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青春という名の日々に
作:tensuke



22.寺山宏−目覚め


22.寺山宏 −目覚め

「寺山君 たまには付き合ってよぉ〜 いつも付き合い悪すぎぃ〜」
「ごめんね 行かなくちゃいけない用事があって また誘ってね」
「いっつもそう言って断るぢゃぁ〜ん どこ行ってるの?いっつもぉ」
「残念ながらみんなで楽しく行けるような所じゃないんだ」
「ええぇ〜っえっ!どこぉ〜?」
「病院」
「どこか悪いのぉ?寺山君」
「いや 友人がずっと入院してるから見舞いに行くんだ」
「友だちぃ〜?恋人なんじゃないのぉ〜」
「そうだね そうかもしれないね それじゃまた さようなら」
「ええぇ〜っえっ」

モデル仲間の甲高い声から逃れるように 宏はスタジオを後にした
玄関を出ようとした時 不意に背後から肘を掴まれた
突然の事にぎょっとした拍子に小さな悲鳴をあげてしまった
「ひぇっ?!」

「ははは(笑)妙な声ださないでよ寺山クン 何急いでるの?
送っていこうか?僕 車なんだけど」
「・・・・・結構です」
声の主は撮影を終えた吉田だった
「つれないなぁ・・・・運転手になろうって下手に出てるのに」
「お気持ちだけありがたく頂戴しておきます」
「冗談ぬきにさ 送っていくよ 雨が降ってきたみたいだよ」
「えっ?」
「傘 持ってないんでしょ?遠慮しないで ああ 何もしやしないって」
「・・・・・結構です」
「頑固だなぁ・・寺山クンは・・・本当に前回の事は反省したって
もうあんなマネはしないよ だからこうしてちゃんと真面目に
お誘いしてるのになぁ〜」
軽い口調の吉田はどこまでが本当でどこからが冗談なのか判らない
宏は結局 スタジオの玄関で 外が本当にひどい雷雨で在ることを知り
大人げなく濡れてゆくのもどうかと思いとどまり
吉田の大きな4WDの助手席におさまった

「病院へ行くんでしょ?寺山クン」
「!どうしてそれを?」
「さっき自分で言ってたじゃない 女の子たちに
それに 調べたんだ 君の大切な友人が意識不明のまま入院してるんだってね」
「・・・・・ええ」
「恋人じゃないかって さっき話してたよね?」
「・・・・・ええ」
「そう・・・へぇ〜 大沢たかし って男の名前だけど」
「なっ!・・・どこまで調べたんですかっ?」
「君の事なら何でも全部調べたよ 僕は案外しつこいタチでね
一度狙った美人は落とすまで粘るんだ(笑)」
「・・・・・・・・・・・」
「なぁ〜んてね 半分本気で半分冗句だから気にしないで
君がさ 最近変わったなあって思って 何が理由なんだろう?って
気になっていろいろ調べちゃったんだ ごめんね
で 親友が植物人間になっちゃって 一人健気に頑張ってるってトコ?
なんか涙誘われちゃうねぇ〜 僕は何か力になりたいだけなんだけど?」
「・・・・・・・・・・・」

宏は吉田の車に乗った事を悔やんでいた
信頼したのが間違いだった
そもそも あんな卑劣な手を使って自分を抱こうとした男だ
そんなに簡単に紳士になるワケがない
そう気づいた時には既に車は見知らぬ道筋を辿り始めていた

「吉田さんッ!僕は駅までで結構ですから もう下ろして下さい」
「送っていくっていっただろ?おとなしく乗ってなさい」
「どこへ行こうっていうんですかっ!病院でも駅でもない方角に向かってるっ!」
「へぇ〜 方向感覚いいんだね そ 俺の家に向かってる」
「なっ・・・・下ろして下さい 下ろせよっ!車を止めろっ!!」
「そんなに警戒しないでよ・・・・こないだみたいなマネはしないよ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ただし 暴れられたりしたら困るなぁ〜 どんな運転になっちゃうか知らないよ」

「・・・っちくしょうっ・・・」
「寺山クンてさぁ 黙ってる時と口聞いたときの印象違うよね くっくっく
なんかおとなしそーーな美人なのに 中身は案外タフな野郎だったりしてさ
そんなアンバランスな所も魅力だよね
押し倒して ねじ伏せてみたくなる くっくっく(笑)」
「あんた・・・おかしいよ・・・どうかしてる」
「君の毒にあてられて狂ったんだよきっと(笑)だから責任とってもらわなくちゃ」
「っな・・なにを言って」
「とにかく 今はおとなしくしている方が良い 君だってそんなにバカじゃなかろう?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・ゆっくりさ・・・」
「え?」
「ゆっくり 君と話がしたいだけだよ・・・これは本当だ 信じて欲しい」
「そ・・・そんなこと信じられるワケないでしょう・・・」
「君はさ・・・・高嶺の花っていうか ガードも固くなっちゃったし
こんな方法でお姫様を攫うみたいなマネしてごめんね・・・・」
「・・・・・・・・・」

吉田はそれっきり口をきかなかった
宏もまた 口をつぐんだまま おとなしく助手席に収まっていた
車は静かに走り続け 間もなく瀟洒なマンションの前に止まった

「着いた・・・・妙なマネはしないと約束するよ だから
コーヒーだけでも飲んで行ってくれないか?後でちゃんと
本当に病院まで送り届けるから・・・・・」












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