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Revolution(科学の力で日本を変革、そして宇宙へ) 作者:黄昏人
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開発の一段落

1週間ほど、どうせ誰も読まないから、矛盾が出ないようにひたすら続きをワードで書いていました。
どうせ誰も読んでないだろうなと、思って今日見たら、何人もの人が感想を送ってくれています。また、週刊でベスト10(空想科学だけですけど)に入っていて驚いた次第です。
続きはかなりできているので順次載せます。前にさかのぼって全体に誤字は直しましたが、前の話は大幅に入れ替えましたので、読み直してください。そのままですと、今後の展開に矛盾がでます。
 9月8日、まだ残暑が厳しい日、ようやくフュージョン・リアクター(FR)機が組みあがった。ようやく、と言ってもやった内容からすれば極めて速くできた方である。午前11時、立ち会う牧村も感無量である。今日は、定常運転まではいかないが、スイッチを入れて励起を始め、連鎖反応・発電までを確認することにしている。

 山戸、牧村、順平、順平の父の洋平、FR計画の開発責任者木村教授等の主要メンバーは無論、開発を実施した斎藤をはじめとするメンバー、経産省からは日高、吉竹に加え局長の田中、四菱重工の江南工場長、さらに技術担当専務栗山慎吾も来ている。
 中根大臣も来たがったが、目立つということで断念している。この件に関する秘密保持は、首相の警告もあってか、驚くほど守られている。さすがに、各省に作業が分担されたことから、なにか大きな動きがあることはマスコミの噂にはなっているようだ。「核融合」という言葉もささやかれてはいるようだが、あまりにとっぴということで相手にされていない。

 一つには開発場所が、地方都市の江南市ということが幸いしているのかもしれない。地元の地方紙が、四菱重工の工場で経産省も絡んだどうも動力系の開発が進んでいるという大体当たっている観測記事が出たが、特に大きなマスコミの動きはない。

 スイッチは山村教授が入れる準備をしているが、そのまえに、開発メンバーが各機器のチェックをしている。「IRセレクター指示値・UR指示計OK、電解装置電流値O.K、出力計O.K…………」読み上げられる。

「山村先生、すべて機器のチェックO.Kです」

「よし、では1分後にメインスイッチを入れます。………、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、スイッチオン!」

 数秒後、低い唸りが始まり読み上げが再開される。「励起始まりました、リアクター内温度上昇中、100℃、―――200℃、――――300℃、――――400℃―――――488℃連鎖反応始まりました」

「電力エクストラクター、オン!」と山村。

「電力出力、3万、4万、5万、7万、9万、10.5万kW、10.5万kWで安定しました。
 水素ガス消費量は、1.05g/hrです」

「成功だ!」

 期せずして、万歳三唱が始まる。順平も喜んで手を挙げて声を張り上げている。みな、それぞれ握手して回っている。スイッチを入れてわずか、20分後のことであった。

 山村が言う。「折角問題なく動いているようですから、1時間ほど経過を観察しましょう。送電は大丈夫ですね」

「ええ、すでに工場以内の電力消費量を超えていますが、余剰分は問題なく電力グリッドに流し込めています」工場の電気担当技術者だ。

 山村が、大声で言った。「1時間経ちました。FR機は全く問題なく稼働しました。いまスイッチを切って、機器を点検します。切りました」

 山村は皆の方を向いた。
「これをもって、FR機開発は成功裏に終わったと言ってよろしいと思います。
 開発を実施してきた皆さん、大変タイトなスケジュールで献身的に開発に従事してきてくれました。ありがとうございました。また、今日遠路おいで頂いた方々、ありがとうございます」

 立ち会った皆から、拍手が巻き起こった。
 その後、工場内の隣室で用意された立食の形の食事を皆で楽しんだ。順平は父の洋平と並んで「あーあ、おなかがすいた」と食事を楽しんでいる。

 四菱重工の技術担当専務栗山慎吾は経産省の田中に話しかける。
「田中局長、今日までこの開発案件は秘密を保ってきたわけですが、政府として結局いつ発表されるのでしょうか」

「はい、首相からの重要なメッセージということで、明後日10日のNHKで午後7時から1時間の枠を取っていますので、その際に発表します。たぶん、今日の話はある程度はもれるでしょうが、貴社にも今は発表できないということでお願いしていますし、時間もないので大きな動きにはならないと思います」田中が答える。

「この発表によって、株の変動ですとか大きな動きがあると思いますが」栗山が言う。

「ええ、そのあたりは各省が連携して、影響をシミュレートしてネガティブな面を抑える対策は立てました。しかし、ある程度の株価の変動は避けられませんね。ただ、お気づきと思いますが、国内に巨大な需要が生まれること、とりわけ莫大な燃料輸入費が不要になるメリットを考えると、そうした混乱は短期的なものと考えています」と田中。

「私は、原発の技術者だったのです。今後は廃れた技術ということになりますが、正直言って、ほっとした面もあります。あれだけ、たたかれ、また実際に100%安全とは言えないものでしたから」栗山が少ししんみり言う。

「ええ、そういう意味では、これが単なるきっかけですが、技術はこれから数年で極めてドラスチックに変わっていきますね。結局、いままでそれなりの比重を占めていた、エネルギー費が極端に下がったということですし、将来の確保に不安から解放されてということから、世の中も大きく変わっていきますね」田中が返す。

「それらのすべての動きの、キーを握っているのがあの少年なんですね」栗山は、おいしそうに食べている順平を見つめた。

 9月10日午後7時、ほとんどすべての国民がテレビ画面を見つめている。
「それでは、特別放送、『阿山内閣総理大臣による談話、“いま起こった、エネルギー革命”』を開始いたします。阿山首相どうぞ」

「皆さん、内閣総理大臣の阿山です。
 今月8日一昨日、江南市において、かねて開発中であった融合発電装置の試運転が行われ、成功であることが確認されました。
 この設備の理論的な確立は、国立江南大学において、物理学科の山戸教授、牧村准教授等の皆さんにより行われました。さらに、開発は同大学工学部の山村生産工学科教授の指揮で、大学関係者およびいくつかの民間企業の協力の元で行われました。装置そのものは、現在、江南市の四菱重工業株式会社の工場内に設置されており、今現在も10万kWを超える電力を生み出し続けています。

 この発電機は、出力10万kWで、燃料は水道水を電気分解して得られた水素であります。
 パネルをお願いできますか。人の映像と比べていただければわかりますが、これは、幅5m、長さ10m、高さ5m総重量45トンと極めてコンパクトなものです。核融合による発電ということで放射能を不安に思う方もおられるかもしれませんが、これは全く放射能を発生しませんし、直接電子としての電力を発生するという構造上、熱の発生も少なく、最大の反応温度は500℃程度です。
 今回制作された発電機は10万kWですが、1世帯1kWの消費とすると10万世帯に賄える電力を発生します。また、もし重油によって発電する場合、1時間に8k㍑の油を使う一方、これは1時間1グラムの水素ですから、0.02リットルのごく微量の水道水を使うだけです。
 また、燃料が水ということは、もう燃料が手に入らないという不安からは解放されるわけです。また、設備についても、従来のものにくらべ、大幅にコンパクトであることから予想されるように、大幅に安くなります。大体、1/5程度になるであろうという専門家の話です。

 しかし、この設備を我が国に導入するということは、いいことばかりでもありません。
 一つには、原発の再稼働では、さまざまな議論を呼んでおりますが、この核融合発電が完成した以上、間違いなく再稼働はありませんし、現在動いている5基も早晩ストップします。また、これは原発に限らず、火力発電、たぶん水力発電、ソーラ発電も一緒であり早晩廃棄されるでしょう。これは、単にコスト的に負けるからです。コストというのは、皆さんが負担する電力料金ということです。
 すなわち、電力会社が資産としてもっていた、これらの発電設備は資産でなくなるわけです。それより、撤去の必要がある負の資産というべきでしょう。
 これは、電力会社および関連企業には限りません。実は、先と同じ江南大学において、現在バッテリーとモーターに関して、今回の核融合発電の理論を発展させた画期的な開発が進んでおり、自動車は電力と同じく、コスト的な理由で電気式に代わると考えています。このため、石油を輸入して燃料に加工してきた会社も、その設備が価値を失いますし、おなじような産業は数多いと思います。

 一方で、我が国は石油等の化石燃料を年間15兆円位支払って輸入しています。先に申し上げた更新が進むと、これらの輸入は12〜13兆円減ると考えられています。
 さらに、現在我が国は需要不足から来るデフレに長く苦しめられています。このようなさまざまな開発による装置を従来の装置への転換、これは明らかにコスト的にメリットがありますから、誰もが替えるでしょう。それもできるだけ早く。そうした直接的な需要が、大体我が国でここ数年に限ってみても50兆円あります。これに対し、我が国は使い道のない巨額のお金が銀行にあり、出来れば民間企業にできるだけ設備投資に使ってほしいのです。こうした、明らかのメリットの大きい投資は大歓迎であるわけです。

 こうしたことを考えれば、さっき申しあげた資産の減損は我が国全体としては、大きなものではありません。
 しかし、この負担は公平に来るものではなく、例えば電力会社とか石油精製会社では負のインパクトはとりわけ大きなものになります。そこで、皆さんにお願いしたいのは、こうした負担を日本社会として分担して負ってほしいということです。これは、例えば電力料金はコストの減少に伴ってどんどん下げますが、過去の資産の償却を考えたものにしたいということです。
 一方で、石油精製会社等については、需要そのものがほぼ消滅するわけですから、別途考える必要があります。これは、新たに起きる産業等への転換などが今、考えられています。これらの、対応策についての方針は政府として大枠は策定しており、明日10時から経済産業省から発表されます。中には立法措置の必要なものもあり、確定ではありませんが、国会でも議員の皆さんの理解は得られると考えています。

 また、今回のことは、世界が心配している地球温暖化に対しては完全な処方箋になります。
 設備そのものが極めてコンパクト、すなわち建設に当たっての二酸化炭素の発生が少ない。発電そのものでは全く二酸化炭素を発生しないのですから、これ以上のものはないでしょう。国際的な面でいえば、むろん友好国を優先してこの技術の拡散に努めます。しかし、そこでは国益というものを考えた拡散として、現在外務省に対応の策定を指示しているところです。

 いま、我が国ではエネルギー革命が起きました。
 これは、後戻りはできません。しかし、この革命は大変平和的であり、かつ私たちが将来に抱いていた不安を解消するもので、私はこの時期に総理大臣の職にあることを大変幸せに思っています。
 数年後、国民の皆さんとともにあのエネルギー革命が起きてよかった、また自分たちがよく頑張っていまの良い世の中を作った、と言えるようになりたいと思います」

 牧村は早めに家に帰って妻の早苗とともに、テレビの画面を見つめて話し合っている。
 娘の舞はもう横のソファで寝ている。

「いいお話しだったわね。なにか、気持ちが明るくなってくるわ。ところで、私たちのお引越しの話が出ているというのは?」

「うん、今のところでは、セキュリティとしてガードしにくいらしい。いま、家の選定に入っているようだ。順平君の一家も引っ越しのようでたぶん、同じ建物か、すぐ近くになるのじゃないかな。
 順平君にはもうガードがついているらしい。まだ、表にはでていないけどね。それから、大学の技術開発公社の建屋を構内に作るそうだ。国が作って、公社にリースの形になる。僕の研究室はその中になる。
 さしあたってということで、大学に隣接している、ビルを使えることになった。なにかよくわからない、官庁関係の機関がいくつかで使っていたのだけど、追い出して用意してくれたようだ。順平セミナーの場所に苦労していたので助かるよ。
 ところで、5月にネイチャーに出していた論文が通って、来月に載るらしい。まあ、首相のこの談話で、フィーバーも始まるからちょうどいいね」

「順平君も名前を出しているでしょう?」

「うん、どうせ隠せないという判断で、開き直りだね。それと、僕も順平セミナーに触発されて、ちょっと系統のちがう理論の構築に入ったから、楽しみにしていて」

「ううん。ノーベル賞か、どんなドレスを着ていこうかな」

「おい、おい、気が早いよ」

 翌朝、牧村が起きて新聞とインターネットでつまみ読みをすると、前日の首相の談話は、各新聞1面トップで報じている。
 取材の時間がなかったので、内容的には薄いが、いくつか識者にインタビューをしてなかなか鋭い意見を述べている人もいる。概して、首相に対しても開発に対しても好意的な扱いであったが、A新聞は「この技術を我が国のみで占用するのは世界平和の見地から見ても問題があると思うのは、筆者のみの考えだろうか」と平常運転だ。

 時差のある米国からの反応は、かなり大きい。政府としての正式なコメントは出ていないが、報道官からは「注視し、実際に有効なものなら、米国としても今までの友好関係から、技術供与を受けられるものと考えている」とのコメントが出ている。いつも通り、大学にでて、気になってネットで株価をみると、まだ市場が開いたばかりだが、あまり動きはない。経産省の発表待ちということであろう。

 そうしているところに、山戸教授から内線電話あった。
「牧村君、記者会見を大学でやるよ。明日10時からだ。出席は私、山村教授 機械工学の佐野教授と電気工学水谷教授と君だ。空けておいてくれ」

「記者会見ですか。」

「うん、一社ずつではきりがないからね。それと、経産省の発表について一緒にテレビを見よう。僕の部屋に来ないか」
「ええ、まいります。」

 10時前、山戸教授の部屋に着き、テレビのスイッチを入れる。
 発表は、40歳くらいの経産省の産業指導課の課長からであった。発表の骨子は以下である。
 1)電力会社について、料金改定に当たって、現有施設の償却を考慮する。しかし、核融合発電機の導入による人員減(メンテナンス要員の大幅減による)および管理部門のコスト削減については、取り組みを要求する。
 2)とりわけ影響の大きい石油化学関係の企業、発電設備の製造に係る企業については、今後急速な普及・製造が見込まれる核融合発電装置の製造、建設に転換する。その転換にあたっての融資には国が介在する。
 3)今後車両の電気駆動化に伴う、エンジン製造数の減少、さまざまな部品の陳腐化による業種転換はメーカーと協力して、スムーズな転換を行う。新型の高性能バッテリーの充電は工場で行う必要があるので、基本的には今のガソリンスタンドはバッテリー交換所になる。
 4)アルミ工業については、優先的に小型融合発電機を割り当て、生産増に努める。これは、新型超モーターの主要部にアルミを多用することが大きな要因になっている。
 5)これら、莫大な投資に係る融資ついては、基本的には市中銀行が行うが、国が一定の要件を満たしたものは利子補助、補償等の措置を行う。

「よく考えているね。たぶんこれで、大きな問題は起きないだろう。しかし、業種にとっては消えていかざるを得ない。その業界に居る人のことを考えると胸が痛むね」と山戸教授。

「はい、私の友人にも何人かはエネルギー関係の会社に勤めているものもいますからね」牧村が同意する。

 さらに、山戸教授から突然の話がある。「さて、明日は記者会見だけど、その後は大分忙しくなりそうだ。
 経産省の話にもあったが、FR機を早急に建設する必要があるけれど、どっちにしろ専門技術者はいないのだから、今後仕事がなくなるのが確実な業種の人達に従事してもらう。そのため、全国から人を集めて集中セミナーをやる。講師は、開発に携わったメンバーだけなので、そう大規模にはやれないが、第1陣で100名を受け入れる」

「ええ!100人!いつから?」牧村は驚く。

「今日は11日だが、21日の日曜日には江南市に入るそうだ。
 場所は、皆が集まってやるときは、大学の大講義室を使うけど、主として開発公社にと用意されたビルを用いる。また、少し遅れるがバッテリーとモーターについてもやることになっている。
 モーターは順平君のお父さんの江南メカトロニクスで生産手法は確立したので、全国に早く広めるため、どうやって量を急速に作るかだね。これは、自動車メーカーが入らないとどうにもならないので、最初は協議会だね。これは15日に予定されている。これには順平君も出席の予定だ」と山戸が淡々と説明する。

「あのブルを使うのですか。ところで、ビルの準備状況はどうなのですか」牧村が聞く。

「うん、ビルを見てきたけど1階を警備しやすいように大分改造している。君の部屋を2階に用意している。君の研究室のメンバーは皆ある程度は開発に携わっているので、講師役を勤めてもらう必要があるな」山戸が答える。

「ええ、この際あちらにも居場所を作った方がいいかな。可能ですかね?」

「ああ、ビルは、大部分の用途は未定だ、5階建てだから、あの大きさだと教室としては2階を占めれば十分だろう。君たちも1階分の半分は使わないだろうから。現場に行って君の部屋と院生の部屋の内装について、指示をしてください。この名刺の人が改装の責任者なので、携帯に電話をかけて行ってください」と山戸が牧村に名刺を渡した。

 その日は、さまざまな株価に大きな変動はあったが、当初懸念されたいたような極端な振れはなかった。経産省の対策が功を奏したということだ。

 翌10時、大学の大ホールで記者会見が行われた。
 出席者は、予想を超えて200名あまり、海外のメディアも参加している。
「本日は、お集まりありがとうございます。
 それでは、今回開発された、核融合発電、また新しいタイプの高効率バッテリーとモーターに係る記者会見を始めます。
 まず開発に経緯、装置に関して簡単に説明します。これについてはお手元に資料がありますのでご覧ください」山戸がまず口火を切った。当面、順平のことは秘めておくことにしている。

「この開発された、核融合装置に使われている反応は、従来開発中のものと比べて全く異なるもので、従来必要とされてきたプラズマ反応を必要としていません。
 理論的な裏付けは、ここにいる牧村准教授が中心にまとめたもので、現在ネイチャーに投稿中で、来月に掲載されることになっています。また、さらなる特徴としては、従来必要とされてきた、重水素、3重水素を必要とせず、単なる水素ガスを反応に用いることができる点がまずあります。さらに、従来の核反応が一旦熱を発生させ、その熱でタービンを回して発電を行うものであったものを、電子の流れを取り出すというかたちで反応炉から直接電力を取り出すことができるという点です。実用化のためには、非常に都合のよい特徴で、装置がコンパクト、かつシンプルである理由でもあります。

 こうした、理論に基づいて、昨年11月経産省から新技術開発枠の補助金を決めて頂き、実機開発に着手しました。実機の開発については、ここにいる山村教授に指揮を執っていただき、関係した人々、機関、会社のご努力の結果わずか9カ月余りで試運転にこぎつけました。試運転を行ったのは、1昨日8日ですが、1時間の運転の後の点検の結果問題がなかったので、現在連続運転を行っています。能力は、ご存知のように公称10万kWですが、実際の出力は10.5万kW程度です。燃料は水素としては1.2g/hr、電気分解前の水、水道水ですがわずか20cc/hrです。置いている、四菱重工さんの工場内の使用電力が、現状で3万kW位のようですから、電力会社のグリッドに7万kW強を返していることになります。

 以上が概要です。また、時間は30分に限らせていただきますが、質問をお受けします。ご質問についてはおひとりであまり時間をとられても困りますので、こちらから切らせていただく場合がありますのでご承知おきください。
 なお、実機をご覧になりたい方もおられると思いますので、ご希望を募ります。あとで、四菱重工構内で実機をご覧になりたい方は挙手をお願いします。はい、ほとんど全員ですね。それではバスを準備しますので、午後1時に大学の正門前においでください。終わったら、大学にお送りします。なお、送迎バス以外は四菱重工構内には入れませんのでご注意ください。ではご質問をどうぞ」

「N新聞の山田と申します。大変画期的なもので、感激しているのですが、この新しいタイプの核融合発電というのは、理論、考え方の基礎になったものはありますか。」

「はい、牧村からお答えします。近年の核融合の研究は太陽の中の反応の模倣という方向のみですが、15年程前に常温核融合の話が出たときは私も若かったのですが、なかなか面白いと思っていました。どちらかと言えば、その常温核融合の話がきっかけで、なにかあるのではないかということで、試行錯誤して、今の理論にたどりました。」

 等の質疑応答から始めたが、主要、あるいは印象にのこったものを以下に挙げる。

 Q「開発にはどのくらいの費用をどのようにかけたのか」
 A「予算は20億円であったが、現状で18億くらい使って、装置費が12億程度」
 Q「今後、さらに発達させる開発は予定されているか」
 A「基本的に、パッケージ化して10、50、100万kWの装置化の標準設計を行って開発を終了する予定」
 Q「実用化としてどこにどれだけ建設が予定されているか」
 A「来年早々から、民間企業、そのうち開発に携わった四菱重工はもう決まっているが、のいくつかが建設を始める予定と聞いている。むろん、政府が音頭を取ってということになるなので、詳しくは経産省に聞いてほしい。聞いているのは、送電設備のある原発の位置に100万kW級の設備を必要数設置するということである」
 Q「海外との技術提携、供与の予定どうなっているか」
 A「国の方針に従うつもりで、大学としては特に考えていない」
 Q「韓国には迷惑をかけたのだから、無償で供与すべきーーーーー」この人は延々と話そうとしたので、警備員につまみ出された。
 Q「江南大学の、我が国の留学生を最近大学で進んでいる研究から締め出している。差別だ!」
 A「この研究にかぎらず、国益上重要な研究には留学生は入れない方針だ。これは、我が国に限らない」
 Q「江南大学では最近、大変多くの画期的な研究が行われているという話があるが、どうなのか」
 A「たしかに、言われるようにたぶん今年にも、注目される論文や成果が発表されるだろう。これは、本学の教育制度による成果だと思っている」
 Q「教育制度とは」
 A「基本的にはグループディスカッションで、あるテーマに様々な専門知識を持った人が集まって、議論することで、新しい考え方や案が形成される」
 Q「そんなことでそんなに画期的な成果が生まれるはずはない」
 A「事実、生まれてきている」
 Q「特許は取得されたのか。また、特許の出願者は?また特許料はその程度と考えているのか」
 A「特許はすでに公開中である、その新規性に鑑み今年中に取得の見込み。米国特許はすでに成立した。出願者はここにいるメンバーは入っている、しかし、その実施権は設立した江南大学技術開発公社のもつことになり、発明者はそこから報酬を受け取ることになる」
 Q「どの程度の金額になるのか」
 A「装置については、我が国対象では稼働開始時に1000円/kW、電力発生kW当たりに0.1円/kWにする予定。海外については、それぞれ倍にする予定だ。総額いくらになるかは各自計算してほしい」
 Q「海外が高いのは不公平ではないか」
 A「この学校は国立大学だ。国益に貢献するのは当然だ」
 30分と言ったが、結局1時間かかり、11時30分に記者会見は終わった。

 外にでると、さっきつまみ出された、韓国の記者がまだ待っている。
「山戸、貴様は韓国人を馬鹿にしている。謝れ!」周囲のジャーナリスト達はあきれて見ていたが、何人かは近づいてくる。

 山戸は平静な顔で、「別に韓国人は馬鹿にはしていないが、君のことは馬鹿にしているよ。最低の礼儀も守れない君はね」

「お前たち日本人は皆そうだ。韓国大使館に言って抗議させるからな」

「どうぞ、抗議でもなんでもしてください。それよりもう顔を出さないでほしいね。視察は君については、お断りします」山戸は警備員をみる。

「わかりました」警備員が敬礼する。

 背を向けてさっさと去る。「みな。見ろ、あの態度」記者は周囲を見渡すが、返ってくるのは冷たい目線ばかりだ。
「〇〇〇!」なにやら、朝鮮語でわめいて去っていく。

どこまで投稿するか悩んでいるところです。
再度訂正します。
+注意+
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