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第13話 〜ダイアモンドの原石〜

 


 「いや
  だからって…

  アンタ…
  色気ねえな」


 なぜ言い出した張本人(ちょうほんにん)
 桜井が困る?


 「もうちょっと
  ……。
  っていうか
  かぁなぁりぃ!
  何とかしてもらわんと」


 「なに?
  ノートくらいなら
  いくらでも貸すけど?
  ノートって言っても
  “それ”以外のだけど

  言うこと聞くから
  そのノートは
  かえしてよ?」


 どうせコイツ。
 授業中。
 寝てんだろうし。
 そんな気がする。
 渡辺と同じニオイがする。
 アタマはいいくせに。
 ノート提出時
 困るクチと見た。

 
 「……。
  それに。
  ガキ」

 桜井が
 冷めた声で呟く。

 あんたに
 言われたくないし!


 妙に腹が()わってきて
 クールにそう心で突っ込む。

 言えないけど。


 「俺の指令
  全てこなせたら
  ノートは返してやる」

 桜井が不適に笑った。


 「ほんと!?」


 でもあたしは
 それで
 少し安心した。


 でも。
 待て。

 指令って何だよ。

 奴隷かよ。
 下僕かよ。
 手下かよ。
 …それに近いモンは
 あるのか?
 …。
 選択を
 誤ったかもしれない…。

 だけどもう
 そんなこと
 言ってられない。


 「これでもあたし。
  もうすぐ
  誕生日なんだよ」


 それを聞いた桜井が 
 怪訝(けげん)な顔をしてる。
 なんで?


 「……。
  メガネ取ったら
  実はカワイイとか?」


 「やだっ。
  なにすんの」


 メガネを外される。


 「…び、微妙(びみょう)?」

 「なにが!?」


 失敬(しっけい)だなっ!

 視界(しかい)がボヤけるから。
 やめてほしい。


 「そうか。
  そんな
  古典的少女マンガ展開は
  ムリムリかっ」

 「なんで
  うなだれるのっ!?」


 桜井が
 あたしにメガネをかけながら
 肩を落としてうつむくから。


 「あー
  うー
  まー
  そのー
  アレだな

  オタク共が好きな
  萌え系とでも…
  ムリヤリ
  思い込んだら
  ………。
  …何とか?
  俺の好みじゃ
  ねぇけど…。

  原石と思いこめば
  ナンとか」

 急に
 階段に座りこんで
 考えこみ始めた。


 何、思考迷走(しこうめいそう)してんだ?
 コイツは?


 原石(げんせき)


 それで思い出した。

 あたし、
 もうすぐ誕生日だ!


 「あたし、
  原石だよ」

 「あ?」

 「誕生石
  ダイアモンドだもん。

  でも
  まだ成人してないし。
  ダイヤとかって
  まだ似合わないし。

  恥ずかしいから
  原石だって
  思うことにしてるんだ」

 
 「それだ!」

 「なにっ!?」

 桜井がぱっと
 あたしを見上げて
 指差した。


 「オマエ、今。
  若いっつーたな?

  そーだよなー。
  何か1つくらい
  イイとこないとなあ
  やってらんねーし」

 勝手に何か
 納得されてる。


 若い?

 そんなこと
 言ってないぞ。

 じっさい同学年だと
 4月生まれって
 歳1コ違うじゃん?

 ただ
 誕生石のダイアモンド。
 似合わないって
 言っただけで。

 あたしとしては
 …なんかもう高校生で。
 歳くった気が
 してんだけど?


 「…桜井も
  若いじゃん
  同学年だよ?」


 「若いから
  いろいろあんじゃねーかよ」



 そう言って笑った桜井。
 でかい図体(ずうたい)して
 コドモっぽく見えて。

 何だ。

 コイツ、
 けっこう
 イイヤツ?

 少しだけ
 そう思って
 笑えたんだ。




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