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赤美ちゃん
作:遥胡



赤美ちゃん(1)


あるところに、それはそれは可愛らしい女の子がお母さんと森の奥に住んでいました。
ある日、お母さんが言いました。
赤美あかみ。おじいちゃんが風邪をひいて寝込んでいるそうなの。お見舞いに行って来てくれる?」
「わかったわ。じゃぁ、お見舞いの品を買うからお金をちょうだい。」
赤美ちゃんは、お気に入りの赤いずきんと硝子の靴を履きながらお母さんに言いました。
「お見舞いの品は、このパイを持っていってくれたらいいわ。あなたにお金を渡したら余計なものばかりかうでしょう。その硝子の靴だって、こんな森の中じゃ歩きにくくて仕方が無いでしょう。」
お母さんはあきれたように娘を見ました。
しかし、赤美はそんな母を気にする風もなく、
「お母さんは乙女心が解ってないわ。確かにお母さんは、もう乙女といえるような年齢ではないだろうけど、心はいつまでも乙女のように純粋で若々しくいるべきだと思うわ。そしたら見た目も、もう少し若く見られるんじゃないかしら?ねぇ?お・ば・さ・ん♪」
と言い、さっさと出て行ってしまいました。
赤美ちゃんの家からは、しばらく女の人の叫び声と物の割れる音が森中に響き渡ったそうです。


赤美ちゃんが森の中をトボトボ歩いていると、道端にお金が落ちていました。
赤美ちゃんはそれを見つけたとたん走り出しました。森の中にお金が落ちているなんて、あからさまに怪しかったのですが、赤美ちゃんは今キラキラドレスが欲しかったので、お金が必要だったのです。
そのうえ、赤美ちゃんはとってもわがままで自己中な子だったので、「落ちている物は私の物!世の中の価値ある物は全て、私が持っているべきだ!」という、ハチャメチャな考えの持ち主なのでした。
赤美は、周りをキョロキョロ見回して、今まで見たこともないような速さで道に落ちていたお金を拾いました。すると、不思議なことに数メートル先にまたお金が落ちていて、それが道を外れてずっと続いていたのです。
これは本当に怪しかったのですが、赤美ちゃんは目を輝かせながら、どんどんお金を拾いに行ってしまいました。

数分後、赤美ちゃんの両手がお金でいっぱいになったとき、前の方から視線を感じた赤美ちゃんがそちらの方を見てみると、なんと2m近くある赤鬼がジッと赤美ちゃんを見つめていたのです。
赤美ちゃんが驚きで目を見開いていると、その赤鬼は・・・
「なんて可愛い娘なんだ。」
「・・・・はぁ?」
赤美ちゃんはその言葉に呆然としました。
「俺は今花嫁を探しているんだが、なかなか良い女が見つからなくてな〜。こうなったら向こうから来るのを待つか、ってことになってお金を置いて待っていたんだが・・・まさか、こんなに可愛い子がきてくれるとは・・・v」
赤美ちゃんはその話を聞いて額に青筋を浮かべました。

(というと、何か?!私はこんなアホ面した鬼の作戦にまんまと騙されたというの?!)

赤美ちゃんの怒りに気づかず、赤鬼は嬉々とした表情で、
「俺の嫁になれ!」
と、言いました。
それを聞いた赤美ちゃんから、ブッチンというヤバげな音と、
「何でこの私を騙したアホ面でブッサイクの体だけゴツい鬼の嫁になんてならなければならないの?!!そんな事よりも、あなたはこの私を騙した罪を償うべきよ!さぁ、償いなさい!今すぐ償いなさい!一生償いなさい!地獄の果てまで償いなさい!!」
という怒鳴り声が聞こえました。
赤鬼はそれを聞いたとたん、目いっぱいに涙をためて、赤美ちゃんに謝りました。
外見は恐ろしいのですが、内面はとても傷つきやすい赤鬼だったようです。
赤鬼は、顔をくしゃくしゃにして何度も何度も謝りました。
しかし、赤美ちゃんは許しませんでした。
「何度謝っても、私のプライドは傷ついて治らないの!私に命令なんて、100億年とんで永久にしてはならないのよ!!」
と、よく解らない事を叫びながら、硝子の靴を赤鬼に投げつけてズンズンと来た道を戻っていきました。
あとには、涙目の赤鬼と片方しかない硝子の靴が寂しく転がっていました。












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