002*アメジスト〔004〕
お大尽、あなたがあたしに同情したいなら、
させてあげましょう。
ええ、いくらでも、ね。
無力で哀れで、いたいけな子供を演じるのなんか、
造作もないこと。
むしろ、楽なくらい。
そのぶん、身体をすり減らさなくて、すむもの。
たまに、こういう奇特な客が現れる。
身体の奉仕を求めるのでなく、心の癒しに飢えた者が。
こういう客をこそ、彼女は大切に扱い。
何度も自分のもとへ通わせるために、
あれこれ作戦を練り、手練手管を駆使。
なにせ。
全身をくねらせ腰を振り続けて何度も達したふりをするのは。
たいへんな、重労働。
それをしないで、すむのなら。
脳細胞と舌先と声音と表情と仕草をフル稼動させるほうが、
はるかにまし。
彼女は、この老人にも、それをやった。
脳細胞と舌先と声音と表情でもって奉仕した。
無力で哀れでいたいけな少女を演じ切り、魅了。
以来、
老人は三日と空けず彼女の元へ通うようになり。
ほどなく、
毎夜、彼女を貸し切るようにまで、なった。
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