緊張感の無い異世界生活開始
「なんだか、酷い扱いを受けたような。 ここは何処だ?」
気が付いたら辺りは真っ暗で、屋外に放置されていました。
「ちょっと落ちつこう。 なにか、納得できる理由が在る筈」
たしか……。
『折角だから俺はYを選ぶぜ!!』
『あれ? 何で二人も居るの?』
『システムメッセージ:先程の抽出条件により、三名を選出。
内、一名はミッシング・ワールド内にプレイヤーを登録していない為、二名にメールを送信。
イベントへの各人の参加意思を確認。
イベント提案者に各人の意思決定を返信。
イベント実行……処理の途中にエラーが発生しました。
イベント提案者……プレイヤーID照合エラー……システム担当者に問い合わせを……』
『え? どういう事? 貴方、誰? 勇者様以外に声が届くなんて?
その世界の管理者? 嘘お!!』
『な、なんだ、急に真っ暗に? 停電か? ヤバイ!? データーは無事か? UPSちゃんと動いてるか?』
『最強って、ボクでいいのかな?』
『えー!? 私、何処に異界の門を開いちゃったのよ!?』
『ヘルプメッセージ:ゲーム内の語句については、オンラインマニュアルを……。
管理者への連絡、問い合わせ、ハラスメントの報告はGMコールを……。
不正規な、アカウントです……通信の接続を切断します』
『へ、駄目、門が閉じちゃう!!
まだこっちに、ああ、処理が終わってないのにー!!』
『ここは? 何処? 嘘……ジークフリードが……本物?』
『うわ、何だ? お、落ちてる? 俺、落ちてるー!!!!!!!』
『巫女殿、勇者殿の召喚は無事に?』
『あ、あ、えーと、こちらに(ちゃんと呼べてるって事で良いのよね)』
『え、と……ボクは結城ヒロじゃなくて、機士グラム』
『うーわー!! おーちーるー!!!!』
……なんだこりゃ?
思い返すに、なんだか酷くスルーされているような、というかなんだったんだ?
記憶が断片過ぎて、色々と受け取れ過ぎてカオスすぎる。
一番マシなのが、拉致とかな洒落にならないような方法を使うイベント。
最悪が、自分でも頭悪い考えだけど、どっかに召喚された挙句に、更に失敗されたとか。
「異世界召喚かー、まっさかー。
ホラ、どう見たって、デニムにシャツで……」
あちらこちらを金属で補強された、黒い革の上下にバックパック、腰には剣と銃。
駄目押しにマントと仮面……。
なんという中二病……しかも、ゲーム内の無駄に美形なアバターじゃ無くて、素の自分らしい。
だって足短いし、見覚えのある手のひら、面倒臭いから短くしている髪。
覚悟を決めて、剣に自分を映す。
「月明かりにも拘らず、雰囲気の出ない馴染みのある顔だよな」
よし!! 性質の悪いコスプレイベントの可能性が高まった!!
ドッキリならドッキリで結構、こうなんか、馬鹿なことをしてみせれば、それで終わりになるに違いない!!
「えーと……うわ、マジか!?
よく出来た金貨だな。 こいつを握って、錬金マナ変換!!」
叫ぶと金貨がボロリと崩れて、体の周囲と中に何かが満ち溢れるような感覚が。
「って、ちょ、これは、苦しいって!! マジでマナとか!?
嘘臭いけど破裂しそう!! えーっとなんかでマナ使えば、そう!!
馬鹿そうな方法を、よしクリエイト・フード『米』」
ザラザラザラザラザラザラザラザラザラ手の内から零れてコボレテこぼれて……地面の上に俵をぶちまけたような、高さ数十センチの山が、米粒で出来あがった頃、体の圧迫感が無くなった。
「あはははははは、マジか? 勿体ねえ、じゃ無くって!!」
現物を見た事以上に、今のスキル使用で自分の中の感覚が、あり得る筈の無いスキル群に馴染んで、それらが在るという事に、目で物が見える・肌で風を感じる、そんなレベルの物だと判ってしまった。
「嘘みたいだ」
じゃあ、やっぱりここは……ミッシングワールドの中、って訳でもないのか。
何故か判る周辺情報が真っ黒に塗り潰されている。
ミッシングワールドなら、ほぼ全ての場所を探索済みだから、マップが出る筈……って、そういう感覚もおかしいんだが。
多分、異世界に呼ばれたって事なんだろうな……そう、ストンと腑に落ちた。
「そういえば、もう一人、天才君もこっちに来てるんだろうか?」
俺が失敗で変な所に落とされたってんでなければ、同じ世界に来てるんだろう。
なんとなく、イレギュラーで二人来たって感じだったが。
「とにかく、明るくなるまでは、ジッとしてる方が無難か」
まあ、スキルが使えるなら何とかなるか。
バックパックの中に、簡易な鍋と油で使えるコンロがあったので、火をつける。
金属のカップもあるから、無駄にある米をすくって鍋に入れ、水と塩かけて粥にして食った。
因みに火を点けたり、水出したりも魔術だ……便利すぎる。
あと寝袋もある……至れり尽くせりな状態で一晩過ごした。
朝起きて、辺りの惨状に驚いた。
「なんだこりゃ? 隕石でも落ちたのか?
俺が落ちてこの有様ってのは考えたくないなぁ」
自分が居るのが、出来立てっぽいクレーターの底だったとか、驚きです。
縁までの高さが20m位あって、直径もたぶん数十から百m。
よく生きてたな、俺。
「ここに居てもしょうがないから、移動するか」
クレーターをよじ登り、人気のない森から歩き出した。
マナさえあれば、無からでも有を生める無駄に高めた生産系スキルと、自前の精神力で土を金に、金をマナ変換で、元手に使った精神力の数十倍を補完できるインチキ錬金術スキルの前には、自給自足は容易い。
でも、野宿は寂しいのだ。
「でも、この世界にも末期臭いミッシングワールド並みに、マスタリースキルの持ち主がうじゃうじゃ、わいてるんだろうか?」
戦争が煮詰まったら、やることは生産系にのめり込む事位しかないからなあ。
なんで、近代産業革命が起きないのかという位に、資源やエネルギーが余ってたからなあ。
ぶっちゃけ、機兵の戦闘で起きる損害を基準にしているマスタリーレベルのスキルは、バランスが丼勘定過ぎるのである。
それでも機兵の一つ二つがこけると、復帰に時間がかかるとかな、機兵運用の資源コストやエネルギーコストがとんでもないせいも在るけど。
「機兵も有るんだろうなぁ、ちょっと見てみたいな。
折角いじれるんだから、生の機兵を弄ってみたいもんだ」
朝飯に粥を食いながら、今後のことを考えてみた。
「まずは人の居る所を探す。
それから、生活の基盤……スキルで食っていけるなら、それでいい。
駄目なら何とか……金銀にそれなり以上の価値が有るなら、ミスリルやらの価値もあるだろうし、錬金で」
ワールドの経済はミスリル・アダマンティン・オリハルコンが通貨扱いになるほどインフレ起こしてたけど。
「さて、こんな感じか?」
クレイゴーレムを十体ほど作成、方々へ向けて走らせる。
効果時間は延長してある。
姿が見えなくなっても、周辺情報には残る。
本当は飛べる使い魔でも使えればよかったんだろうけど、そこまでの魔術スキルは無い。
飛べるゴーレムなら作れるけど、面倒くさい。
ペット召喚とかも手を出してないからなぁ。
ミッシング・ワールドのペットは萌えないのだ。
一応、野良のアニマルには格好良いのも居るので、テイミングは少し取ってるけど。
少し移動して、雨風の凌げそうな場所を見つけて昼飯の準備をしていると、ゴーレムが三体潰された感覚を覚えた。
ゴーレム自体は脆いので、シャベルかなんかでザクザクやれば壊せるが、動物は近寄ったりしないだろうから、壊すとすれば人間だと思われる。
場所を確認すると、一体は真東に15キロ位進んだ辺りで壊れたらしい。
残りの二体は東向きから少しずらしていたせいか、時間を少し置いて壊れた。
町かなんかにぶつかったにしても、少し対処が早すぎる気もしなくは無いが……人が居るならと、昼飯後に東へ向かって歩き始める事にした。
ああ、他のゴーレムは時間切れで崩れたが、特には何も見つからなかった。
「さて、とりあえず仮面はやめとこうな」
金属製のそれを握りつぶして、眼鏡に再構成。
荷物を纏めて担ぎなおすと、余った米をポン菓子にしようとして失敗した、ポップライスもどきをつまみつつ、ゴーレムの見つけた森の小道を進む。
獣道にしてはしっかりしてるので、人の出入りは間違いないと思う。
テクテク歩きながら、楽したい気分が盛り上がってくるものの。
「時間かければ、自転車くらい作れそうだけどなぁ……この世界に無かったら、まずいしなぁ」
流石に機兵乗りを指定して呼ぶ位だから機兵はあるだろうし、機兵があるなら、それなりに機械は発達してるだろうけど。
諦めて歩き続けた。
小一時間ほど歩いて森の端に出ると、整備された道に突き当たった。
舗装はされていないけど、結構な往復があると思われる轍が見て取れた。
それに感心していると、シャンシャンシャンと鐘を鳴らして、坂向こうから何かが姿を現した。
「ん? 何の音だ?」
じっと待ち構えていると、俺の脇を猛スピードで馬車がすっ飛んで行った。
砂煙の煽りを食らって、持ってたポン菓子(失敗作)が砂だらけ。
遠くにも道が見えて、馬車の行き来が伺える。
どうやらゴーレムは、馬車にでも轢かれてしまったらしいな。
さて、どっちに向かうかな。
しばらく眺めていると、南北の道のりを北に進む馬車は、木材だの袋詰めの穀物だろう荷物を満載、南に進む馬車は人やら雑多な生活物資を積んでいた。
北は大きな消費地で南は郊外かと思う。
「正体不明の怪しい人物は、田舎に向かうべしかな」
俺は手の中の砂塗しのお菓子を、小鳥に撒いてやると道端を南に歩き出した。
ただ歩くのにも飽きたので、手の中の硬貨を錬金して遊んでいた。
その辺の石ころを自前の精神力でミスリルまで変換、ミスリルをマナに変換、溢れそうになるマナを使って、金貨銀貨を片っ端からアダマンティン、ミスリルに。
一通り、変えてしまってから、もしかして金貨しか使えなかったらどうしようと気付いて途方にくれた。
単純に石ころを、金銀に変えてしまえば済む話だったが。
そんな事をしながら、いい加減歩き疲れた所で、道の傍の空き地でちょっとした市場が出来ている所に出くわした。
色々と持ち寄った物を物々交換しているようだ。
休憩がてら眺めていると、人の話している言葉はちゃんと理解でき、文字もなんとなく読めるようで安心した。
でも訛った日本語を、見るからにバタ臭い白人系の容貌の人達が流暢に喋っているのを見ると、なかなかに違和感を感じる。
そして皆さん、随分と普通のおっちゃんおばちゃんで、とんでもなく美形率が高いとかが無い事にも安心半分、軽い失望半分。
いや、エルフで美形なお姉さんとかが、居ないかなーとか思っていただけです。
赤ら顔のドワーフじみたビール腹のオッサンは沢山居ますが。
「さーて、どうしよっかなー」
どっか、ちゃんとした泊まれる所を確保したいなぁ。
木賃宿じゃなくて、そこそこちゃんとした所。
泥棒とかに寝てるとこ襲われたりすんのは嫌だしな。
「やっぱし誰ぞに聞くのが一番か」
道の端に竹っぽい植物が生えてるのを確認。
竹薮に入って、剣を抜いて竹を一本バッサリ。
節残してトントンと更に切り詰めて、穴一つ開ける細工して、水筒三つ作成。
中に水を生成、よく洗って、今度は酒を入れる。
焼酎、日本酒、泡盛。
チョイスがあれだが、単純にイメージしやすかっただけ。
栓をしても結構な匂いのするそれを持って、馬車を止めて休憩してるおっさんに声を掛けた。
「おじさん、今大丈夫かな?」
「なんだ? 兄ちゃん。 あんまり見ない顔だな」
「とりあえず、お近づきのしるしに一杯どう?」
「おお、こりゃすまねえ」
おっちゃんの持っている、ビールかエールかの入ってたマグにタターッと注いで薦めた。
「まずはググーッとね」
「お、こりゃちょっと変わった風味だがなかなか旨いな」
機嫌の良くなったおっちゃんに、この辺で泊まれる所が無いか聞いてみた。
「持ち合わせはそれなりに有るから、安心して泊まれる所がいいなぁ」
「ほう、安心して泊まれるとこねぇ……。
おりゃあ、そんな金払って泊まった事ねぇからなぁ。
宿屋ってんなら、村に行きゃ何軒かあるがな。
お貴族様が泊まるような大層な宿屋はねぇぞ」
「そこまで大層な事は言わないよ。
飯が旨くて、寝床があったかくて、南京虫が居なけりゃ上等さ。
あと、綺麗なお姉さんでも居りゃ、最高かな」
ほれ、空いちゃったよ飲みねぇ飲みねぇと、今度は日本酒。
「こりゃうめぇ!!
兄ちゃん、おいぇが村まで連れってってってやらーな」
あ、ちゃんぽん飲みが良くまわるのは、変わんないみたいだな。
ダウンしたおっちゃんの酔いがさめるまで、他の所を見てまわる事にした。
「鍋、釜の穴あき、ナイフ、カマ、鉈、研ぎ直しは、私にお任せを!!」
聞いててリサイクルかーと感心。
中世風の場所で、白人のおっちゃんが紳士然とした格好して、威勢の良い声で鋳掛なんてもんをやってるとか……。
江戸の町並みの人形展示を思い出して、違和感に思いがけず噴出しそうになる。
「ちょっとこの鍋さ、宿六ぶん殴ったら凹んじまったんだよ。
何とかしとくれよ」
「やあ、綺麗な姉さんのお願いとくれば、頑張らねばなりませんな!!
この錬金屋ウォルフガング=ヘルブライトにお任せを!!」
「ぶっ!?」
……錬金屋?
物凄く気になったので、鍋の凹みを直す作業をじっと見ていた。
「確かにマナが使われてる。
錬金術で鍋直すのか……これだと、穴塞ぐのも研ぎなおすのも錬金術なんだろうな」
なるほど、やけに身軽な格好してるわけだ。
ノボリ一本と作業台にルーペ位しか持ってない。
でも、これで錬金術は使っても一応は大丈夫みたいだな。
しかし、なんて地域密着な魔術なんだ。
宗教的な物が物凄くおおらかなのか?
それとも魔術込みで宗教に取り込まれてるのか?
単なる技術として認識されてるのか?
さっぱり判らんなあ。
「なんだい、お兄さん。 腰の物に研ぎが必要かな」
じっと見てたら、錬金屋のウォルフガング氏に話しかけられた。
「いや、大丈夫だよ。
それより、鍋の修理とかだと力任せで再構成しちゃうとこなのに、
素材の干渉だけで手直しするとか、良い腕してるなと」
実際、素材を再構成してしまう方が楽だと思う。
それを凹みだけ直して、ついでに疲労部も修復するとか……美術品じゃあるまいし、えらい手間だ。
「ほうほう、お若いのに良くお判りだ。
手に馴染んだ道具を何でもかんでも作り変えちゃいけない。
我々に求められているのはあくまでも修理なんだからね」
なるほど、勉強になるなぁ。
「おう、錬金屋!!
その腕で、うちの母ちゃんの面、直してくんねえか!!
昔は別嬪だったんだぜー♪」
「いやいや、私に出来るのは、もう一回鍋の修理の準備をしておくくらいで」
「おい、宿六!! あたしがあんたの性根を叩き直してやるよ!!」
「か、母ちゃん、冗談だって冗談!!」
「やかましい!!」
「勘弁だー!!!!」
なんという下町人情話……だから、赤鼻ドイツ親父でそういうのは違和感があるんだと何べん。
大草原の小さな○の映像に、藤山○美の人情芝居を吹き替えてるような……疲れる。
京言葉のお貴族様とか出てきたら暴れるぞ。
「さて、錬金術は使えても大丈夫というのは判った。
問題はお金か、粒の銀とか使ってたよな。
貨幣は無いのか? それとも金銀の価値が思った以上に高いのか?」
鍋の修理に指で摘んだくらいの銀の粒。
これは、金貨とかより砂金の方が良いのかも知れない。
空にした竹筒の一本に砂を入れて、荒い粒の砂金に換えた。
めっちゃ重い。
「これで、いっぺん買い物してみるか」
屋台で串焼き三本頼んで、小指の指先大の金を一粒出してみた。
屋台のおっちゃんは、何も言わずに串焼きを二本追加してきた。
基本、お釣りって言う概念は無いっぽい。
そして、金の価値は思ったより低いっぽい。
さっき錬金術の鍋修理が銀の粒だったから、銀の価値が高いのかと思ったら、錬金術の修理が安かったという事ね。
正確な価値の基準はよく判らないけど。
あと、金の確認がまな板代わりの石台に置いて、包丁の背で叩くとか。
それで判ってるのか謎だったが、伸びた金の粒の成れの果てを見て、おっちゃんが良い笑顔になったので、どうやら混ざり物が無い判別は出来てるようだった。
しかし、こんなにでっかい串焼き五本も食えない。
やたらしょっぱいし。
……
……
……
もう一本の空いてる竹筒に焼肉のタレを生成した。
串焼きにぶっ掛けて、おっちゃんに頼んでもう一あぶりして貰った。
残ったタレはおっちゃんにあげた。
匂いに釣られた連中が屋台を取り囲んでたので、今日の商売は売り切れ御礼だろう。
感謝してほしい。
牛っぽい肉に焼肉のタレはそれなりに美味かった。
食い切れなかった串焼き二本を持って、最初の親父の所に戻ったが、まだダウンしてたので、錬金屋のウォルフガング氏に串焼きをあげた。
彼の話を泡盛ちびちびやりながら聞かせて貰った。
肝っ玉母ちゃんに女手一人で育てて貰っておきながら、やんちゃして魔術の学院を飛び出してしまった事。
悪い連中と付き合ってたのもつかの間、バカやってる事に気付いたものの、仕事も無くやさぐれて故郷に帰ってきたら、母親にそんな意気地の無い息子なんて、私には居ないと叩き出された事。
それに発奮して学院に戻り、なんとか卒業して帰って来た時には、母親は病の床に就いていた事とか。
人間、親孝行は出来るうちにやっておくものだよと、泣きながら諭された。
だから、田舎風イギリス紳士に見えるおっちゃんに、そんな人情話は勘弁だと何度。
それはさておき、一応は魔術の事も聞いてみた。
錬金術に関しては登録制になっていて、モグリはあんまり宜しくないとの事。
ただ、登録自体は錬金術が使えて、名前が書ければそれで良いらしい。
大き目の街にある、最寄の学院関係の出先機関で登録できるとか。
他の魔術に関しては、ギルドやらの絡みでそれ程は煩くは言われないとか。
ただ保証があれば箔はつくので、登録しないのはどっかしら後ろ暗いと思われがちだとの事。
なぜ錬金術だけが煩いかといわれると、やっと出てきた話題だが機兵の存在の為らしい。
高位の錬金術師は機兵の燃料になる、マナに変わりやすい金属の精製に必要だからだとか。
ミッシングワールドでは、ミスリルなんかのマナに変わりやすい金属を更に精製して、マナのバッテリーみたいなもんを作り出していたが、こっちではまんま燃料にしてるのか。
「機兵は国にとっては最高戦力だからね。
それに関わるだけに、錬金術を扱う者は細かく管理されるし、
腕さえ良ければ取り立てられるのだよ」
ウォルフガング氏はそう話を纏めた。
「おーーい、兄ちゃんよ!!
すまん、すまん、ちょっと寝ちまってた!!」
丁度良いタイミングで、おっちゃんが目覚めたようだ。
約束どおり、村へ連れて行ってくれる為に探してくれていたようだ。
「おや、ウォルフガングの旦那じゃないですか。 今日はもうしまいですかい?」
おっちゃん、ウォルフガング氏と知り合いか?
「私は半分趣味みたいなもんだからね。
そういうヘンケルさんは、こんな所に今時分居るようだと……」
「うへー、母ちゃんはツノ出してやがるでしょうなぁ」
ちょっとこめかみを揉んでから、おっちゃんことヘンケルさんに村まで連れて行って貰う事にした。
ウォルフガング氏も、同じ村の人だとのことで一緒に。
パカポコと馬の蹄の音を聞きながら、夕陽を肴に三人で酒盛りしながら村へ向かった。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。