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シリンク帝国懲罰作戦2

話は地上戦に入ってきたので「残酷な描写あり」にしましたが、必要あったかどうかはわかりません。

 地球に着いた3人は、それぞれの場所に散って報告なり準備を始める。

 国連代表ジョン・リザートは、帰ってから3日後に全世界に向けて今回の旅の報告をしたが、それに先立って旅の間に、さまざまにロボットに集めさせた映像を公開した。


 銀河連合の先進種族として、大きな存在であるリリンカム共和国の宇宙港、周辺の町並み、宿舎周辺の町並みや様々な訪問先、リリンカム共和国での晩餐会の彼の挨拶、さらには銀河連合総会の様子と彼の演説は、繰り返しメディアで放映された。

 彼の演説に先立つ2日間で、繰り返し放映されるこの映像を、見たことない人はおそらくいないだろうと言われた。


 現状では、すでにシリンク帝国への対策“銀河の平和作戦”が存在することは、すでに一般に公開されているが、シリンク帝国の住民を殲滅することは明らかにされておらず、さらに遠い世界のことなので、長い年月をかけて解決するという説明がされている。放映は、連合の総会の様子と議論の様子も写しているが、翻訳していないので見る人にはその意味は分からない。


 ジョン・リザートが始めてその説明をすることになる。その演説はニューヨーク時間の朝8時から始まったので日本では晩、ヨーロッパでは昼間である。

 おそらく地球の20億人以上は見るだろうと言われれている。


「地球の皆さん、すでに映像を公開したように、私と防衛軍司令官アラン・ギリバリー及び吉川順平氏の3人が銀河連合のリリンカム共和国へ行ってきました。片道1万2千光年の旅です。まあ、地球広しと言えどもこれほどの旅行をしたのは我々以外にはいないことは確実です」とにやりと笑う。


「なぜ、我々が行かなくてはならなかったのか。それは、皆さんの聞いたことのあるはずの“銀河の平和作戦”があまりにも重いものだからなのです。

 シリンク帝国のことは、徐々に漏れてはいるようですが、我々の知る限り極めて強大です。600の種族を従え、その種族シリンク人が住む惑星だけでも300あり、その人口は2000億に達します。おそらくそのGDPは地球の3桁は上だろうと考えられます。また我々も持っている戦闘宇宙艦に関しては、かれらの主力艦は長さとしても大体我々のものの2倍になります。かれらは、これを3万隻持ち、小型艦や補助艦艇の戦闘艦に属するもののみでさらに3万隻に達します。


 しかし、かれらが平和で融和的な種族であれば特にそれでも問題はありません。しかし、最悪なのはかれらが極めて残忍で、他種族の人権などかけらも考えたことにない存在であること、加えて彼らの異常なまでの人口増加率であること、これは年間5%です。

 彼らは従えた種族を遊び半分に殺しています。集めた情報によると、平均で1日に1万人に及ぶ他民族を殺しているということです。さらに、200余りの知的生物を食料にしていることも確かめられていますし、優秀な人は脳を取り出して生体コンピュータとして使うことまでやっています。その種族が年間5%増えるのです。

 これは100年後には131倍になることを意味します」リザートは少し沈黙する。


 そして、再度話始める。

「みなさん、この種族をどうしたらいいと思いますか。隠れますか。逃げますか。また、誰かに助けてもらいますか?いえ、われわれは決心しました。それが“銀河の平和作戦”です。

 これは、われわれ地球人が、要は彼らの惑星に超大型爆弾を送り込んで破壊し殲滅し、さらにかれらの宇宙艦にやはり爆弾を送り込んで殲滅します。そう、我々はかれらシリンク帝国人2000億人を滅ぼす決心をしました。そしてそのための施設は間もなく完成します」

 かれは再度言葉を切ってカメラを見据える。そして再度始めた。


「しかし、これは地球単独で行うことは、問題が大きすぎると我々は考えました。そこで我々は、導くものラリムに相談した結果、かれが2000年前に指導した、銀河連邦の先進種族であるリリンカム共和国を自ら案内してくれたのです。


 そこでのリリンカム共和国との協議のなかで、我々は先ほど説明した準備を説明しました。それに対して、リリンカム共和国首脳部は、我々が完成しようとするシステムは、銀河連合の本部が置かれている惑星に置くべきであり、またシリンク帝国人2000億人を滅ぼす実行も銀河連合の責において行べきと勧告してくれました。

 我々も、シリンク帝国人2000億人を滅ぼす実行も銀河連合の責において行うこと、また前代未聞のその強力な装置は銀河連合の本部に置くべきと判断しましたのでその場で賛成しました、その結果を受けて、その議論が、皆さんも見た銀河連合の総会においてなされ、決議がされたわけであります。

 まもなく、その約束に基づいて銀河連合からそのシステムを取りに来ることになっています。


 そう言う意味では、地球が作った設備を銀河連合に提供するわけですが、むろんそれに見合ったメリットもあります。

 銀河連合という組織は、どちらかというと互助組織であり、先進種族より後進種族の方にメリットが大きい仕組みになっています。その国力に応じて一定の負担はあるのですが、加盟すれば、さまざまな援助を受けれられます。

 最大のメリットは、銀河連合の軍事力の傘に入ることです。シリンク帝国の場合には侵略を受けた被支配種族に連合の加盟国がないため、有効にその機能が働きませんでしたが、正式に加盟していれば連合はその防衛の責任を負います。こうしたメリットがより大きいのは、古いものは10万年以上の歴史を持つ種族が多い、銀河連合の諸種族と交流することです。このメリットは、知識の面もありますが、むしろ経済的な面です。皆さんも地球における諸国の交易がどれほどの富を生み出したかよくご存知のことと思います。


 また、現状でわが地球は近年の急速な技術開発によって、基本的な技術、テクノロジーはそれほどリリンカム共和国等の先進種族にも劣りません。実は、我々がものにしている超空間ジャンプや通信の技術さらに、わが新地球クラスの戦闘艦を作る技術は、加盟種族の一割程度しか持っていず、また作ることも認められていないのです。

 また、わが地球は、皆さんが映像で見たように連合の総会で、あのように紹介され、挨拶をすることも認められたわけで、地球での統一国家さえできれば、すぐにでも加盟が可能な状態です。


 しかし、実際は後進種族にとってはメリットが大きいがゆえに、加盟は簡単ではないのです。しかも、我々はすでにそれなりの高いテクノロジーを持っているため相当に有利な立場で加盟が可能です。

 私は、今日から全力を尽くして統一国家を作る努力をします。

 皆さんもまず自覚を持ってほしい。

『われわれは地球人という、銀河連合でも一目置かれた惑星の一員であることを』

 みなさん、明日から国境のことは忘れてください。

 そして思ってください。

 俺たち、『私たちは地球人だ!』と。

 ありがとうございました」


 リザートは頭を下げた。


 彼に対する拍手はそのスタジオで巻き起こったし、世界中で巻き起こった。このとき、たぶん20億人が一斉に拍手して、宇宙まで鳴り響いたという伝説が生まれた。


 防衛軍司令官アラン・ギリバリーは、牧原宇宙基地で、施設の移送準備は順平に任せて送り出す部隊の編成に没頭している。

 総指揮官は、アメリカ空軍出身のジョゼフ・カーター少将、45歳である。

 彼が全体200機の新地球クラスの戦闘艦の総指揮に加えて、80機の戦闘艦とその陸戦隊をひきいてシュミリエ恒星区の戦闘と全体の指揮を執る。以下、40機ずつ3分隊が、マカリチノ、ミセルナンおよびリセンカノ恒星区に派遣される。


 それぞれに配属された、戦闘宇宙艦の将兵と陸戦隊員は防衛軍の中でも最高の練度を持つものであり、十分な成果を上げると期待されている。

 順平一行が到着4日後、ジョン・リザートの演説後に順平は対象の装置の運搬船受け入れの送信をした。

 7日後、防衛軍の探知装置に警報が鳴り響く。監視装置ネットワークが巨大な宇宙船の太陽系軌道へのワープを探知したのだ。すぐさま、問い合わせの通信が送られる。


 貨物機の船長は、あまりの反応の速さに驚いた。この反応は先進種族の主要惑星に劣らない。たしかに地球というのは、侮れないテクノロジーとその運用をする実力があることは確かなようだ。

 すぐに「こちら銀河連合貨物機のアリセラーム3号である。荷物を引き取りに来た」と返事をしながらそう思う。


 降りてくる、たまご型の貨物機をみて皆その巨大さに息をのむ。長さは1kmは優にあり、その短径は長さの半分はある。それは、、情報データベースなどかさばらないものは無論、3階建てのビルの大きさの自動倉庫も、爆弾類もロボットとロボット化した巨大なクレーンを用い楽々詰め込んだ。

 一日もかからず荷を積んだ貨物機はさっさと去っていった。


 順平は「あーあ助かった。今日はお祝いだ!」と、子供たち皆とその母親も連れて、大きな街またしゃれた街になっている牧原市の市街地に出かけてはしゃぐのであった。


 ちなみに、章一も付き合わされたが、彼は最近親密なガールフレンドができたので、彼女も一緒である。彼女は篠山はるかで、過去順平に付けられた3少女の最年少であり、他の2人のように順平と親密な仲になることはなかった。

 江南大学で博士号はすでに取得していて、章一の3歳年上である。

 章一は自覚していないが、かれも知能は高く、順平にいじられているうちに、その知識・能力はすでに常人の域を超えており、そのいじられキャラと能力がはるかにびったりあって親密になったものである。彼女は今、やまと社の宇宙科学研究室という部署で働いている。


「だけど、なんなのお祝いって。逆にあれだけ精力を傾けて作ったものを持っていかれて残念じゃないの?」はるかが聞く。


「残念どころか万々歳だよ!どんな残虐な相手でも、殺すのは嫌だよ。ゴキブリだって殺すのは気持ちいいものではないからね。銀河連合がその役目をやってくれるのだったら大歓迎だよ。それと、もし地球であの装置を使って、シリンク帝国を滅ぼした後、あの装置をどうする?」順平は逆に聞く。


「どうするって、まあ確かに困るわね。でも確かに銀河連合の本部に置くことは意味があるわね」はるかが考えながらいう。


「順平にそんなに負担になっているとは思わなかったな。それは嬉しいはずだよね」章一がそう言うのを聞いていた麗奈がしょんぼりいう。


「おとうさん。ごめんなさい。私があの時によけいなことを言ってばかりに」


「麗奈!お前の言ったことは正しかったんだよ。結果しては最高の形に収まったから最高に正しかったんだよ。しかし、方法として正しいことが気持ちいいこととは限らないということだね」順平が言うのに、


「うんそうだね。正しいことと人の感情はまた別だもんね。でも、麗奈も気を付けるよ、人に何か言うときはね」と考えながら麗奈が言う。


 地球からの、シリンク帝国圏内への迫害されている人々を助けるための出兵は、リザートの演説の効果がまだ残っており、国連内でも熱狂のうちに認められ、順平たちが帰ってから1カ月後に歓呼の声に送られて出発する。200隻の長さ200mの艦が20隻ずつ順次飛び立つさまはなかなかの迫力である。


 かれらは約60回のジャンプをトラブルなくこなし、1週間後に会合地点にリリンカム共和国及びアンモニア呼吸生物のスラミカ王国の宇宙艦隊と合流した。

 ここで、戦闘ロボット4000体と、支援種族への小火器と食料、ろ過器、衣類など補給物質を10万トン積んだ補給艦を受け取る。


 各艦隊の幹部による通信装置を介した会議が開かれる。地球からはジョゼフ・カーター司令官他、マカリチノ支隊栗山慎吾大佐、ミセルナン支隊ジューピアーノ・ラミス大佐およびリセンカノ支隊アルペノ・カチスナ大佐が参加している。


 その中で、カーター司令官司令官から「わが軍は極力地上での戦闘はせず、宇宙艦からかれらの拠点あるいは彼らが活動している機動艇を叩き潰します。陸戦隊は極力反抗勢力との連絡が主な仕事になると思います」との方針は賛同を得た。


 会議では、予定通りの割り当てを担当することになること、また会議の後に地球艦隊はリリンカム共和国艦隊から、ロボット兵を各艦に20体ずつ受け取ること、さらに地球の各分遣隊にシュミリエ星系のみ補給艦を2隻割り当てられ、他は1隻が配分されることが確認された。


 200機の艦に、各20体のロボットの移送は手間がかかることを予想していたが、実際は各ロボットが自分で行動できることから、運搬船が各艦に近づいてロボットを放出するだけの簡単なものであった。また、補給艦は少数のリリンカム共和国の将兵にロボットが多数の乗り組んでおり、当然自航できるので各分遣隊に合流する。

 その後、各艦隊は直ちに任務先に向かった。


1回5000字くらいだと結構毎日更新できています。

これは、単身で海外にいるおかげでしょう。

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