その面では君敵さんに期待と信頼を抱いていますよ」
 これで、恐らく間違ってはいない。変に同情をしに行ったり聞き返したりすると変な空気になりそうだからだ。そんな事をするよりは正直に、そして相手の求める答えに近い事を言う方がましだ。僕の返答に納得してくれたのか、昨日見たような軽そうなオーラをまとい
「そうか。わりーな、変なこと聞いちまって」
 僕は首を横に振り、この会話を終わらせ、本題に移す。
「そういえば、なんで七瀬くんは僕の家の場所を知っていたんですか?」
「んーあー、そーだったなー。まあ簡単に言うと君敵に教えてもらったんだよ。それで、親交を深めるために明日は月之瀬と一緒に学校に来いってな」
 わーい。謎が謎めいちゃった。確かに君敵さんとは同じ中学だったが、家の場所を教えた覚えはない。間接的に知った可能性もない。何故なら僕は、中学時代に、誰も家に呼んだことがないからだ。…ああ悲しきかな人生。
「そ、そうだったんですね。それなら納得ですね。」
 実際なにも納得していない。引きつった笑顔で会話を流す。
ここで正直なことを話しても、面倒なことになるだけだ。とりあえず学校についたら君敵さんと話をしないと…
そんな事を話している内に学校に到着し、七瀬くんと別れを告げ、僕の属するA組に向かう。クラスは昨日に増して騒がしく、男子は教室の端で集まり、何か話し合いをしていた。一人の男子生徒が僕の姿を見つけると、足早に僕の元に駆けつけ手を取る。
「ちょ、ちょっと⁉何をするんですか?」

「来れば分かるさ!なにも言わずに来い!」
 状況が掴めない中、僕は男子の塊に吸収された。頭の中で大音量の警報が流れ、慣れない人混みに軽く頭痛を起こす。ようやく落ち着いたかと思えば飛んできた第一声が
「で、お前は誰に投票するんだ?」

「投票って何にですか?クラス委員長でも決めるんですか?」

「バカかお前は決まってんだろ?内のクラスの美少女ランキングだよ」
 いきなり人混みに連れていかれ、知らない生徒からお前呼ばわりされた挙げ句、
投票だって言うから委員会かと思えば美少女ランキングの投票だと?バカはどっちだよ!と突っ込みたくなる衝動を抑え、状況を整理する。
美少女ランキング投票、これは高校生活の最初における王道なイベントだということは漫画とアニメで理解している。実際に存在するとは思いもよらなかったが…
まあ何よりもこのイベント…たちの悪いことに恐らく強制参加だということ。
断れば空気の詠めない奴扱いを受け、投票を行えばもし、女子にバレたときにくず扱いを受けることだ。本当にこの類いのifの話は嫌いだ。なぜなら、妙に起こりそうで恐ろしいからだ。さて、どうしたものか。まあこの場の雰囲気的にとりあえず答えておくことにしよう。このクラスに置いて僕が知っている女子は君敵さんのみ。『君敵時雨』と書き綴り男子生徒に手渡す。その男子生徒は「またかー」と唸る。どうやら君敵さんはこのクラスで人気があるらしい。まあ中学もこんな感じだったから、そこまで驚きはしないが。
とりあえず解放されたのか、男子の輪から離れてもなにも言われることは無かった。危うく吐く所だったと額の汗をぬぐい自分の席に着く。
「おはようございます月之瀬くん!」

「ああ…君敵さんおはようございます。」
 なにが「おはようございます!」だよ…普通に返事を返した僕も僕だけど。
今日は朝からどっと疲れた。とりあえず君敵さんに七瀬くんのこと、聞いておこうかな。
「あのー君敵さん、少しお話が…」

「はい?なんでしょう?」
 「なんでしょう?」じゃねーよ…
僕は心の中で軽いツッコミを入れ、本題に入る。
「どうして僕の家を知ってたんですか?」

「あら…その質問が来たということは、朝は七瀬くんと一緒ですか?」

「まあ…はい。ところで、なんで僕の家をご存知何ですか?」

「なんでってそれは…家が隣だから…ですが?」
キーボードの「N」「B」「変換キー」が反応しにくくなっていて少し困っている
えまです。
今回は登校編。本当は部活編にしたかったんですが、思いの外字数が…
次回こそは部活編に突入したいと思います。
応援よろしくお願いします。
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