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そして少女は紫衣を纏ふ
作:鋳金ダラ



行間 三


 
 
「なんだ、それは?」
「戦利品。指輪だよ」
「金にするつもりか?」
「当たり前でしょ。ちょっと血で濡れちゃってるけど拭けばいいし。きっと良い値段着くと思うな」
「ふん。それにしても、思ったより抵抗が激しかったようだな?」
「は?」
「裾に返り血。らしくないな。お前なら返り血一つ浴びずに片付けられると思っておったに。所詮は惰弱な人間かとばっかり思っていたが……」
「オレだってね、手を抜いた覚えはないよ。相手はヤクザとか警官とかどうでもいいヤツらじゃなかった。苦しんで死んで欲しくなかったから、一撃で決めようと思ったのに下手に動くからさ」
「貴様の腕も鈍ったか?」
「バカじゃないの? オレの腕が落ちるわけ無いでしょ?」
「さあな。分からぬぞ?」
「……、」
「……、」
「―――時に、だ」
「……『押領使』?」
「何時ぞや、話した昔話を覚えているか?」
「ん? ああ、勿論。オレがお師匠様殺したときだろ?」
「覚えているなら止めておけ。末路は同じだ。貴様は『追捕使』となった者を縛り付ける永遠の螺旋に捕らわれているだけに過ぎない。その『抗おうと行動していること自体』が螺旋の一部なのだ。余は今まで歴代の『追捕使』とこの世界を渡り歩いてきたが、誰一人として永遠の螺旋から逃れられた者はいなかった」
「その話は聞き飽きたよ。でもさ、だからってオレが出来ないって証拠はないでしょ?」
「まあ、な」
「オレはやるよ。あの頃はオレも、そしてお師匠様さえも未熟だった。だけど今のオレがやったらどうなると思う? 今のオレがやったら成功する。みんな幸せになれる。そう思うでしょ、ね?」
「……貴様」
「アレ? 羨ましいの?」
「―――良い。分かった。最早止めぬ。好き勝手、気の済むまでやるといい。余は余で勝手に動くとする」
「勝手にして。ただし、オレの邪魔はしないでね」
 
 
     ◇◆
 
 
 命が一つ、またこの世界から零れ落ちた。
 ―――最愛の、命が。
 彼は征く。
 斬り捨て、挽肉にした亡き骸を置いて。
 愛刀の血糊を払い、引き裂かれた骸を跨いで。
 そして。
 
 
 
 
 ―――その事実を知るものは、まだ誰一人としていない。
 
 
 
 


分かり合えてるかなんて分からないけれど、その手を掴まずにはいられなかった。











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