第八話:サムライチャンプと書いて最強の称号と読め!!
〜一回戦〜
―楓ちゃんVS雨宮―
二本取って楓ちゃんの勝利。
試合時間…二本あわせても十秒もかかんないくらい。
〜二回戦〜
―よっしーVS旭川―
引き分け。
そしてついに三回戦。
「では…これより角谷とミルフィーの試合を始める」
「その前にちょっと質問」
カクが顧問にビッと手を上げて質問。
「ん?どうした」
「あの垂れにチョークで直接書いたのはいいのか?」
そういや、ミルフィーの垂れにはゼッケンがない。
垂れに手書きで『ミルフィー』と書かれているのだ。
「ふむ、良い所に気が付いたな、あれには重要な問題がある」
「え?マジか!?」
「マジだ」
あの垂れに…いったいどんな問題が。
「その問題とは…」
「「「その問題とは…」」」
俺達三人は顧問の次の言葉を待つ。
ちなみに雨宮はまだ帰って来てない。
「…ゼッケンにミルフィーの文字が収まらんのだ」
ずっこけた。
「何かと思ったら…んな事かよ」
「いやいや、これがなかなか大変なのだよ、一文字二文字の名字なら軽く収まるが、ミルフィーの場合はーも入れてきっちりゼッケン内に収まらん」
一応言うがな、文章だから《ーも入れて》とか言えるんだぞ。
「大会を見ればわかるがな、例えば大前田みたいな三文字の名字の奴のゼッケンでさえもう余裕がない」
「なるほど…じゃあこのままずっと手書きって事かよ?」
「いや…ミルフィーのゼッケンは今店で注文したばかりだ」
「とても楽しみデス!!」
ニッコリと笑うミルフィー。
「さて…質問はもういいか?それでは角谷とミルフィーの試合を始め―」
「スト〜ップ!!」
次に手を上げたのはミルフィーだった。
「どうした?ミルフィー」
「ハルカハルカ!アイツ倒したらレベルアップ?」
ミルフィーが竹刀でカクをさす。
「アイツって…」
あ、軽く落ち込んだ。
「いや…今の角谷を百人倒したとしても百の経験値も出るまい」
「スライム以下かよ…」
あっ…すげー落ち込んでる。
「だが、それはこっちも同じだぞ、ミルフィー」
「そっか〜、やっぱりサムライチャンプへの道は遠いネ」
へ?何チャンピョンだって?
「はやくシンケンでバっサバっサしたいデス…」
…シンケン?
……しんけん?
………真剣!?
バッサバッサって…刀じゃん!!?
「お〜い…大丈夫なのか?女、サムライチャンプとか言ってるが」
「サムライチャンプになったら刀を自在に扱ってもいい」
「え?マジ!!」
「嘘に決まってるだろ」
「てめっ!教師のクセに人騙してんじゃねーよ!!」
「「つーか騙されんなよ」」
よっしーとカクに同時に突っ込まれた。
「んで…サムライチャンプって?」
「さぁ?サムライ界最強の称号じゃないか?」
超なげやりな答えだった。
「ちなみにここ少し前、隣町の一条大橋であちこちの剣道部員が襲われる事件が多発していただろ?」
「あぁ…そういやあったな、最近聞かないけど犯人はなんか若い女だって…」
ん?若い女?
俺はチラッとミルフィーを見た。
「…?」
ミルフィーは見つめ返して来た。
「そんな弁慶みたいな真似したのが…アイツか?」
「ふむ、これ以上騒ぎが酷くなる前に私がここにスカウトした」
「…なんて?」
「剣道強くなったら刀が貰えて自由に使えると」
「ま…マジか!?」
「嘘だ」
コイツ…また。
「そんな嘘すぐバレるに決まってんだろーが」
「…ミルフィーは竹刀千本集めればサムライチャンプになれると思っていたのだぞ」
うん、案外大丈夫かもしれない。
「あ、そーだ、カエデ」
「…はい?」
俺と顧問が話ししてる間にミルフィーは楓ちゃんに声をかけていた。
「カエデの家にはカタナがありますか?」
「刀…ですか?」
「イエス!!」
あ…まずい。
「なぁ…なんかバレそうじゃないか?」
「…楓はアドリブが出来んからなぁ」
「…刀ならありますよ」
家にあるんですかい!?
「オォ!すばらしーですね!!」
ニッコリと笑うミルフィー。
「私はかならず勝ってサムライチャンプになります!!」
そしてカクを見る。
「しょーぶです!!」
「おい…大丈夫なのか?前に剣道部員襲ってた奴だし…強いだろ?」
カクが心配なのか顧問に聞いてる。
「安心しろ、こと剣道に関しては全然素人だ」
「そっか、よし…」
カクが試合場に向かう。
「まっ…だから危ないんだがな」
この顧問は悪魔だった。 |