赤い糸
この作品は企画小説です。「九月の童話」と検索すれば、他の作者様の素晴らしい作品が見れます!それでは、お楽しみくださいませo(゜∀^*)ノ
僕と妹はとても仲良し。 手をつないだりおままごとをしたりプリクラを撮ったり一緒にお風呂に入ったりキスなんかしちゃったりーー皆からは、
「仲良過ぎるんじゃないの?」
って言われるけど、お互い大好きなんだからしょうがないじゃん! 僕は千佳の事が大好きだし、千佳は僕の事が大好きだしね。
でも、大好きな千佳ともうすぐお別れになっちゃうんだ。パパとママを繋いでいた赤い糸が、切れちゃったんだって。だからお別れなんだ。また新しい赤い糸を買ったらいいのに、パパもママも買わないんだ! 赤い糸が無いから、バイバイしなきゃイケない。ママと千佳と、バイバイしなきゃイケない……。
「ぐすっ……ぐすっ……」
千佳はいつも声を出さずに泣いている。家族がバラバラになっちゃうから、悲しいのかな?
だから僕はいつも、
「千佳。涙をこのハンカチで拭いて」
千佳を勇気づけるんだ。
「お兄ちゃん……ぐすっ……ありがとう」
ニコリと笑い、僕に抱きついてきた。
「元気になって良かった」
僕はホッとして溜息をついた。しかし、
「ぐすっ……ぐすっ……」
また泣いてしまった。
そうか。あと十分で、千佳はママと一緒にこの家を出ていくんだ。どうしよう? このままじゃ、千佳が遠くに行ってしまう。
僕は何かないかなぁと思い、部屋を見渡した。
すると、勉強机の上に置いてある目覚まし時計が、光ったように見えた。
「気のせいかなぁ?」
そう呟いた僕は千佳の頭を優しく撫でて、目覚まし時計を右手で持った。
「お兄ちゃん、何してるの? 電池ないの?」
千佳は真っ赤になった目で、僕の隣に歩いてきた。
「気のせいだと思うけど、この目覚まし時計がさっき光ったんだよね」
「えっ? ソレほんと?」
「気のせいだと思うけど」
「もしほんとだったら、この目覚まし時計は『不思議な時計』だよ!」
「不思議な時計?」
「不思議な時計っていうのは、長針を動かすと過去に戻れたり未来へ行けたりするの! 有名な話だけど、お兄ちゃん知らないの?」
「その話、本当なの?」
「それは分からない……」
「じゃあ調べてみよう!」
僕は裏側を自分の方に向けて、長針を少し動かした。目覚まし時計は、12時45分になった。
確認の為、壁掛け時計を見る。壁掛け時計は、12時45分と指していた。
「スゴいよ! 私達、過去の世界に来ちゃった!」
「そうだね。五分前だけどね」
僕は、パパとママが仲直りするには赤い糸しかないと思い、千佳が生まれた頃まで長針を動かした。
1日で1周だから、1年だと365周、10年だと3650周……疲れたけど、家族がバラバラにならない為だから我慢しよう!
10年前の僕の部屋はお婆ちゃんの部屋だった。建て替える前の家は覚えていないので、興味があったりする。しかし、誰かに見つかる前に赤い糸を探さないとイケないので、足音をたてずに進む。
『オギャーオギャー』
一階から、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
この泣き声は千佳かな?僕は泣き虫じゃないしね。
『はいはい、ミルクでちゅよ〜。もう圭太はお兄ちゃんなんだから、妹の千佳ちゃんより泣かないでね。妹より泣き虫のお兄ちゃんなんて、嫌われちゃうぞ〜』 10年前のママが言った。
泣き声は、僕だったようだ。何で今とは逆なんだろうと思った。今は千佳が泣き虫で、昔は僕が泣き虫……ひょっとして、僕の泣き虫が千佳に風邪のようにうつったのかな?
『オギャーオギャー』
また、僕の泣き声が聞こえてきた。多分だけど、妹の千佳にママがとられたと思って、泣いてるんだと思う。
『おいおい圭太。お前は長男だから妹を守ってあげないとイケないのに、このままじゃお前が妹に守られるかもしれないぞ?』
10年前のパパが言った。
「ねえねえ。何で、私が生まれた頃に来たの?」
千佳は、誰かにバレないように小さな声で話す。
「お婆ちゃんが言っていたんだ。パパとママが千佳が生まれた頃、赤い糸をお互いの小指に結んで幸せに暮らしていこうって決めたのを。昔のパパとママは、今と違って仲良しでしょ? 多分、赤い糸で結ばれてるからだと思うんだ。だから、赤い糸をとりにきたんだ!」
僕も、誰かにバレないように小さな声で話す。
「じゃあ、早く赤い糸を見つけて2006年に帰ろう!」
「うん」
赤い糸は、パパとママの寝室にあった。
お婆ちゃんが言っていた通り、タンスの一番下に赤い糸はあった。
「よし! 帰ろう」
僕は千佳の右手をギュッと握り、お婆ちゃんの部屋へと向かう。
一歩一歩慎重に歩く。
そして、お婆ちゃんの部屋につくと急いで目覚まし時計の長針を、10年後まで進めるーー。
目の前が眩しく光って、少しずつ視界が開ける。気がつくと、僕と千佳はベッドの上に横になっていた。
「戻ってきたんだ。2006年に……」
「そうだね」
僕は右手に持っている赤い糸を強く握って、千佳の頭を優しく撫でる。
『圭太! 千佳! 何処に行ったんだ!』
一階から、お父さんの大きな声が聞こえてきた。
僕達を探してるみたい。
『二人とも! 隠れてないで出てきなさい!』
今度は、お母さんの大きな声が聞こえてきた。
僕は時計を見たーー。
1時20分と指している。
「過去や未来に行っている時間だけ、現代の時間も進むんだった……」
千佳は言う。
「かえってこの状況は僕達に有利になったと思うよ」
僕は言う。
一階に降りた僕達。
「今まで何処に行ってたんだ? お前達が突然いなくなったから、心配したじゃないか!」
「よかった……二人とも無事で。二人が何処かに行ったと思って、心配したのよ……」
パパもママも、僕と千佳の事を心配している。
「さあ、二人が見つかったしそろそろお別れだ。圭太、千佳にバイバイをしなさい。千佳、ママの言う事をよく聞くように」
「千佳、荷物を持ってね。パパと圭太とお別れだから、ハグでもしなさい。それと圭太は、パパの言う事をちゃんと聞きなさいよ」
でも、パパとママの赤い糸は切れちゃってる。
僕達の気持ちをちゃんとパパとママに伝えないと、アトで後悔すると思うから言うだけ言ってみるんだ!
「嫌だよ! 千佳とママとお別れなんて嫌だよ!」
「お兄ちゃんとパパと、バイバイなんかしたくない」
「何言ってるんだ? もう離婚したんだぞ」
「悲しいかもしれないけど二度と会えないわけじゃないから、分かってくれない?」
二人の言っている事なんて耳には入ってこなくて、僕と千佳はパパとママの小指に赤い糸を結んだ。
「……コレって」
「あの赤い糸?」
パパとママは、暫らく無言のまま見つめあった。
そして、二人は声を出さずに泣きだした。
涙をフローリングの床にポタポタと落とし、泣いている、
「その……ゴメンな。怒鳴ったりして」
「私も、ぶったりしてごめんなさい」
二人の距離は、少しずつ近くなる。
赤い糸はピンと張っていたが、少しずつたるむ。
「わっ!」
僕は、目をつむった。
「パパとママ、ラブラブだぁ〜♪」
千佳は、楽しんでいる。
パパとママは、仲直りのキスをしているーー。
最後まで読んでくれて、ありがとうゴザイマスm(__)m童話っていうのが結局何かが分からないまま、書きました。僕は童話とは、「子供でも読める読み物」と思っています。なので難しい文字は使いませんでした。よければ、御感想を書いてくれませんか?後書きまで読んで頂いたので。