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シリンク帝国懲罰作戦、銀河連合2

ついに、シリンク帝国への決着がつきます。

 明日、銀河連合の宣言の期限が来るという日、シリンク帝国では騒ぎが起きていいた。地球防衛軍も加わったシリンク帝国侵略の防止作戦の経過が帝都に届いたのである。


「なに!マクラム星区の侵攻軍が全滅したと!」帝国侵攻艦隊司令官が叫ぶ。


「はい、圧倒的な戦力で一方的に侵攻軍は破られています。すでにわが戦力はほぼ全滅しました」ぶるぶる震えながら、最高速で帰還してきた侵攻艦隊の参謀は言う。


「どこの艦だ?そしてどの程度の戦力だ?」聞く司令官に参謀が答える。


「銀河連合軍を名乗っています。わかる限るで2千隻以上の艦で来たかと」


「うむ。例の宣言と関係がありそうだな」司令官はしばし考えて、「よし、持ってきたデータを渡せ、それから、お前もわかるな?」と刃渡り30cmの小刀を参謀に渡す。


「は!属する艦隊が破れた以上は。ではこれにデータが入っています」と刀を受け取り、司令官の机の横に立っていた秘書官にメモリーを渡す。


 その後、小刀を自らの頸部に当てると「シリンク帝国の栄光のために!」と叫び、一気に刀を引く。刀は首の半ばまでを引き切って血が飛び散る。しばらくたっていたが、眼が白くなって倒れる。


「わしは、作戦部長のところに行ってくる。お前はそのデータを部長に送れ」と秘書官に告げて、司令官は出ていく。

 秘書は、すぐに自分の端末でデータの中身をチェックしてを内容の整理をして作戦部長に送る。それが終わって、係員を呼んで死体を片つけさせる。別段感慨はない。


 皇帝に、宰相からその知らせが届いたのはその2時間後であった。

「陛下、マクラム星区の侵攻軍がほぼ全滅しました。銀河連合の攻勢で、現状で確認された所では約2000機の敵艦が確認されています。現在軍部では、反抗艦隊の編成を行っています。明日には、1万機の艦艇が出せます」宰相の知らせに皇帝が返す。


「うむ。例の宣告と当然連動しているわけだな」

「御意」


 宰相の答えに、皇帝は宣告する。「良い、その出動は許可する。その艦隊によって銀河連合の艦隊の撃滅は当然だが、関係したすべての惑星の住民を滅ぼせ。

 さらに、マクラム星区の作戦担当の責任者は自裁させよ。あの連合の通告があった以上この攻勢は予測してしかるべきじゃ」


「御意、して陛下、明日はあの無礼な宣告の期限になりますが、何らかの艦を送ってきて回答を受けようとするかもしてません。その場合は、その艦は即刻破壊いたします」


 宰相の話に皇帝は言い捨てる。「当然じゃ」


 明日、どういう運命が待ち受けているか、彼らは全く予想していなかった。

 せいぜいが、再度宣告があって、艦隊が押し寄せるものと考えていたが、それも相当準備に時間をかけてのことであると予想していた。また、銀河連合が実際にそういう莫大な経費と、損害を甘受してそういう決断を下せるかどうか非常に怪しいと思っていた。

 これは、艦隊を送るという予想が正しければ、妥当な予測であったろう。かれらにとって不幸なことに、連合の作戦は全くかれらの予想のそとにあったことで、宣告への拒否をする決意をした時点ですでに滅びが始まっていた。


 当日、地球防衛軍の一行は、軍務大臣が約束したように迎えが現れて、大きなホールに招き入れられた。派遣艦体の司令官とカーターや栗田を加えて中佐以上8人である。


「ようこそ、どうぞそちらにお座りください」軍務大臣サリカムル氏が迎える。


「昨日は、大変なデモストレーションをしていただいたようですね。あなた方のあの小さな戦闘艦が我々の主力艦に勝る強さとは思いませんでした。第3軍将兵は大変なショックを受けているところのようです」

 同様に出席している第3軍の総司令官ラマンサラを指して言う。


「いや、それは申し訳ないことをしましたね」カーターの言うのに、ラマンサラが笑顔で返す。


「いや、いいショック療法になりました。いささか将兵共に最新の装備で最高の訓練を受けていると慢心していたのです。これで、心を入れ替えてさらに励むでしょう。いや本当にありがとうございました」


「そう言っていただけるとうれしいです」カーターも笑顔になって言う。


 そうするうちにホールに銀河連合の総会の様子が浮かぶ。

 殆ど席は埋まっている。アナウンスがある。


「連合の回答受領コンテナを積んだ、快速船ハリシバメン2号はあと15分でシリンク星系の通常空間にでます。宣告の期限の時間正午の1〜3分前になります。

 シリンク帝国がこの船を破壊しようと待ち構えている可能性があるため、今回はシリンク星から10億kmの位置で通常空間に出て、コンテナを放出してすぐに再度超空間ジャンプで出発します。コンテナは放出されると、すぐに惑星に向かって放送を開始します。この内容です。


『シリンク帝国へ告ぐ

 銀河連合はシリンク帝国の回答を受け取るために再度帰ってきた。

 わが宣言を受諾する場合には、このコンテナに向かって皇帝の名をもって受諾の連絡をせよ。もし、このコンテナを攻撃したばあい拒否とみなす。

 拒否の場合、決められた時刻の1時間後にシリンク帝国の滅びが始まる。最初の1日で帝国の6万隻の主力艦及び巡洋艦以上の戦闘艦が破壊される。その後、お前たちが住む惑星300個が破壊される。拒否の場合、2日でお前たちの帝国は滅ぶ』

 コンテナに拒否の返事をする、返事がない、またはコンテナが破壊された場合、議長がシリンク帝国の殲滅の宣言をします。その後ただちに転送装置により、爆弾を戦闘艦へ送り込み始めます。

 総会は、その時点でいったん閉会しますが、転送が続いている間、状況は表示しますので残った方はその状況をモニターできます。

 また、明日同じ時間、惑星の破壊を始めますので、同様にモニター可能です」


 説明があっている間に時間になり、「快速船が通常空間に出ます。いま!」アナウンスが言う。


 快速船の操縦室からの画面になる。「おお、シリンク帝国の戦闘艦が多数遊弋していますね。この艦の破壊を狙っているのでしょう。何隻かが急接近してきます。直ちにコンテナを放出します。放出!放出完了!直ちにジャンプを始めます。10,9,8,……1、ジャンプ!」

 画面が切れる。


 コンテナは放出された後、直ちに全出力で恒星系全体に先ほど説明された内容を呼びかけるとともに、接近する艦隊の監視画面を送ってくる。これには超空間通信機が設置されているので、破壊されなかったとしても自爆するようになっている。

 最初に接近した巡洋艦クラスの艦がレールガンを撃つ、3発目に当たったが、頑丈に作られているコンテナはまだ耐えるものの、ミサイルが迫ってきて、画面が消えた。

 議長が立ち上がる。


「残念ながら、シリンク帝国はわが連合の宣言を無視しました。こうした、知的生物を絶滅させるのは、極めて心外でつらいことですが、かれらの行っている支配の悪辣さを勘案すればやむを得ないことでしょう。また、仮にかれらが我々の要求を受け入れたとしても、支配を受けた民族の苦しみを考えれば、前例のない極めて厳しい罰を与えざるを得なかったでしょう。

 私は宣言します。シリンク帝国を、銀河連合の名においてその国民と資産を滅ぼします!」


 アナウンスが再度始まった。「議長の宣言がでました。あと55分後に戦闘艦の破壊が始まります」総会の議場は沈黙している。


 リリンカム共和国のホールで、栗田がカーターに話しかけている。「転送装置が機能するということは、ラリムはキリガセント星にいるんですよね?」


「うん、聞いてはいないが、そのはずだよ。しかし、シリンク帝国と言う存在も本当に絵にかいたような悪役だな。ガキゾミ帝国というのもあって、とんでもないことをしたけど、結局反省して自分の経済的利益を追求しているからね。やっていることが悪辣なのもあるけど、ガキゾミ帝国程度の規模の国だったら、こっちもある程度余裕を持って相手ができるけど、シリンク帝国はでかすぎてガチで滅ぼさないとこっちが危なくなるからな」カーターが返す。


 シリンク帝国では、銀河連合の目論む具体的な攻撃の手順を述べたことで、いささか混乱が広がっていた。「2日で滅ぼす?あり得んじゃろう」宰相は皇帝に呼ばれていく歩く中ひとりごちる。明らかに、艦隊による攻撃ではない。それに6万機に及ぶ配置もばらばらな宇宙艦をどうやって破壊するというのか。かれがどう頭をしぼっても考えつかず、せいぜい銀河連合のはったりではないかと言う程度である。


 皇帝の玉座に着いたとき、皇帝のそばに居並ぶメンバーを見て、宰相は自分が終わったことを悟った。


「宰相、銀河連合の目論む方法はどうやらお前の想定とは違っているようだな」皇帝が平静を装ってて言う。

「はい、陛下、しかし、ただのはったりということも考えられます」宰相が答えるが、自分でも信じられない。


 皇帝は周りのメンバー、宰相の次代候補に「お前たちは何か考えがあるか」と尋ねる。


 彼らもためらうが最も若手の者が言う。「陛下、彼らは超空間ジャンプをものにしています。従って、それの応用で艦隊や爆弾を自由な場所に送り込めるのではないでしょうか。

 6万隻に及ぶ宇宙艦については、人知の及び範囲でその位置を常時把握できるとは考えられないから艦隊を送り込むのだと思います。一方惑星は、位置は容易に特定できますので大型爆弾を送り込めば破壊は可能です」確かに人知の及ばないラリムのことは考えつかないだろう。


 宰相はなるほどと思ったがそれと共に、こうしたことを思いつかない自分の時代は終わったのだと思った。そこで、皇帝に「さらばです。シリンク帝国に栄光を!」と叫んで携帯している小型のナイフで、首を掻き切って倒れた。


 皇帝はそれをちらりと見たが、「申せ、そうした場合にはどういう対抗手段がある?」


「はい、陛下、かれらは、艦隊を片付けてから惑星と申しました。何らかの理由があると思います。そこで戦闘艦はできるだけばらばらにして、どんな大艦隊を送ってきても容易に捕捉できないようにするべきと存じます」若手宰相候補が言う。

 このように、シリンク帝国では、連合の攻撃方法を一部察して無駄な努力を始まるのであった。


 総会議場のアナウンスが言う。「時間になりましたので、戦闘艦の破壊を始めます」


 総会会場に円筒形のものが出てきてふっと消える映像が出ている。さらに同じ円筒形の物体が次々に送られてどんどん消えていく。「これは、主力艦破壊用の1ギガトン爆弾です。次々に送られてきて主力艦に送り込まれています。送られた爆弾は超空間から出て、金属物体を感知すると自動的に爆発します。おそらく、主力艦大きな破片も残らないでしょうし、地上にあるものは大被害を出すでしょうが、大体この種の艦は地上には下りません」


 送り出すスピードは大体1秒に1発だから、全部で60,000秒すなわ22時間強を要する。

 議場に情報データベースからの情報が浮かんでいる。赤い光点がどんどん減っていっているが、1時間ではどれほども減らない。最初こそ人々は興味深く見ていたが、徐々に飽きて議場の人々は去っていく。

 しかし、その光点が消える都度、長さ500mの艦が半ば蒸発し、中の500名程度の乗員が蒸発していくのだ。そして、主力艦が終わり巡洋艦クラスの番になり、夜が明け、やがてタグが付けられた艦のすべてが消えた。


 翌朝、今度は惑星の破壊ということで、再度人々が集まっている。

 リリンカム共和国のホールでも、夜は宿舎に帰った地球防衛軍の一行も再度来ている。


 アナウンスが言う。「これから、惑星の破壊に着手します。惑星には100ギガトン爆弾を送ります。むろんこの規模の爆弾が人の住む惑星で爆発をしたことはありませんので、どのような現象が起きるかは定かではありません。この場合は爆弾が大きい関係で少し時間を要し、全部で2時間を見込んでおります」


 この場面にはナイーブな種族は来ていない。リリンカム共和国では、人々がこの破壊を提案した責任からあえて立ち会っている。


 シリンク帝国でも、戦闘艦がどんどん爆発していくのは、帝都の惑星周辺に多くが配置されている以上察知するのは早い。結果として予測を誤った宰相候補が消え、皇帝は一人玉座に座っている。こうなると銀河連合の宣言を信じざるを得ない。


「なるほど、余がシリンク帝国最後の皇帝になるわけだ。惑星を戦闘艦の破壊の後にするのも我にそれを自覚せよということか。なかなか味なことをやるものではあるな」


 たまたま、最初に爆弾が送り込まれたのは惑星シリンクであった。そのため、皇帝の述懐は短いものとなった。


 皇帝はそれを意識する時間はなかった。100ギガトンの爆発は送り込まれた首都のある地点を中心に半径2kmの物質を皇帝も含めて瞬時に蒸発させた。この爆発は、惑星を軌道から逸らすほどの衝撃を発生し、全惑星を強烈な地震が襲った。これは日本の震度階級を超えたもので、惑星の裏側でさえあえて言えば震度10の強烈な揺れが起こりすべての構造物を破壊した。

 蒸発した5km3に及ぶ物質は強烈なジェットストリームを生じた。温度が1万度に及ぶストリームは八方に秒速1kmの速度で突進し、その真上では大気を吹き飛ばして宇宙に飛び出し、表面を焼きながら走る、そして最後に、地球の反対側でぶつかり合って上に巻き上がり宇宙に飛び出した。この結果大気圧は半分になり、この条件でいかなる生物の生き延びられるはずがないと思うが、2年後には原始的な生命は復活し、植物も再生したところを見ると生命は思ったよりしぶといものらしい。

 しかし、むろんこの惑星のシリンク人は滅んだ。

 こうして、300個の惑星は住民もろとも破壊された。


いよいよ結末近しです。

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