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自筆小説に登場するテイムモンスターをケモミミ美少女化したら、作者の俺がケモミミ美少女化しました!?

久々に短編書いたのでアップしました。

例に漏れず、超勢いで書いたので細かいことは気にしないでいきましょう!

 突然だが、俺(男子大学二年生)の趣味はとあるwebサイトに自分で書いた小説を投稿している。

 手掛けるのはいわゆるライトノベルという分野。いわゆる若者向けの軽文学だ。その中でも俺は異世界を題材にした冒険ファンタジーの物語を好んで書いている。昔からファンタジー小説は好きで、その延長上で自分でもか企画なったのがきっかけだ。

 これまでは思いついたネタを適当に短編にまとめ上げて書き上げてネットに公開してきた。幸いにも、俺の書いた短編はそれなりの評価を得て、感想文も寄せられている。嬉しい限りだ。

 そしてついに、俺は長編に取り掛かる決意をした。これまでの短編はいわば準備期間。この長編こそが本番だ。

「とは言うがなぁ……」

 俺はパソコンの前で唸っていた。最初の書き出しこそ順調であったが、そこからが難航していたからだ。

 長編の題材はいわゆる『モンスターテイム』。ファンタジーの世界に出てくるモンスターを使役して、主人公が成り上がっていく物語だ。

 本を読んだり書いたりするのと同じくらいにゲームが好きな俺は、昔から育成要素のある作品が好きであった。特に、モンスターを仲間にして戦わせる系統のゲームは毎度お世話になっている。自分好みに育成した仲間で困難に立ち向かう姿に俺はロマンを感じていたからだ。

 さて、そんなわけでいざ物語を書き出そうとしたのだが、そう簡単には行かない。

 短編とは違い、長編ともなれば後々の展開を考えていかなければ話が途中で破綻してしまう。行き当たりばったりで物語が進んでいけば、いずれは後付けの設定が増え意図せぬ矛盾が生じ、やがては作品の全てが破綻してしまう。

 それだけではなく、趣味で書いているとはいえやはり多くの読者に読んでもらうためには、それなりの『売り』が必要になってくる。それはお約束事──テンプレートであったり、あるいはそのテンプレを破壊する変化球であったりと作者によっては様々だ。

 俺としては奇をてらった作品ではなく、順当な成り上りの展開を書いていきたいのだが、それだけだとありきたりすぎて読者は読んでいて飽きてしまう恐れがある。故に、どこかしらに大きな要素スパイスを加えていきたいのだが、その要素がどうにもうまくいかない。

 というのも、俺が書こうとしている『モンスターテイム』系統の作品ではあるが、これに関してもすでに様々な試みがなされている。定番どころで言えば、相棒がモンスターの最高位であるドラゴンであったり、あるいは最底辺とされているスライムであったり。あるいは狐の妖怪であったり天使であったり悪魔であったり。

 今俺が悩んでいるのは、主人公が相棒となるモンスターと初めて契約を結ぶシーン。物語にとって最も最初に訪れる見所といえるだろう。

「可愛い系にするか、凛々しい系にするか……迷う」

 ひたすら懐いてくる可愛い系ワンコを描くか、あるいは主人に忠誠を誓う凛々しい系狼を書くかが非常に悩みどころ。それだけではなく、俺の作品のウリとなるべき点を加えなければならないのだ。ここさえ形作ることができればあとはスムーズにいくはず。

 実は物語のおおまかな流れは別途に書き出してあり、パソコンのファイルに保存してある。あとは登場人物たちの動きに合わせて必要があれば随時変更していけば良い。

 必要なのは、読者が求めつつインパクトのある要素だ。そう考えると、単純に可愛い系を書くのも凛々しい系を書くのもどうも違うように思える。

 俺はアイディアを求め、何気なく室内を見回した。それなりの清潔さはあるが、部屋の端に置いた大きな本棚にはライトノベルを中心とした書籍がギッシリ詰まっている。何かしらのひらめきを得られないかと、本の羅列にザッと目を通して行った。

 ふと、何気なく目に留まったのは、一冊の本だ。可愛らしい女の子ヒロインがたくさん登場する作品が登場するのは定番だが、その中でもたった一人を選ぶのではなくヒロインたち全員を主人公が愛する、いわゆる『ハーレム系』と呼ばれる作品だ。

「────────試しに書いてみるかな」

 その作品の何かが俺の琴線に触れた。途端に創作意欲が湧いてきた俺はパソコンに向き直り軽快な調子でキーボードを叩き始めた。

 やはり可愛い女の子が出る作品方が書いていて楽しい。どうせなら、モンスターを女の子にしてしまおう。ただの女の子型のモンスターではなく、本来では獣の姿をしたモンスターが主人公の能力で美少女化してしまうのはどうだろうか。ついでに言えば、一番最初の相棒となるべき少女は、スタイル抜群にしてしまおう。

 犬耳(狼だが)ヒロインでしかも巨乳──最高じゃないか!! どうせなら超強い白い狼らへんで!

 主人公は紅の髪と瞳を持った少年! けどちょっと可愛い系が混ざってたり! ついでに言えば、落第寸前だったけど召喚獣(美少女)との契約からの成り上がり! 

 最初のシーンさえ書いてしまえば、あとはもう止まらない。最低限の睡眠と食事は取るがそれ以外はひたすら執筆に没頭する。幸いにも今は連休中で大学はしばらく休み。おかげで作品に集中にできた。おそらく、人生で一番の集中力を発揮しているのではないだろうか。

 物語は相棒を召喚した後にもさらに続く。

 新たなる仲間モンスターの登場!

 立ちはだかる強力な敵との激しいバトル!!

 その最中に繰り広げられる主人公と相棒の熱愛!!!

「ちょ、やばい! 指が止まらん!」

 はっきり言って、テンションがちょっとおかしい方向に振り切れていた。

「オラオラオラオラオラオラ─────────ッッッ!!」

 どこぞの寄り添うものスタンドの必殺ラッシュみたいな叫び声をあげながら、指をキーボードに叩きつける。もし誰かにこの光景を目撃されたら、一発で警察に通報されること間違いなしだ。



 そして────。


 書き始めてから三日目の深夜。俺は疲労で痙攣する指先をパソコンから離した。

「で、でけた…………」

 ついに、長編小説が完成したのである。

「おお……、もう鼻血も出ねぇほど疲れたわぁ、いやマジで」

 俺はおもわず呟いていた。まさしく精も魂も尽きており、全身に疲労感が押し寄せてきた。要所要所に睡眠と食事はとっていたが、それ以外は全て執筆作業に費やしていたのだから。よくこまぁこれだけ集中力が持ったものだ。

「お、お腹……減った……」

 執筆に集中するあまり、外出の時間さえ惜しんで書いていた結果、貯蔵していた食料はすでに底をついていた。冷蔵庫の中には調味料しか残っていない。さすがに醤油やドレッシングだけで腹を満たすわけにはいかない。

 webサイトに投稿するのは明日にまわすとして、今はとりあえずご飯を食べてさっさと寝てしまいたい。

 俺は財布を引っ掴み、外に出かけた。二十四時間営業のコンビニで弁当でも買って食べよう。季節は秋だがまだ寒くはなっておらず、着の身着のままでも問題なかった。

「がっつり系にするか、あるいはさっぱり系にするか。変化球を狙ってコッサリ系を目指すか」

 ……まさか、このセリフが辞世の句になるとは思わんかった。


『昨晩の深夜、都内に住まいの──(男:大学二年生)さんがトラックに轢かれて死亡する事件がありました。警察の調べでは、トラックの運転手は飲酒をしながらスマホを片手で使用し、交際中の女性との会話に夢中になり赤信号に気づかずに通行中の大学生を撥ねた、ということです」


 ────────────────────────────────


「…………ほ?」

 口から妙な声が出た。

 ……『俺』は気を失っていたらしい。

 まだ覚醒しきっていない頭で、『俺』は最後の記憶を掘り起こした。

 ──横断歩道の最中、赤信号を無視して突っ込んでくるトラック。運転席には酒瓶を片手にスマホを弄りながらケバい女性と乳繰りあっている男性。


 ………………………………………………………………………………。


 明らかに両手がハンドルから離れてるじゃん! というか飲酒とスマホ弄りに前方不注意ってどんだけだよ! 交通規則を真正面から宣戦布告しているような運転態度だよ! 警察舐めてんのか!!

『俺』は交通事故にあったらしい。とりあえず、あの運転手は地獄に落ちればいいと思う。

 それはそうとして、となると今の俺はいわゆる『あの世』とやらにいるのだろうか。あれだけのスピードにぶつかられて生きていられるとは到底思えなかったからだ。

 あの世とは随分と暖かいな。まるで小春日和だ。

 ……暖かい?

 暖かさを感じるということは、触覚があるということ。つまりは肉体があるのだ。

 もしかしたらここは病院なのかもしれない。幸運にも俺は九死に一生を得たのだろうか。

 徐々に意識が覚醒していく。目を閉じたままだが、手には手の感触が、足には足の感触がある。力を込めれば、か細いながら意のままに動き始めた。

 触覚に意識が行くと、どうにも己の体に違和感を感じ始めた。具体的に言い表せないが、とにかくへんなのだ。耳と臀部にある違和感が特に大きい。

 ──ファサ……。

「────ッッ!?」

 臀部の違和感に意識を向けると、何かフサフサとしたものが体に触れた。その際に発生した二つの感触に俺は大きく驚いた。

 体に触れた感触と、自身の体を触った感触が同時に起こったのだ。まるで、臀部にもう一本腕が生えたかのようだ。臀部の『何か』は腕ほどは自由に動かず、単純な動作しか行えない。だとしても俺の意のままに動くことから、間違いなく俺の体の一部のようだ。

 おいおい、まさかどこぞの秘密結社に拉致されて改造人間にされたのか!?

 うぉぉぉ、マジかよぉぉぉぉ。ラノベは好きだがラノベ的展開はゴメンだぞ。

 俺は思わず、頭を抱えて(・・・・・)唸った。

 ──モフリモフリ。

「へ?」

 俺の意識は一気に覚醒した。

 頭を抱えたら、だいたい手の平に側頭部あたりにあるはずの『耳』に触れるはず。なのに、そこにあるべき耳の感触はなく、代わりに指先にモフモフとした触り心地の何かが触れた。

 俺は横たわったまま再び頭上に手を伸ばす。すると、三角形の何かモフモフとした存在が頭から二本生えていた。ついでに言うならば、臀部の何かしらと同じくその三角形にも俺の手が触れている感触があった。

「このモフリなにさ!? え、なんなのさこのモフモフ!?」

 慌てて床に手をつき俺は身を起こした。ここが冷たい床の上であることをこの時初めて知ったが、それに考えを抱く前に俺の体は再び床に突っ伏した。体を起こした途端、胸元あたりに妙な重量・・・・を感じたからだ。顔面から床に突っ込み、額と鼻を強かに打ちつける。

「はぐぁ!? ……イテテ、なんだってんだよ────?」

 痛む鼻を右手でさすりながら、もう一度身を起こして己の胸元を左手で触れた。

 フニ。

「………………………………………………………………は?」

 手の平に『何か』が触れた。

 フニョン、フニョン。

 思わず『それ』を手で鷲掴みにすると、柔らかくも弾力のある感触が手の平全体に伝わってきた。

「・・なにこれ?」

 俺は自身の胸元に視線を落とした。

 ──肌色の山が横並びに二つ存在していた。

 ──そしてその山頂には、桃色の……。

「……なんやねん、この大山脈」

 妙な方言が飛び出たのは許せ。俺は都内育ちだ。

 いや、それがなんなのか、俺にだってもうわかっている。

 全世界の男子が求めてやまない浪漫の象徴。

 つまりは──おっぱいロマンだ!!

「…………マジか」

 男の身・・・でまさかおっぱいを追加されるとは思いもしなかった。

 おのれ悪の結社め。確かに俺はおっぱい大好きっ子で、おっぱい星の親善大使の自覚はあったが、自分の体におっぱいを増設するほど末期ではなかったぞ。あくまで、可憐な美少女の胸元に特盛の浪漫おっぱいがのっているからこそ浪漫を感じるというのに。

 この時点ではまだ、俺は自身の体に起こっている現実を正確には認識できていなかった。ただ単純に、おれの体に『おっぱい(ロマン)が増設された』程度にしか考えていなかったのだ。ただ、その認識は遠くないうちに改められる結果となった。

「しかし、これってちょっとロマン溢れすぎじゃね? 下が見えねぇんだが…………ん?」

 ここでようやく、俺は自分の外に意識が向いた。

 冷たいと思っていた床は、どうやら室内のそれではなくむき出しの地面であった。上を見上げれば青空が広がっている。どうやら俺は室内ではなく外にいたようだ。

 っておい。おっぱい増設された上、おっぱいをおっぴろげたまま外に放り出されたのかよ。どんな羞恥プレイだよ。
この場合、野郎・・の体に増設されているので変質者か変態として通報される可能性もありえる。

 何か胸元を隠せるものがないか周囲を見渡すと・・なぜか多くの人間に囲まれていた。

「うぉおおっ!?」

 ほぼ脊髄反射で俺はたわわに実った胸を両手で隠した。ゆたかでたわわすぎるので全然隠しきれていなかったが、とりあえず山の頂上部は遮る。

 混乱する頭の中で改めて周囲を見渡すと、どうやら囲んでいる者たちの大半はまだ若い少年少女だった。中学生から高校生のあたりだろうか。その中に、背の高い大人がちらほらと混ざっている。大人は全体の一割未満か。ただどうしてか、妙にカラフルな頭髪が目に付いた。ある者は緑、またある者は茶色。さらにある者は青色と、とにかく日本人らしい髪ではなかった。日本人なら黒髪にしとけよ、黒髪に。

 さらに言えば、誰も彼もがこちらを見たまポカン口を開けていた。予想の範疇を大きく超えた存在を目の当たりにしたかのようだ。野郎の体に特盛浪漫が乗っていればそれはたしかに予想の範疇を天元突破だろう。

 視線を巡らせると、遠目には西洋風の『城』を彷彿とさせる巨大な建造物が存在していた。

 ──ザッ。

 不意に聞こえた土を踏む音に目がいく。俺から見てちょうど正面の位置だ。今まで気がつかなかったが、すぐ近くにも人がいた。

 周囲の少年少女たちと同じく、やはり若者──少年だ。

 可愛いとカッコイイが両立したような顔たちで、将来は女性を泣かせそうなイケメン候補。燃えるような紅の髪に、同じ色彩でありながら宝石のような輝きを宿す紅の瞳。

 ……ん? 紅の髪と瞳?

 覚えのあるワードに俺は首をかしげる。

 そんな俺に、紅の髪をした少年は俺に語りかけてきた。

「き、君が僕の……『召喚獣』なのか?」

 …………チョットマトウゼオイ。

「ど、どういうことなのだ! モンスターの召喚術でどうして人間が召喚されたのだ! それも、獣の耳の尻尾付きで!?」

 数少ない大人の一人が、こちらを指差して叫んだ。って俺? 彼の指差す先を探して右見て左を見るが、比較対象はどこにもない。けれども、代わりに何やら白くてフサフサしたものが視界の端に映った。それはちょうど俺の背後にあり、時折ファサファサと動く。

「ん?」

 ファサリ。

「んん?」

 ファサファサリ。

「んんんんん!!??」

 モサモサモサモサモサッッ!!

 ちょっと! 俺の意のままに動くんですけど!。つか、これって俺から生えてないか!? 

 白い毛がふさふさの『それ』に手を伸ばすと、明らかに俺の『尻』から──正確には『尾骶骨びていこつ』の辺りからニョッキリと生えていた。

 これって……尻尾か!? え、ってことは俺の頭に生えてるモフモフは『耳』か!?

 俺はケモミミ尻尾付き獣人に改造されたのか!?

 混乱絶頂の俺に、赤髪の少年が再度声をかけてきた。

「その……言葉は分かるかな?」
「いまちょっとそれどころじゃないんで後にしてくんない!?」
「えっと、言葉は通じてるみたいだね。ぼ、僕の名前はエルディア」
「聞いてないっちゅーねん! ………………待て、エルディア?」

 頭を抱えてシェイクダンスをしていた俺だったが、少年の名を聞いた瞬間に我に返った。

 俺はまじまじと少年の顔を覗き込んだ。っておい、どうして人の顔を見るなり顔を赤らめる。俺は美少女は好きだが美少年は──ジャンルによるがそれは置いておこう。

 彼の名前に、覚えがあった。

 とはいうが、俺の知る『人間』にエルディアという少年は存在しない。というか、知り合いに赤髪赤目なんているはずがない。こちとら生っ粋の日本人だ。

 けれども、俺の記憶の中には確かにエルディアという名は存在していた。

 ──俺の書いた『小説の中の登場人物』として。

 …………。

 ………………。

 …………………………。

 ……………………………………マサカナ。

 ちょっと落ち着け。俺はファンタジー小説大好き人間なのは間違いない。それが高じすぎて自分で書くまでになったからな。

 だからと言って、俺の頭の中に浮かんだ『可能性』を素直に肯定できるほどにお花畑な思考はしてない。

「……ちょっと質問いいか、少年」
「え? あ、うん。いいですけど」
「君の名前はエルディア・アークランドで間違いないか?」
「ど、どうして僕の名前を! まだ名乗ってないのに!?」
「さらに言えば、大きなおっぱいタユンタユンな女性が実は大好きであると」
「そ、そそそそそそそんなことナイデスヨ!?!」
「ついでに言えば、魔法学校のでの成績は常にしょっぱくて落第ギリギリであると」
「なんでそんなことまで! というかしょっぱいのは放っておいてくれないかな自覚はあるから!?」
「次の授業で召喚獣との契約に失敗するといよいよ落第必至だとか」
「だからなんで知っているんですか!?」

 乳に関する質問が、一番動揺が大きかったな。まぁ、むっつりすけべであるのも『俺が設定した』わけなんだがな。

「……もしかして、今がその召喚獣との契約の授業?」
「そう……だよ。本当は『コモンウルフ』を召喚しようとしていたんだけど」
「代わりに出てきたのが『俺』であると」
「うん、そうなんだけど……」

 おい、まじかよ。これはいわゆるアレか。

 今流行りの異世界転生か!?

 いやいや、流行っているのは某web小説投稿サイトの中であって、リアルに流行っているかは知らんよ。というか、流行っていたとしてもそれを知る術は俺にはない。

 だとしても、『自分の書いた小説』の世界に転生するとか意味が分からないよ! 神様なに考えてるの! あったことないけど!!

 否定したい気持ちはあれど、それを大きく上回る根拠が俺の周囲には存在していた。

 エルディアという赤髪赤目の少年。召喚術の授業中に起こった異常事態イレギュラー。遠目に見える城のような建造物。このどれもが、俺の書いた小説の中にある『一つのシーン』と合致する。

 すなわち、エルディア──主人公と、相棒となるべき『召喚獣』との出会いの場面シーンだ。

 成績不振で落第の危機に陥っていたエルディアは、最後の望みをかけて『召喚術』の授業に臨んでいた。教師からはあらかじめ、この授業でモンスターを──召喚獣を呼び出し『契約』を結ばなければ落第であると宣告されていたからだ。

 呼び出そうとしたのは『コモンウルフ』。モンスターの中では比較的弱い部類に入り、それだけ召喚するのも契約するのも楽な部類に入る。

 だが、実際に召喚されたのは狼の耳と尻尾を持った『美少女』。

 実はエルディアの魔法使いとしての素養は極端に偏っており、その隠れた才能が召喚術に影響を与え、結果として呼び出されたのはフェン──………………。

 そこまで思考が巡った時点で、俺は重大な事実に気がついた。もちろん、悪い意味で。

 状況から見れば、俺はどうやらエルディアが呼び出した召喚獣モンスターに転生したと考えるべきだ。少なくとも現時点ではそう受け取っておこう。

 とすれば、今の俺の状態がいったいどうなっているのか。

 よくよく思い返すと、エルディアと言葉を交わした時の俺の声は妙に高くはなかっただろうか。裏声と呼ぶには違うが、男のものとは思えない声色だった。

 嫌な予感がいよいよ現実味を帯びてきた俺そこでハッとなった。

 俺の『砲』はどうなった!? 常にピカピカに磨いて臨戦態勢を敷いていたあの『迫撃砲』は!?

 咄嗟に己の躰を見下ろした。って座ったまんまじゃ見えねぇよ! 

 慌てて立ち上がって躰を見下ろし──オッパイデカ過ぎて見えねぇよ!!

(ちなみに、この際に俺の全容を真正面から目撃したエルディアが、顔を真っ赤にして今にも倒れそうになっていた)

 もはや外聞もへったくれもなく、俺は迷わず己の下半身に手を伸ばす。

 ……俺の『迫撃砲』は活躍の場を得ることなく解体されたようであった。

「マジかぁぁあああああああああああああああああああああああああっっっ!!??」

 俺は蒼天の空の下、心の底から絶叫したのであった。

 間違いない。

 俺はエルディアが召喚した『狼耳少女』として『自分が書いた小説の世界』に転生してしまったのだ!!


 ──これが後に『召喚王』と呼ばれる赤髪の少年と、その妻となり『賢狼』と呼ばれる女性との出会いであった。
ナカノムラ的にTS(性転換)ネタは大好物だったりします。
ぶっちゃけ精神的には同性愛でも肉体的に異性愛であれば問題ないと思っています。ただし、本人たちが納得していればの話です。

また興が乗ったら、召喚主である少年視点のお話も書けたらと思っています。


この作品を読んでくださった方は、できればこちらも一緒にどうぞ。
『カンナのカンナ 間違いで召喚された俺のシナリオブレイカーな英雄伝説』
 http://ncode.syosetu.com/n3877cq/

 第4回ネット小説大賞の受賞作品で2016年11月7日に書籍が発売しております。
 なお、書籍版のタイトルは以下のとおり
『カンナのカンナ 異端召喚者はシナリオブレイカー』
 無自覚にも神に抗う『忌子』の冒険譚です。

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