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天才の遺産
 さて、急ぎ食事を済ませて、おじさんズと合流するべく宿を出る。
 フォウさんも着いて来るとの仰せなので、フード付きのコートを作って、軽く認識阻害のお守りなんぞを作って貼り付けておく。
 ただ戦闘系の大雑把な奴ばっかり使ってるせいで、スキルの割りに細かい事は苦手だったりするのは内緒。
 投射や防御系はアイテム付与もドンとこいだが、環境操作とかはでっかいサイレンスとか、でっかいダークネス位しか、使った事無い辺りで察して欲しい。
 それでも影薄い位には出来るだろうから良いのだ。
 なんつっても、フォウさん目立つからね。
 あんまり他人に見せたくない……これって独占欲ですか?
 俺がうむむと首を捻ってると、フォウさんに腕を取られて連れて行かれた……うん、やらかいです。



 さて、村外れの広場に辿り着くと、丸太で即席のそりをでっち上げて、黒シェファード括りつけた大荷物がデーンと存在感を撒き散らしてたり。
 その脇で、一仕事終わって一息ついているらしい、ロッドさんとリックさん。
 俺に気が付いたとこで、ヨーウっと陽気に手を上げて迎えてくれ……ちょ、二人とも酒入ってる!!

「酔う程は飲んでねえから大丈夫♪」「大丈夫、大丈夫♪」
「いや、めっちゃ陽気じゃないですか」

 ほらほら水飲んで水飲んで。
 おもむろにヤカンを連金、そして中に十倍吸収の良いホ○カリを生成、とりあえず2リットルずつ飲ませてみた(レモン味)

「「おう、うめぇ、うめぇ」」

 ナイスハモリ。

「「はっ!?」」

 お?

「「うぉお!! トイレトイレ!!」」

 いってらっしゃい。
 すげぇ、即効性だな。
 十分程して、ゲッソリした顔で二人が帰ってきた。
 酒はすっかり抜けてるようです。
 それじゃあ、城まで行きますかね。
 ロシナンテ改に乗っていくロッドさんには、ミスリルをジャラリと渡しておく。
 それを見たリックさんが呆れてため息を一つ。

 移動の並びは、ロシナンテ改で先行するロッドさん、その後ろを馬車で移動する俺とフォウさんが御者席でリックさんは死体と一緒。
 流石に死体は簀巻きで済ませるのも危険な気がしたので、ビニールのシートで巻き巻き。
 何気にオーパーツ。

 さて、ちょっと急いだので、昼の時よりも早く城が見えてきた。
 城門の前には、さっきまで居なかったシェファードが二機、歩哨のように立っている。
 機兵を使った賊なんぞが出たってんで、警戒してるんだろうか?
 ロッドさんがロシナンテの足を緩めて馬車に並んだ。

「あれ、大丈夫かね」
「ああ、山賊でも出りゃ、あんなもんだ」

 リックさんが事も無げにいうので、ロッドさんの緊張も解けた。
 でも、今の状況で王国の傭兵を機兵付きで、城の中に入れてくれるもんだろうか?
 それに、リックさんは立場的にどうなんだ?
 俺らに付き合ってて良いの? 気になったので問いかけてみると……。

「ああ、国境のどんぱちは耳聡い連中なら知ってるだろうが、下の者は傭兵が突っ走ったと信じてる連中も少なくない。
 今の所、教国の戦力が国境付近へ動員されたって動きも無いし、軍の純戦力にダメージが無かった事もあって、全体としちゃ意外と暢気なもんだ。
 ピリピリしてるのは基幹部隊の連中と城の偉いさんだろうよ。
 それにな、準機士なんてのはそういう事を考える程、偉くも無いからな。
 傭兵の連中けしかけて騒ぎを起こす上の連中より、命の恩人で知り合いの安否を知らせてくれた、自称『王国の傭兵』の方が幾らかマシだ」
「なるほど」
「まあ、軍人としちゃ、不味いんだろうがな」

 なるほど、リックさんの軍での地位は低く、何が出来る訳でもない。
 とはいえ『赤獅子』の名前の影響力は大きい故に、王国の傭兵と云々で面倒な事になる前にと命を狙われた線かな。
 有名になるのも考えものだが、何代か前のご先祖様のお陰ってのは、どうしようもないわな。
 ふうと隠れて一息。 ふと隣を進んでいる機兵を眺める。

「あ、そういえば」

 黒シェファードの中身を覗いてなかったな。
 普通のシェファードも見たこと無いし、今の内に中身覗いちゃおうかな?
 公領独自開発の機兵って、興味あるし。
 よし、思い立ったがなんとやら。
 馬車の御者をフォウさんに任せ、併走しているロシナンテ改の、後ろに繋がっているソリへ飛び移る。
 一瞬ヒヤッとしたが、なんとかロープを掴んで安定させた。
 まあ、今は全力疾走したら追いつける位のスピードに落ちてたので、転げ落ちても死にゃしまいが。

「さてさて、何か面白い物でも出てくるかなー」

 ロシナンテ改のたれ流しているマナを、ちょいと拝借して機兵鍛冶スキルを起動。
 シェファードをスキャンする。

「……何だこいつ?」

 思わず口をついて出る、疑問、ギモン、ぎもん?????
 材料の質が低いとか、造りの精度が荒いとかは別にして、あからさまに今まで見た機兵と構造が違う部分が見受けられる。
 物は稚拙、効果も微妙なレベルだろう。
 だが、その発想というか、意味は……。

「……アリエナイ」

 ざっと見て、シンプルとされている、ロシナンテとの違いが三点。
 まず関節のロック機構、及びダンパーを兼ねたバネ仕掛け。
 簡単に言えば膝、足、肘の一部に板バネが入っている。
 今まで見てきた機兵の関節は、曲げ伸ばしの両方向にモーターの出力が掛かっていたが、このシェファードには片方向しか用意されていない。
 もう片方向の力は、ギアでロックできる構造のバネのテンションで賄われている。
 動きの単純化や、微妙な調整が困難だろうけど……扱いは楽かもしれない。
 それにマナの出力が少なくても良いのか。

 ついでゴムだか革だかなチューブの中に、封入されているミスリルの粉末入りオイル。
 これは背中の主機から各関節部に向かって、機体フレームに巻きつけられている。
 信じられないが、このチューブに沿ってマナが流れるのを確認した。
 めっさ原始的だが、各フレームに高位素材使ってマナを誘導するよりも、コストは安いし何よりソーマシステムの発想に近い。

 最後に……装甲裏側から鋼線がのびており、直径20cmほどの筒状の金属缶に繋がっている。
 そして、その金属管から更に鋼線が延びていて、付近のモーター部分に繋がっていた。
 一体何かと、内部を解析して呆気に取られた。
 金属管の中は、紙を大雑把に巻いた物を突っ込み、空間を間仕切り、そこにさっきのチューブに入っていたのと同様の、ミスリルの粉末入りオイルが充填されていた。
 これは、ある種のマナプール。
 例えるなら、マナ式のコンデンサ?(実はキャパシタと云う方が正解でしょうが、ここではコンデンサで)
 チューブと違い、溜め込む事を考えている故の、紙の間仕切りだろう(意外とマナは物の抵抗を受ける、大気や木、皮、紙よりも液体や金属に沿いやすい部分がある)
 まあ、マナには極性とか関係ないので、凄く適当な動きでしかないだろうけど。

 推測で動きを予測すると、機兵が通常の動作をしている間、制御できずに拡散するマナは常に一定量存在する。
 それらが装甲を通して出て行く途中で、大気中へ行くよりも流れやすい、ミスリルオイル入りのコンデンサ内に誘導され、そこに溜め込まれるのは間違いない。
 つまり最初のコンデンサ内はマナの圧力がゼロ>装甲側の接続線は幾らかのマナが流れているのでプラス状態>コンデンサ内部へマナが充填される。
 次にモーター側だが、モーターがマナを使用すると、その瞬間はその近辺のマナが薄くなる。
 言い切ってしまうとモーター稼動>モーター部のマナが薄くなりゼロへ(パワーが落ちる)>この時コンデンサ内部はプラス状態>そのプラス分がモーター内部へ流れ込む>パワーの途切れがフォローされる。
 基本はこういう形だろう。
 無論、モーターの内部で未使用のマナの圧力が高ければ、そこから装甲側へ向かって流れる途中でコンデンサに溜まる事もあるだろうし、コンデンサ内に保持できる時間とかはほんのちょっとだろうし、保持量オーバーした分は結局垂れ流しだとかな限界もあるが、パワーの途切れは一瞬でも戦闘状態では死に体となる、その危険な瞬間を埋め合わせる事が出来たり、マナ発生のサイクルを長く取って、コンデンサ内に溜まるマナを積極的に利用する事で、機兵の燃費を良くする事が出来るメリットは計り知れない。
 それをこのローテク・ローコストで実現させる工夫も驚きだが、この世界ではこの発想自体がありえないような気がする(まあ俺が知らないだけで、実はポピュラーなのかもしれないが……)
 ぶっちゃけると、俺がミッシングワールドやミッシングウォーで、ソーマシステムを流行らせる前の段階の発想だ。
 あれは多分、電子工作でもやった事がある人の考え付いた手法だと思うけど、こんな中世で浮かんでくるのだろうか?
 土器に金属片と塩水入れて電池作るってレベルじゃねーぞ。

「なーんか、呼ばれた奴の臭いがするなぁ……うわぁっ、ぐげ」

 鬱入ってると、門で皆が止まった拍子に転げ落ちた。



 門でリックさんが手続きしている間、暇だったので立ち番しているシェファードを覗き見。
 こっちは二機共に、取り立てて変な所は無い。
 やっぱしこの黒い奴が特殊なのか。
 安く、間単に動かせるという辺り、優れていると思う反面、普通に強い連中には歯が立たない気もするが、戦争は数だよという言葉もあるし、安く作れて安く動かせるというのも、一つの選択肢ではあるよな。

「やはり問題は……誰が作ったんだって話だよねっ!? うぉ、ん?」

 急に暗くなったと思ったら、飛行船が太陽を遮っていた。
 気嚢は一つで、重厚というかドン臭げな幅広の楕円形をしている。
 下に吊り下げられている構造物が見えないのは、内部に埋め込んであるせいかな?
 そう考えると防御力高そうにも思える。
 とにかくそんなのが、どんどん城に向かって降りてくる。
 そして城の手前に従機兵を降ろし、再び高度を上げると城の向こうへ飛んでいった……。

「なんだったんだ?」

 それには降りて来た従機兵が直ぐに答えてくれた。

「こちらは公都守護基幹部隊所属、ヒョーゴ=リヒョーダン=ジマー機士である。
 その賊の機兵と死体、こちらで追っている案件に関わりが在ると思われる。
 速やかに引き渡し願おう!!」

 うわー、介入素早いなぁ。
 因みに従機兵は10mのほぼフルサイズで、ちょっと奇形という位に重装甲な機体……つか、人から掛け離れたデザインしてる。
 例えるなら、戦車の砲塔から、砲を外して肩部と腕部を生やす。
 あとは砲塔の回転部分を腰にして、キャタピラ無くして、ゴツイ逆足を生やせば完成みたいな。
 なんつーか、今まで見た従機兵が大方『三日逃げたら罪が免除なアニメの世界』としたら、目の前に居るのは『重さが力で、デザインが版権で色々あった某ボードゲームの世界』な感じでしょうか。(いうなれば『ジャーン! ジャーン! ゲッ、マ□ーダー!!』とか『ゲッ、ス┣ーカー!!』みたいな)
 とはいえ、シェファードと似たような意匠が見えるとこから、もしかしてこんなのが公領のスタンダードな奴なのか?
 まだ軍独自の従機兵って見たこと無いんだよなぁ、教国で見たのは二機とも違う型だったし。
 もしかすると製作者の癖が出るとか、モデルチェンジが頻繁だとかなんだろうか?
 ポニーやシェファードは数作るから、部品も共通化されてるんだろうけど、従機兵はその時点での在り物で作るのかもしれない。 効率良いんだか悪いんだか。

「ま、いいや。 こいつも覗いてやろう……」

 おやおや、真っ黒いなぁ。
 こいつの中に、黒シェファードと同じような機構が入ってますよ。
 むしろ更に推し進めたようなのが。
 主機から伸びるチューブがモーターに行く途中で、例のコンデンサの容量でかそうなのが、複数くっつけてある。
 主機から直で充填とか、これはマナ漏れの回収とかよりも、緊急時のパワーの持続が目的だろう。
 そして、モーターが双方向に装備してあるのに、バネ装備。
 おまけにバネ巻き上げ用の専用モーター付き、どう考えても燃費とかそういった方向の代物じゃありません。。
 それもなんだか膝、踵、爪先、たわめたバネを全部開放したら、この重装甲の従機兵でも跳ね飛びそうな位の力を溜め込める代物……。
 ああ、そうか。 踏み込みにでも使うんだろうね、あるいはバックステップか。
 カカッとなんてレベルじゃねーぞ。
 でも、セッティングはパワー重視で、瞬発力はマナ要らずの機械仕掛けか、間合いの開いた時にせっせとバネ溜めて、バネ開放で突っ込んで、重装ならではの運動エネルギー込みでブチかまし、止められても持続力のあるパワーで鍔ぜりあい。
 離れて溜めて、突っ込んでとか。 うわ、ちょっと感動した。
 
「……マスター。 マスター?」

 誰かに小声で呼びかけられてた。
 まったく、珍しく人が感動してるのに……ん? なんか、わき腹を突付かれてる?

「あ、はい?」

 慌ててそっち向いたら、フォウさんが前々と目配せ。

「え?」
「私の機体がそれ程に気になるかね?」

 外に出てきた機士が、目元をピクピクさせながらこちらを睨んでいた。

「うわ、すんません!! この重装の従機士をどう振り回すのかと気になってしまいまして!!
 これでも錬金術師で機兵に触れる者の端くれな者でして!!」
「ほう!! そうなのかね!!」

 あれ? 一気に表情が変わったぞ? なんか凄い機嫌が良さそうだ。

「では、こいつをどう思うね」

 神経質そうに撫で付けた黒髪とヒゲ、ヒョロリとした長身を黒に金糸の豪華な軍服に包んだ、ジマー機士。
 彼が自分の従機兵に触れながら問いかけてきた。

「そうですね。 まずは重装ゆえに耐久力は云うまでも無く、その為のパワーも疎かにされている筈も無く、その一撃は重い致命の一撃となるでしょう。
 恐らくは一刀一足の裡に入り込めば、無類の強さを発揮する事でしょうね」

 ジマー機士、うんうんと気分良さ気に頷いている。
 まあ、一足一刀とか言いつつ、武器持たずに拳骨でボテクリコカス感じの、セメントな格闘戦だろう。
 あのゴツイ腕部で殴られたら、軽量なんて簡単にペシャンだろうなあ。
 おまけに腕部に結構な余裕があるんだよなぁ……何か仕込むのかも。
 そんな事を考えつつ、話は続ける。

「ただ、判らないのが、其処までの距離に踏み込む術です。
 こうして軍に在るのですから、その部分を捨て置いてあるとは思えないのです。
 それで先程から、思考の迷路に嵌り込んでしまいまして」
「ほほう……どうして唯の見掛け倒しとは思わないのかね?」

 うわー、めっちゃ楽しそうだ。

(いや、ありゃ見掛け倒しだろ)
(いやいや、あれで着実に功を稼いでいると、噂に聞いた事が有る)

 後ろでボソボソ云うな。
 さて、なんと応えた物か。

「気になるのは三点ですかね。
 一つは見掛け倒しで、其処まで扱いの難しそうな機兵は、態々使わないでしょう。
 二つ目、ぱっと見で装甲に多少、新旧の時間差が有りますね、実際に使っている証拠です。
 三つ目、これだけ素早く此処に現れた貴方が、無能な訳が無いでしょうよ!!」
「ははははは、これは参った!! 素晴らしい、はーはっははははは!!
 いやいや、これは本当に素晴らしい」

 ジマー機士、大爆笑、大歓喜。
 うわ、余計な事言っちゃったかな。

「君のような素晴らしい洞察力の持ち主とは、一度杯を交わしてみたいものだね。
 その通り!! わが玄武、差し合いの踏み込みで遅れを取った事は、未だかってない!!」

 それだけ言い置いて、ジマー機士は機兵に戻り、その配下が黒シェフィールドと死体を移動する手配を始めた。

「それでは失礼する。
 ああ、賊を捕らえてくれた褒章は城で受け取ってくれたまえ。
 酒くらいは振舞うように伝えておこう」

 ジマー機士は、結構重心がトップにあるだろう玄武を、見事に振り回して、母艦が飛んでいった方へ去っていった。
 云うだけの腕はある。
 
「おいおい、玄武かよ」

 どう考えてもこの世界では出てきそうに無い名前です。

「なるほど、あれが『四神』死神部隊って奴か」

 ロッドさん、知っているのか!!

「なんともきな臭い話になってきたな、ヒョーゴ=リヒョウダン=ジマーといえば、昇進の機会があれど、現場に残る為に辞退しているという、基幹部隊でも変わり者と評判だったが、まさか死神部隊だとはな。
 今回の件、随分と灰色がかってきたな」

 いやいやリックさん、言うまでも無く真っ黒です。

「しかしよお、キシマ君よ」
「ん? 何ですか? ロッドさん」

 なんだか随分納得云って無いご様子、まあ、獲物を掻っ攫われたのは悔しいでしょうが、此処は穏便に。

「あれ、本当に動けるのか?」

 そっちですか。 動けますよ、軽やかなターンを見たじゃないですか。
 結構、洒落にならないと思います。

「動け「動くだろうな、問題なくというか、それを武器に出来るレベルで」ますよ、えー!!」

 リックさん、知っているのかー!!

「あれが四神の機兵だというのなら、機兵創成期の異才『プラインゼス=プラインズ』の手がけた機兵を基にしている筈だ」
「あの天才か!!」

 リックさんの言葉に、ロッドさんが驚愕の叫び……あの、俺が置いてけぼりですよ。

「たしか、名前位は機兵の歴史に出てきてましたが、そんなに凄い人なんですか?」

 一応、話に入ってみる。

「まあな、白機士の基本フレームを手掛けて、真っ当すぎて詰まらんとか言って、公領に逐電したお人だ。
 今ですら通用する設計を残すような天才だが、最後までやっていたらどんな白機士になっていたか」

 ロッドさんが、ブルルと肩を震わせる。

「彼はこの公領に来て、従機兵を幾つか手掛けたが、乗り手を選ぶ上に手が掛かるという事で、それ程の数は残っていない。
 恐らくは『四神』と呼ばれるもののオリジナルと、うちの家に伝わる『赤獅子』、ドクターの家の『銀狼』、それくらいだろうな」

 へー、っていうか、シルビアさんちも英雄のお家柄なのか?
 それとその天才、呼ばれた奴じゃなかろうな?

「じゃあ、さっきの玄武は複製品か?」

 ロッドさんがちょっと興味深げに呟いて、さっきの機兵の姿を思い返しているのか、腕組みして唸っている。

「ではあるだろうが、オリジナルの時代より、素材やらなんやらが進んでいるからな。
 更に強力になっていると思うぞ。 うちの赤獅子も、何度か改修しているしな」
「見てみたいなぁ、赤獅子」

 どんな中身なんだか。

「すまんが、あれを継いだのは妹でな、今は武者修行とかで傭兵をやっている。
 確か王国に居る筈だが」
「へー……って、王国の傭兵?」

 まさか、あれか?

「真っ赤な髪がぶわーで、俺より頭一つでかくて、口より手とか足とか出る人かー!!」
「よく知ってるな?」

 ぎゃわー!! ブルブルブルブル……思い出したくもねー!!

「妹さん、武者修行より、花嫁修業が先でしょう!!
 あんなKI・KE・N・BU・TU野放しにするなー!!
 死人が出てないのが不思議だー!! いや、絶対に何人かやっっちゃってるに違いない!!」
「おいおい、それは言い過ぎじゃないか?
 粗忽者だが、あれは今でもお兄ちゃん、お兄ちゃんって「お兄ちゃん!!」そうそんな感じで」
「「「ええっ!!」」」

 厄介事が、更に一つ増えた瞬間だった。


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