第二話:一方的な愛と書いてストーカーと読め!!
さて…問題はどうやって楓ちゃんに近付くかだ。
不良である俺がニコニコしながら近寄る訳にもいかねーし。
「素振り…止め!はい、じゃあ次、面打ち始め!!」
「ハイッ!!」
上級生だろうか、そんな掛け声とそれに続く新入生の声。
バシッ、ビシィッ
そして竹刀で面を打つ音が聞こえた。
「うるっせ〜な、人が考えてる時にビシバシ…、!?」
その瞬間、俺の頭に一つの閃きが走る。
そう、このやり方があるじゃないか!!
「そうと決まりゃ…」
閃くや否や、俺は剣道場に向け、走る。
ガララッ…
そして勢いよくドアを開けた。
「やぁぁぁぁぁあ!!」
「たぁぁぁぁぁあ!!!」
掛け声、練習の熱気に少し唖然とする。
しかしそこに居たのは見た所六人、しかも全員女だった。
(…男子はまだ来てねーのか)
「誰?桜場先生来たの?」
「いや…男子、ん〜?なんか見た事あるような…」
「アンタと同じクラス?」
「いや〜…違うと思います、確か同じクラスの男子が…」
ヒソヒソと面をつけたまま話す女子部員。
…ちょっと不気味だ。
「…長光君?」
と、一人入り口に居る俺の方に向け、走って来た。
垂れのゼッケンには『中原』の名字。
「…誰だ?」
「中原 岬です、ほら…机、出席番号順で長光君のいっこ前の」
そうなのか?まぁなんにしろ知ってる奴が居るなら有難い。
「長光…長光、あーーーーーー!!」
と、一人の女子部員が突然叫び出した。
「ち、ちょっと…うっさいじゃん」
「んな事より大変っスよ先輩!一大事です!!」
「はぁ?」
「思い出したんスよ、さっきクラスの男子が言ってたんスけど、アイツ、長光 英次!!」
女が俺を指差して話す、ふっ…俺も有名になったもんだ。
「アイツ、中学ん時、喧嘩無敗のヤンキーッスよ、その余りの強さについた名がーーー」
魔王。
そう…、中坊ん時、喧嘩無敗だった俺はそう呼ばれた。
「大魔王の手下!!」
…え?それってランクアップしてんの?ダウンしてんの?
「大魔王の手下…、そんな人がなぜうちの剣道部に?」
いや、大魔王の手下止めて。
「えっと〜、何かご用ですか?長光さん」
ほったらかしだった中原がそう聞いてくる。
「あ〜…中原、楓ち――じゃなくて、雅って奴は居るか?」
ふぅ…危ねぇ。
「楓ちゃんならあそこに」
中原の見る先、凛と正座をする女の子。
雅 楓が居る。
あぁあ〜!可愛いぜコンチキショウ!!
「…ちょっと借りるぜ」
「えっ…あっ!」
俺は中原から竹刀を借り、楓ちゃんに向かう。
「………」
楓ちゃんは正座のままスッと俺の顔を見た。
上目遣い…うん、最高!!
「…よぉ、俺の事は覚えてるか?」
っと…周りの手前、一応は不良らしくいかねーとな。
「…はい」
お、覚えててくれるなんて…地味に嬉しいぜ!!
「…この前の不良C」
「…え゛!?」
不良…C?
AでもBでもなく…C?
三番目に倒したからCですか?
「…長光 英次だ、雅 楓、お前に言いたい事がある」
「どうして私の名前をフルネームで知ってるんですか?」
「そんな事はどうでもいい!!」
ブンッ
俺は竹刀の先を楓ちゃんに向ける。
「俺は剣道部に入る!んで剣道で勝負だ!!」
「…え?」
そう、同じ部活…同じ時間を過ごす事により、二人は徐々に惹かれ合う。
これは宣戦布告に見せかけた…愛の告白!!
ふふふ…決った、確実に。
ガララッ…
誰だよ…せっかく人が決めてんのに、無粋に入って来た奴は。
「長光が剣道部を襲撃していると生徒から報告があったが…」
「いやいや…流石の長光でもそんな馬鹿な事やりませんでしょ」
入って来たのは生徒指導の先生二人。
「「ん?」」
目が合った。
俺の手には竹刀。
先っぽを楓ちゃんに向けている。
俺は不良として有名。
「…さて、長光」
「待て、待ってくれ!誤解だ、俺は何もやってねぇ!!」
「はいはい、い〜から、話しは生徒指導室でゆっくり聞くからな」
ズルズルと連れて行かれる俺。
「ところで先輩、うちの高校に男子剣道部なんてありましたっけ?」
「…さぁ?無いんじゃない」
なんか不吉な会話が聞こえたけど気にしないぞー!!
ズルズル…
バタンッ←戸の閉まる音。
「なんだ…アイツ?」
「あっ!桜場先生!!」
「なぁ、今の一年の長光じゃないか?何しに来たんだ?」
「なんか剣道部に入るって言ってたような…」
「ほー…剣道部にねぇ」
「すごいニヤリと笑ってますね…」 |