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ふたつの国のために
作:地球の星



第15話:ありがとう


 あれからエクラードに戻ってきたヒリュウ達は、みんなそれぞれに分かれて行動していた。

 プロミネンスはカペラの通う学校に同行していき、教室で自己紹介をした。
 1時間目は道徳だったので、先生のはからいにより、その時間を利用してこれまでの旅の体験談をみんなに話すことになった。
 プロミネンスはカペラと共に教壇に立ち、彼女と出会った経緯や、これまでにあったことをみんなに話した。
 その中で彼は言葉でヒリュウを冷たくののしり、さらには彼に暴行を加たことを正直に話して反省をした。そして、教室の生徒達や先生に、いじめ反対を訴えてまわった。
 大抵の生徒は彼の訴えに納得した様子だったが、カペラにいじめを働いていた生徒は、それまでおとなしくしていた態度を急に変え、反抗してきた。
「何だ、そっちも人をそんな目にあわせていたのか。」
「そんな人に言われる筋合いなんかない。」
「あなたにいじめを解決することなんて出来るんですか?」
 生徒に混じって、先生からも言われてしまった。
 しかし、彼は冷静に対応した。
(まだ9歳、10歳の子供がこんな偉そうな態度を取るとは…。キノンでは貧しいけれど、みんな助け合って明るく生きてきた。経済的に豊かなエクラードならなおさらみんな助け合っていると考えていたが、こんな現実に突き当たるとは…。豊かさゆえにいつの間にか助け合いの心を見失ってしまっのかもしれないな。)
 プロミネンスはそう考えながら、頭の中を整理し、言葉を続けた。
「いじめはどこにでも起きます。そして人は間違いもします。僕は過去にそのようなことをしたことを反省し、これからはキノンが侵攻を受け街が壊されたという暗い過去を乗り越え、みんながクウォルの人達と仲良く過ごせるようにしたいと思っています。」
 彼がそう言った時、カペラが
「そう言えば先生、今あの人『そっちも人をそんな目にあわせていたのか。』と言っていませんでしたか?」
 と、先生に向かって言ってきた。彼女はやっぱりいじめがあったんだということを先生に訴えた。
 彼女はこれまでその事実を見て見ぬ振りをしていたが、とうとういじめを認め、今まで何も対応しなかったことわびた。
 生徒の中にはいじめを自覚し、反省する人もいたが、プロミネンスに反抗した生徒はカペラにもやじを飛ばしてきた。
「カペラ!ハーフのくせに威張るな!」
「そうだそうだ。ハーフ!」
 彼女は自分が一番気にしていることを言われて傷つき、うつむいてしまった。それを見てプロミネンスはその生徒に言った。
「彼女のどこが威張っているんだ!彼女はいじめを訴えただけだぞ!」
 と、厳しい態度で注意してきた。
「お前らは自分が今やっていることに気がつかないのか!そのせいで、このクラスの生徒達がどれほど傷ついたか分かるか!?反省しろ!」
 いじめっ子達はその姿に圧倒されたのか、さすがに黙り込んでしまった。
「ちょっと、厳しすぎないですか?相手は子供ですよ。もっと優しく接してください。」
 先生が注意に入った。
「確かに言い方は厳しかったです。しかし、僕はいじめ問題に一石を投じたいんです。自分は過去にいじめに苦しんだ妹を助けたことがあります。その時も、優しさだけでは物事は解決しませんでした。時には厳しさも叱ることも必要です。ただ、そのせいで自分が損な立場になったこともあります。自分まで嫌がらせを受けたこともあります。」
「お兄ちゃん、どうしてそこまでしてコロナお姉ちゃんを助けてくれたの?」
「理由は一つ。妹を助けたかったから。引っ込み思案だった妹は、他に誰も相談出来る人がいなかった。とにかく自分しか守ってやれる人がいなかった。だから、どんなことがあってもあきらめるわけにはいかなかったんだ。カペラも今までなかなか人に相談出来ずに苦しんだんだよね?」
「うん…。」
「だったらなおさらだ。悩みがあるなら何でもいいから相談してくれ。」
 プロミネンスはそう言った後、他の生徒達を見た。
「みんなも悩みがあったら僕にぶつけてください。いじめはただ耐えているだけではだめです。僕でよければ何でも聞きます。それからいじめをしている人に言います。いじめは百害あって一利なしです。かっこ悪いです。たとえ『子供の問題に大人が手を出すな。』と言われようと、いじめは許しません。」
「その前に、いじめた人に仕返しがしたい。あの人に、あたしがどんな思いをしてきたのかを思い知らせてやりたい。」
 カペラが悔しさを込めて言った。しかし、プロミネンスはそれを拒んだ。
「それでは負の連鎖を生むだけだ。いじめはただ罰するだけではだめだ。その背景には必ず何か原因がある。自分が1番になりたいからという思いがきっかけになることもある。家族関係の問題がからんでいることもある。どんな人でも始めから悪い人はいない。まずは彼らの心の内を知り、その上で心を癒やさなければ。」
「では、人の心を癒すにはどうすればいいのですか?」
 先生が問いかけてきた。
「僕は自分なりに一つの答えを見つけ出しました。それは『ありがとう』と言い続けることです。」
「そんなので癒せるの?お兄ちゃん。」
「ああ。僕はこの国に来てから、1日のうちで一番たくさんしゃべった言葉が『ありがとう』なんだ。ささいなことでもとにかく言い続けたよ。そうしたら、心が軽くなって、とても癒された気持ちになったんだ。この言葉はみんなの心に幸せを届け、わだかまりを抑えてくれる、まさに魔法の言葉だって思ったんだ。」
 プロミネンスは実体験を通じて「ありがとう」の言葉の持つ効果をみんなに教えた。
 生徒達は、最初「たかがありがとうか。」「そんな言葉なんて誰でも言えるよ。」と言うような顔をしていた。
 しかし、プロミネンスが真剣に話しているうちに、いじめられっ子も、いじめっ子も、先生もいつの間にか聞き入っていた。
「それではみんなで『ありがとう』と言ってみましょう。ただ言うだけでもかまいませんが、出来れば、親や友達、今までお世話になった人を想像しながら言ってください。」
 プロミネンスは早速生徒達に実践させた。最初は拍子抜けするような感じでみんなバラバラにと言っていたが、次第に気持ちがこもっていき、声もそろいだした。
 しばらく言い続けていると、さっきまでギクシャクしていた雰囲気が変わり、不思議と教室内に和やかな空気が流れてきた。みんなの表情もいきいきとしてきた。
 その雰囲気を先生も察知した。
「プロミネンスさん、あなたは人の心に本当に幸せを届ける素質を持っている人です。ありがとうございます。」
「そう言っていただき、ありがとうございます。実は今思いついたことなのですが。」
「何ですか?」
「僕は『ありがとう評論家』になろうと思っています。この言葉の持つ効果を人に教えながら、みんなの心に幸せを届けたいのです。」
「ありがとう評論家ですか。いいですね。」
「それなら、あたしは…『おはようございます評論家』になる。先生はいつも『朝私に出会ったら、ちゃんとおはようございますと言いましょう。』って言っているし。」
 カペラが明るい口調で続いた。
「それもいいですね。それじゃ私も含めて、みんなで何かの評論家になってみましょう。あいさつや友達、趣味などが持つ意味についてみんなで文章にして、それを来週の道徳の授業で発表してみましょう。みんな自分でテーマを考えておいてくださいね。」
「はーい。」
 生徒達からは威勢のいい声が返ってきた。プロミネンスは授業の前と比べて、教室の雰囲気が大きく変わっていることを実感していた。
 それと同時に授業修了のチャイムが鳴った。

 ヒリュウはコロナとマフンを連れてエクラードの街を案内してまわっていた。
 案内が一区切りつくと、彼はかつて自分がユースで所属していたサッカーチーム、FCエクラードの施設に向かった。
 そこではU-21クウォル代表のメンバーが合宿をしていた。その中には、ヒリュウがユース時代に同じチームで共に汗を流した選手や、ライバルとしてしのぎを削った選手もいた。
 練習風景を見ながら3人は色々話をしていた。
「マフン、あれから親とどうなった?」
「何とか仲直り出来たよ。」
「本当?すごいわね。」
「ありがとう。まあ、これまでゴタゴタがあったけれど、今回の旅を通じて、やっぱり恨んでばかりじゃいけないって思い直したんだ。考え方の違いは相変わらずあるけれど、何とか一緒に暮らしていく決心がついたよ。」
 マフンは言いながら、プロミネンスやライラックの言っていたことを思い出した。すると、彼は次第にライラックのことに思いふけるようになった。
(自分と5つも年が離れているけれど、いい人だったなあ。また会えるかな…?また会えたら、付き合ってくれるかな…。)
 そうしていると、ヒリュウが突然
「でさ、マフンはこれから仕事どうするんだ?」
 と、聞いてきた。
「えっ?」
 マフンは驚いて、急に我に返った。
「えっと、僕は親が紹介してくれたイベント業の仕事にアルバイトで就くつもりなんだ。この国では兵役を修了していないと就職は不利だから、今のところはこれで我慢するしかないけどね。」
「でも、兵役をやめたおかげで、2年3ヶ月の時間が出来たでしょ?そう考えればいいんじゃない?」
「そうだね。コロナの言うとおりだ。アルバイトでもいいから、これからいっぱい働いて、いっぱいお金を稼いでやる。」
「稼いだら、何をしたいんだ?マフン。」
「描いた絵をコンテストにでも出そうかな?」
「応募?」
「うん。実は今回の旅の思い出をたくさんの絵にするつもりなんだ。それをコンテストに出して、もし入選すれば、みんなが見てくれるし、それでふたつの国の架け橋になれればって思っているんだ。」
「素敵な目標ね。私も応援するわね。」
「ありがとう。ところでヒリュウは就職活動どうするんだ?」
「どうしようかなあ…。」
「それなら、僕が登録したイベント会社に来ないか?『人手が足りないから友人を紹介してくれ。』って親に頼まれたんだ。」
「いいねえ。世話になってもいいかな。」
「OK。じゃあ紹介しておくね。」
「私もそれに参加出来るの?」
「コロナは今のままじゃ無理。ここで留学するか定住するなどして、さらには就労許可証を取らないと。」
「そう…。」
 ヒリュウが言ったことを聞いて、コロナは残念そうに返事をした。
「そうだ。僕、こんな資料を見つけたんだ。」
 マフンはかばんからとっさにエクラード音楽学校のパンフレットを取り出した。
 コロナはそれを受け取ると、たちまち読みふけった。そこには楽器が弾ける人や、作詞作曲が出来る人を募集している記事が載っていた。
「これ、いいわね。後で兄さんに相談してみるわ。」
 コロナは一通り読み終わる頃には、すっかり興味を持ち、留学してみたいと考えるようになった。しかし、入学金や授業料の欄を見て、表情が一変した。
「こんなにお金が必要なの?私、とても払えない…。」
 マフンはそれを聞いて、はっとした。
「ご、ごめん。確かにお金が必要だよね。」
「でも、僕の家に帰ったら相談くらいはしてみよう。すぐにはだめでも、そのうち何とかなるよ。」
 ヒリュウは機転を利かせて、彼女を励ました。
「そうね。ここで色々勉強して、いつか音楽で活躍して、音楽で国の違いを乗り越えて分かり合っていくことが出来れば…。夢かもしれないけれど…。」
 3人が話していると、やがて合宿は終わり、選手達は見学に来ていた200人くらいのファンのところへと向かってきた。
 彼らはファンと握手をしたり、サインをしていった。
(僕のこと、覚えている人はいるのかな?)
 ヒリュウは選手達を見ながら、自分がもう忘れ去られたのではという不安にふと襲われた。
 すると、選手達を集めようとしていた50歳くらいの人に目がとまった。
「イプシロン監督…。」
 彼もこっちに気がついた。
「ヒリュウか?来ていたのか?ここに。」
「はい。あなたはこの代表の監督になったんですか?」
「ああ。FCエクラードのトップチームの監督を経て、今年からな。私の手腕が買われたらしい。」
「そうですか…。昇進、おめでとうございます。」
 ヒリュウはどこか寂しげに返した。その雰囲気を察したのか、監督も左足のことを気にしだした。
「ところで、お前はあれからプロに戻れる体になったか?」
「…。」
 ヒリュウは何も答えようとしないまま、うつむいてしまった。コロナとマフンはかける言葉も見つけられないまま、じっと彼を見つめていた。 
「まあいい。せっかく来たんだ。後で一度ゆっくり話をするとしよう。」
 監督は選手達のところに行き、彼らに宿舎に戻るように言い渡した。
 選手達がいなくなり、観客もいなくなった頃、3人は監督に誘われて、ピッチ横のベンチまで歩いていった。
 ヒリュウは監督にコロナとマフンを紹介した。そして、彼らはこれまでの旅で体験したことを話して聞かせた。
 監督はそれをじっと聞き続けた。
 3人の話が終わると彼はヒリュウをベンチに座らせ、ズボンの左すそをめくりあげるように指示してきた。
 ヒリュウはひざに湿布越しにテーピングを巻いており、その上にコロナからもらったハンカチを巻いていたが、それらを全て外した。
 監督は大きく残る傷跡の辺りをマッサージしながら、彼がこの4年間、どんな日々を過ごしてきたのかを詳しく聞いてきた。
 ヒリュウは自分がもうプロになれないことを宣告されそうな不安に襲われたが、それでも正直に話した。
 監督はマッサージが終わると、申し訳なさそうに質問をしてきた。
「お前、今でも私を恨んでいるかね?」
「恨んでいるって、どういうことですか?」
「私はあの試合で、守備固めのためにお前をゴール前につくように指示したせいで、あんな大けがをさせてしまった。それに大けがのショックで引きこもってしまったお前に、私は助けるどころか、戦力外通告という悲しい現実を突きつけてしまった。恨まれて当然だろう。」
「…。」
 ヒリュウは何も言わず、じっと聞き続けていた。
「私はあれから何度も罪の意識にさいなまれて、夜眠れなくなった時もあった。私は結局、自分だけが出世し、お前の夢をつぶしてしまったが、決してお前を冷たく見捨てたわけじゃないんだ。私は…。」
「もうそれ以上はいいです。」
 ヒリュウがさえぎった。
「確かに、けがをした時や、戦力外通告を受けた時の悔しさは、決して忘れません。プロに行けなかった悔しさも、決して忘れません。でも、たとえプロになれなくても、好きなサッカーは絶対にやめません。僕はサッカーを通じて、国と国を結ぶ架け橋になりたいと考えています。」
「架け橋かね?」
「はい。僕はナルビオンのキノンを立ち去った後、たまたま立ち寄った都市で、サッカーに参加してきました。そこで、たとえどんなに背負った過去や考え方が違っても、スポーツを通じてお互い分かり合うことが出来ました。そして、スポーツに国境はないんだなとはっきりと感じました。だから、僕はサッカーを通じて友好の架け橋になりたいと考えています。」
 ヒリュウは、胸を張って言い切った。
「そうか…。」
 監督はしばらく黙って考え込んでしまった。
「あの…。」
 コロナが迷いながらも、口をはさんできた。
「何かね?」
「ヒリュウ君を、もう一度サッカーの表舞台に立たせることって出来ませんか?」
 一見無茶な発言に他の3人は驚いてしまった。
「監督さん、お願いします。ヒリュウ君を試合に出してあげてください。今のままでは、あまりにもかわいそうよ。私、どうしても彼に夢をあきらめてほしくないの。」
「ちょ、ちょっとコロナ。気持ちはありがたいけれど、プロは厳しいんだよ。実力があっても、けがなどで戦力になれなくなったら、否が応でもチームを去るしかないんだ。今の僕の足じゃ、1シーズンずっと戦力になり続けることなんて無理だよ。」
「お願いします!」
 ヒリュウに言われても、コロナは懸命に訴えた。
 それを聞いて、監督は真剣に考え続けた。
 考えた末に、声をかけてきた。
「ヒリュウ。お前、本当にもう一度表舞台に復帰したい気持ちがあるかね?」
「…はい。そのために、苦しいけがとの闘いに耐えてきましたから。」
「お前はサッカーを通じて、本当に友好の架け橋になる気があるかね?」
「はい!」
「コロナさんをはじめ、クウォル軍の侵攻による被害にあわれたキノンの人達の役にも立ちたいかね?」
「はい!」
「そうか。それならいい考えがある。実は、私はクウォル対ナルビオンのチャリティーマッチを計画しているんだ。これならお前のその願いを全部一度にかなえられると思うが、どうかね?」
「本当に実行してくれるんですか?監督。」
「ああ。私もキノン侵攻の報道を聞いて心を痛め、被災者のために何かしたいと考えていたんだ。どうだ、最高の舞台だろ?」
「はい!ぜひ僕も参加させてください!」
「もちろんだ。まかせてくれ。お前をきっと出してやる。」
「はい!」
 ヒリュウは目を輝かせながら言った。
 監督はその後、エクラードで新たに出来たサッカーのアマチュアクラブチームに彼を所属させてくれることも約束してくれた。
 みんなが集まって活動する日は週2回だけだが、それでも再びサッカーをする機会を与えられたことは、ヒリュウにとって嬉しいことだった。

 オゾンはしばらく閉めていた自分の店を再開させるために野山へ行き、野草を採りに行った。
 彼女は店に戻ってくると、早速野草をすりつぶし、薬を作り始めた。
 すると、キリュウが店にやってきた。
「あら、今日は帰るの早いですね。」
「ああ。ちょっとお前に相談ごとがあってな。」
「何ですか?」
「実は今日、ノナの意向で、悪化したナルビオンとの関係改善をアピールするために、テレビCMを作ろうという案が出たんだ。」
「すごいですね。キリュウさんも関わっているんですか?」
「そうだ。しかし、CM出演を引き受けてくれる人がいなくてな。誰かいい人がおらんもんかな。」
 キリュウは困った表情を浮かべて言った。
「それなら心配しないで。ヒリュウがいますよ。」
 オゾンは自信もって言うと、彼がふたつの国の架け橋になる決心をしたことを話して聞かせた。その内容を聞いて、キリュウも納得した。
「そうか、あいつにそんな気持ちが芽生えたのか。それはありがたい。ぜひ協力してもらおうか。」
「はい。彼も喜ぶわ。でも、一つ質問があるんですけど。」
「何だ?」
「ヒリュウがノナさんと会うことになりますけれど、大丈夫でしょうか?」
「心配はいらん。彼女はあれから息子に会いたいと考えるようになってくれた。それに、ヒリュウもきっと母親に会いたがっているだろう。」
「分かりました。では伝えておきますね。相談のためにわざわざここまで来て頂き、ありがとうございます。」
「礼を言うのはこっちのほうだ。色々相談にのってくれるばかりでなく、役に立つアドバイスもくれる。お前には頭があがらんよ。ありがとう。」
 2人は早速ヒリュウに伝える内容について考え始めた。

 プロミネンスは学校が終わると、カペラと一緒に帰り道を歩いていた。
「お兄ちゃんすごいね。あんなにいじめ問題を解決しようと努力してくれるなんて。」
「まあ、いじめる側の実態を知った時、おれがヒリュウにやってきたことと重なって見えたからな。いずれにしても、クラスのみんなの助けになれてよかった。」
「ねえ、明日からもまた学校に来てくれる?」
「もちろん、頼まれれば行くつもりだ。色んな生徒の相談相手になりたいからな。」
「わーい、ありがとう。」
 楽しそうに話しながら歩いていると、突然何処からともなく車の急ブレーキの音が聞こえ、何かにぶつかるような音も聞こえた。
 その音に驚いて、2人は足を止めた。
 しばらくすると、1台の車が建物の陰から姿を現し、猛スピード走り去っていった。
「何だろう。行ってみるか?カペラ。」
「うん。」
 プロミネンスはカペラと一緒に、車の出てきた場所へと向かっていった。












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