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教国からこんにちは(後)
「あなたはそれでも教国の兵として、恥ずかしくは無いのですか!!」
「いや、ベルンスト。 今はそういう話をしている場合「お黙りなさい!!」へいへい」

 えーと、ただいま俺の部屋に場所を移しまして、おっさんがシーマさんに説教食らっています。
 あんたら、仮にも仮想敵な他国領で、不正規活動中だという事を理解していますか?
 俺としては、さっさと帰って貰いたいのですが。





「キシマさーん、お客さんよー」
「はーい」

 二人に静かにしててくださいよと目配せして、下に降りようとしたらドアがノックされた。
 この状況で誰かに来られると非常に困るのですが。

「ちょ、ちょっと待って貰えますか?」
「こちらにうちの者が来ていると思うのだが」
「はぁ?」

 なーんか、聞いた事のある声。 半分諦めて、ドアをそーっと開く。

「君がキシマ君か、思った以上に若いな。
 あの別れ方をして、今日このような形で再会するのは気恥ずかしくもあるが」
「ルドガーさん?」「「!!」」

 銀髪美形のお手本みたいなのが目の前に……。
 シーマさんは直立不動、おっさんは苦笑いをしながら敬礼。

「で? 例の物は?」
「一応、解決策は手に入れましたが」

 おっさんがコインを手に示す。

「本当に君は何者だ?」

 じっと見つめられて、思わずドキッとしかけて、思いっきり頭を振った。
 シーマさん、唇噛み締めて睨むのは、やめて下さい。
 俺にそういう趣味はありませんから、ライバル睨むような目付きは本当にやめろ。
 そのやり取りに何を思ったか、ルドガーさん、クックックと肩を震わせる。
 真っ赤になるシーマさん、ちょっと可愛い。 と思ったらまた睨まれた。

「ふ、詮索は止めておこう。 話は済んでいるようだが、何を揉めている?」
「いえですね、報酬の話をしていたらベルンストに説教されまして」
「なっ、何をおっしゃるんですか!! 私は教国の者として恥ずかしく無いようにと!!」
「ここで言うべき事では無いな。 流石に王国の者も騒ぎ出している、そろそろ引くべきだろう」

 ルドガーさんの言葉に、二人は敬礼して部屋を出て行った。

「さてキシマ君、報酬の事だが」
「あ、別に何時でも良いですよ。 上手くいったのが確認できてからでも」
「いや、私は半ば確信している。 青銅の機兵は動くだろうとね」

 フッと笑うルドガーさん。 カッコいいけど、嫌味にならないとか。

「なあキシマ君、報酬の代わりといっては何だが、白機士を弄ってみないか?
 黒騎士ほどの勇名は無いが、いい機兵だぞ。
 君程の能力を持つ者、力を振るってみたいという欲に駆られない筈も無い」
「うっ」
「国には君の事は報告していない。
 どうだろう? 君の名を出さず、安全も保障する。
 これは私の好奇心なのだ。 君がどのような機兵を作り上げるのかを見てみたいという」

 うーむ、これは効いた。 確かにノーリスクで好き勝手を出来る機会が有れば、是非ともやってみたくはある。
 それに黒機士と白機士の話を聞いて、自分が戦った白機士が、ケイオスやジークフリードと比べるのは酷としても、良く練られた良い機体だと感じている。
 それはロシナンテにも言える事だが、ゲーム上の好み等での味付けではなく、良い意味での道具として、機体の隅々の一々に納得できる理由がある。
 まずはロシナンテの突き詰めたシンプルさ。
 たとえば戦場を平原に限定しての、低トルクだが広い出力帯と高速度の巡航を主としたチューニング。
 それによる低燃費と低いランニングコスト、対軍に求められる展開能力・継戦能力と戦闘力が収まるぎりぎりのサイズ。
 そして白機士のバランス……あの機体はもう少しパワーが出る筈なのに、なぜ機体の個性を殺してまで、バランス優先にしているのかとチラと思ったが、三十機にも登る数を聞いて、なんとなく感じた。
 黒機士の集中投入に対する為の、更なる物量投入の為なのだろう。
 個性を殺してまでの均一な性能で、可能となる集団戦。
 黒機士の集中投入が、強力な個人技を持つ者多数の戦闘なら、白機士はそれこそ歩兵の如くに槍を並べて進撃する、本当の意味での集団戦。
 消耗も織り込み済みだろうし、乗り換えや二個一での復帰なんぞも想定しているんだろう。
 恐らく誰がどの機体に乗っても、殆ど同じフィーリングで操れるに違いない。
 しかし、どれだけプレッシャーかけてるんだ、黒機士の名前は。
 そんなに強いのか? この技術レベルで白機士はどこから見ても及第点という、結構凄い機体だと思うのだが。
 黒機士が白機士の三倍強いとか、何かしらチートが無いとおかしいと思う。
 ロシナンテと同時期に作られた代物が、いまだに現役で最強の名を守ってるとか、ぶっちゃけありえない。
 だいたい、ロシナンテはごくごく普通の作りで変な機構は付いてない。
 あれは、ああいう考えで作った人が凄いのだ。

「うーむ」
「実は私の白機士だがね。
 私が青銅の機兵に掛かりきっている為に、まだ修復に取り掛かれて居ないのだよ」

 君に手酷くやられてね……とか遠くを見る視線は止めてください。

「うっ……判りました。 白機士で遊ばせて貰いましょう。
 でも、絶対内緒ですよ!! そんで白機士が際物になっても知りませんよ!!」
「構わんよ。 君が必要な資材は出来る限り用意しよう」
「あーいや、派手にマナが巻き散らかされても目立たない隠れ家と、周りの侵入者の警戒だけして貰えれば」
「判った手配しよう」





「そうは言ったが、その日の内に拉致られるとは思わなかったな」


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