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特等賞

作者: 山田結貴

 観光の途中、町でお買い物をしていたかと思うと、パパとママが僕の手を引いて人が集まっている場所に無理矢理押し出した。

 一体何なんだろうと思って見てみると、目の前には六角形にハンドルがついた変な箱。ガラガラくじって奴だ。ママはそれを、僕に回せと言っている。

 一等賞を当てるんだよ。運のいいお前ならできるはず。

 ママは興奮しながら語るけど、一等はすごく高い炊飯器。美味しいお米をいつも食べられるのはいいけど、僕はそれより二等賞の、この近くにあるっていうレストランのお食事券の方がいいな。

 周りの人と比べて、うちのパパとママはちょっぴりケチだったからかなあ。くじは一回しか引けないみたい。だけど、一応神様にお願いしながら引いてみよう。

 僕の背じゃ箱まで届かなかったから、パパに身体をひょいっと持ち上げてもらう。そして、ハンドルをグッと握ってガラガラと回した。

 どうか、二等が当たりますように。それが駄目なら、一等でもいいです……。

 一生懸命お祈りしていると、箱からポロッと金色の玉が出てきた。すると、頭にはちまきをつけたおじさんが、ベルを鳴らしながら大きな声で叫んだ。

「おめでとうございます! 特等賞の、台湾旅行が当たりました!」

 ええ、そんなあ。特等なんていらないよお。

 くじ引きを見ていた人達はニコニコしながら「よかったね」とか「おめでとう」とか言っているみたいけど、ちっとも嬉しくないよ。

 だって僕達、三日後に帰国するんだからさあ……。

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[一言] 最後のオチでやられました! そうきたか~(゜ロ゜;
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