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第10話 〜それは略奪愛妄想計画〜


  
 略奪愛。




 なんか書くと

 …お昼のメロドラマ…

 みたいな?



 とにかく翔子のレンアイは
 略奪計画なのだ。

 敵は
 亜季さんに里美ちゃんに。

 校内に多数いる
 ファンどもなのだ。


 あたしは翔子といっしょに
 ノートを開けて
 もくもくと計画を考える。



 「だからー。

  何でノートに書くのよー。

  勉強違うんだからあ!」



 はじめ翔子は異論をとなえた。

 だが!


 「へたに人にみつかっても
  ヤバメだから。

  ちゃんと
  AさんBさん
  って書くの。

  それにね。翔子。

  こうやって
  書くことによって
  目標が定まるのよ。


  受験と同じよっ!」



 同じかどうかは確信はないぞ。

 でもなんか。
 弱ってる翔子は
 らしくない。

 だからつい(りき)んじゃう。



 ノートには
 翔子がカワイイ文字で
 思いついたアイディアを書いていく。



 「敵は多いんだよ!
  やるならしっかりしな!」


 そばであたしは励ます。


 励ましになっているかいないかは、
 …どうだろうか…。



 「なんかー。

  ちがうー。

  いやー。

  なんか
  乙女ちがうー。


  青春ちがーう。


  ピチピチしてないー!


  キャンキャンしてなあい!



  なんてゆーか…

  ヒューヒューしてるってゆーかぁ?

  歴史小説ホコリっぽい
  ってゆーかぁ?


  灯って
  …策士?策士?」



 「何をいまさら。

  恋愛だって
  方程式や
  攻略法や
  心理学が関係してくるのにちがいないわ。

  まちがいないんだから!」

  あたし。

  本当か?



 「うーん。

  そうなのかもねえ。

  やだ。
  どうしよう。
  計画書いただけで
  もう成就しちゃいそうな気が…」


  それでも
  どこか素直な翔子は
  一心不乱に作戦を書いている。



 「甘いのよ。
  気になっただけじゃあ
  甘いのよー」


  何だか楽しくなってきた。


  わかっているさ。
  机上の空論だってコトは、さ。


  だけど翔子も楽しそうだ。


 「ねー、もしね。
  もしもよ?

  成就なんかしちゃって
  付き合うよーになったらさあ!

  あたし
  絶対元カノさんに
  恨まれるよねえ…?」


  妄想話でもりあがる。


 「ソコが心配なんだけどね。

  こういうのって
  本人より…
  友達が厄介だよね…?」


 「え?」


 「漫画やドラマでは
  元カノがすごいヤな性格で。
  よく復習劇に出たりするよね?

  でも。
  あの亜季サンがそんな人に見える?

  あたしの勘では
  あの人はそんな人ではない!

  だけど
  亜季さんの友達は厄介よ。

  だって…あたし…

  囲まれたし!

  バケツ水
  かけられたし!!!

  人間違いだったけどねっ」


 あ。
 なんだかこれじゃあ…
 あたしの復讐みたいだ。

 イヤな感情に気がついて。

 言いながら、ちょっと
 あたしはへこんだ。



 「…そうかあ…。

  今はいっぱいいっぱいで。
  そこまで考えてなかったよ。

  なんか…。
  険しい道のりなんだ。
  あたしの恋」


 それでもなんだか
 ひどく翔子は納得している。


 「うん…。
  ハードル高いよね」


 「障害物競走なんだぁ…」


 「先輩は短距離種目なのに…」


 そう言い合いなから。

 恋愛からほど遠い話になっているのに気がついて。


 顔を見合わせて、
 あたし達は笑った。