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青春という名の日々に
作:tensuke



26.青春という名の日々に


26.青春という名の日々に

遠い日の想い出 青春という名の日々に出逢った少年たちの
その後を私は知らない
二人で暮らす事にしました 近くに来たときには寄って下さい
そんな簡単なハガキが届いたのは 大沢が退院してから
三ヶ月程たった頃だったと思う

私は彼らを訪ねる事はしなかった
そうして 掛け違えたボタンのように彼らとの接点は遠のき
私は自分の人生における彼らの存在を過去に置き去りにした
恋しくてたまらない少年たち
愛しくて仕方のない少年たち
そんな二人を私は忘却の彼方へと押しやった

少しはその面影を捜していたのかもしれない
その後 私は 一人の青年と恋をした
彼は落ち着いた人柄が大沢を思い起こさせ
優しい笑顔が宏に少し似ていた
私は彼と家庭を築く誓いをした

病めるときも健やかなる時も 常に汝これを愛すると誓うか
はい と応えた一瞬 脳裏に二人の少年の顔が浮かんだ
顔を覆う白いベールをあげられて
静かな口づけに愛を誓った一瞬に
私は彼らの事を思った

彼らは
どんな人生を辿るのだろうか
恋が許す範囲を踏み出した時 彼らの前に果てしなく広がる未来は
決して平坦なものではないだろう
彼らは手をつなぎ その道のりを超えてゆくのだろうか


穏やかな愛に包まれて 平穏な日々の中ゆるりと流れる時に身を任せ
ぬるま湯につかったような心地よさと
日だまりでまどろむような穏やかさに慣れてしまいそうになる
そうして あの胸を焦がし 涙した日々を懐かしく思い出す
恋はきらきらと美しく その期間限定のトキメキは強かで残酷だ
彼らを その残酷な時が引き裂く事がないように
彼らもまた いつかこの穏やかな時の流れに身を任せる日を迎えますように
私はそう祈らずにはいられない

彼らに会いたいと今思う
でも
私の前にもう彼らはいない

風の便りに 大沢が弁護士になったと聞いた
宏はモデルから俳優への転身をはかり それなりの成功を収めたらしい
テレビに無縁な生活を送る私は なかなか
その懐かしい顔に出会えずにいた
しかし 書店に並ぶファッション誌の表紙を飾る彼を見かけると
懐かしく また嬉しくて嬉しくて 二もなく買い求めたりもした

現実感が今ひとつ伴わないものの
見かける宏の姿はどれも自信に満ちあふれて 
希望と夢と愛を全身に満たしているように見えた

二人がこれからもずっと 共にその人生を歩んでいきますように
何者をも彼ら二人をわかつ事ができないように
また 彼らのどちらかが先にこの世を去る事もないように
私は 出来うる限りの祈りを心に唱えていた

青春という名の日々に
私の出逢った二人の少年
彼らの人生に幸せな日々が在らん事を祈る

Fin


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