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003*サファイア〔002〕
 その日以降、サファイアは。
 ますます腕白に、活発に。
 養育係を少々手こずらせる程に。

 サファイアには、二歳下の妹が。
 サファイアと同じ、青い瞳。
 ほとんど金に近い、明るい栗色の、豪華な巻き毛。

 それは、父と同じ特徴。
 そして、顔立ちは母譲り。
 兄妹共が。

 両親は兄妹とも慈しんだが。
 サファイアも、保護者の側に立ちたがり、妹を溺愛。

 まるで自分の、分身のように。
 両親と一緒になって、
 品よく、可愛く、美しく、妹を着飾らせる。

 家は代々、服飾を手広く扱い、
 父の代からは、金銀宝石の細工にも手を伸ばし、成功。

 王室御用達でもあったので、
 身を飾る洗練された品々はそれこそ、
 溢れんばかり。

 そんな環境の中で。
 サファイアの美的感覚は自然に、磨かれてゆく。

 ある日、散歩がてら、
 父に連れて行ってもらった支店では。
 大人顔負けの接客を、してみたり。

 おくさまにはこちらのお布のほうが、
 ちょっと当ててごらんなさいまし、
 ほら、おぐしの色に、よく映えますこと、などと。

 六つかそこらの「坊や」が、こまっしゃくれて。
 しかも存外、的を射た選択を展開するものだから。

「おくさま」は、すっかり上機嫌。
 すすめられるまま、お買い上げ。
 サファイアの髪をなで、弾む足取りで店をあとに。

「若様の、なんと才たけていらっしゃること」
 奉公人一同、舌を巻く。


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