政治の変革
今度は政治関係も述べてみます。
2022年8月、衆議院選挙が行われる。
さらに衆議院選挙に合わせて憲法改正の選挙も行われる。それに先立って、衆参両院の2/3の多数の議決をもって修正憲法案は採択されている。マスコミの予想では改正は過半数の賛成を得られることは間違いないとされている。
これに対して、過去見られたような気違いじみた反対運動は起きていない。
これは、国の将来を真剣に考えて、誇りある日本を作ろうと、順平がさまざまな人と話し合った結果設立した“新世界新聞”の影響が大きい。順平は、このような活動の資金のために、重力エンジンの特許を牧村の了解の上個人で取得し、江南大学技術開発機構を通さず、“日本の夜明け”という政治団体を設立し、そこにその実施権を移した。そのうえで、この特許を1000億円の権利料で、世界最大の自動車メーカーであるT自動車に売りつけて金を作り“新世界新聞”を設立した。2チャンネラーの面目躍如たるものがある。
社長の青山俊明や編集者は、一般に右翼といわれるが愛国的な論者であり、日本の自虐史観をなんとかしたいという人々である。年間100億円の赤字を出してもいいという順平の後押しで、人材を募り、猛烈な活動を始めた。新聞社設立後、新聞のみでなくインターネットでの発信に力を入れて、中国、韓国を中心としてねつ造されたウソ歴史を暴く綿密な資料を世界15カ国語で翻訳して発信し始めた。これは、非常にわかりやすい初級編、ある程度わかった人のための中級編、歴史学者レベルの上級編に分かれており、すべてに根拠が付けられたもので、だれもが納得せざるをえないものであった。
これまで、隠されてきた様々な事実が、根拠付きで発表されることで、今まで中国、韓国が国際的に針小棒大、うそを織り交ぜて日本の残虐行為を叫びたててきたものが、誰でもうそ、誇張であることが理解できた。これが、あらゆるメディアを通じ、金を惜しまない広報費を使って広めた結果、あっという間に世界中に広がった。
その結果は、国際的にも影響が大きいが、日本国内でのインパクトがより大きいものになった。侵略、強制労働、慰安婦、植民地での収奪、虐殺等、日本が一方的に悪いとされてきたキャンペーンが悪意に満ちた偽り、また誇張であって、日本を貶めるためのみに使われてきたことが明らかになった。また、こうしたキャンペーンに進歩的と称する日本人が積極的に加担してきたという事実も知れ渡るようになった。
日本人は怒り狂った。
その元凶とされる、A新聞は解散声明を出すしかなくなって、会社が消滅した。その系列のテレビ局も名前を変えて細々と生きながらえている。こうした、国民が知るべき情報を故意に隠してきたとされ、A新聞のみならず、既存マスコミすべてに対する国民の不信感は非常に強いものになっている。反面として新世界新聞に対する信用はいまや絶大なもので、破たんしたキー局Fテレビ局をも買収して1大マスコミ集団になりつつある。
そのなかで、さまざまな日本を貶めるキャンペーンを行ってきた韓国との関係は最悪になっており、韓国側がいかに要求しても、一連の新技術の韓国への協力はなく、新技術を使った部品や製品の輸出は民間が自主的に制限している。
また、互いの悪感情の高まりから、韓国人の日本への入国者の犯罪率の高まりも受けて、韓国人に対するノービザは停止され、韓国も報復として日本人へのノービザを停止した。中国に関しては、すでに可能な企業は逃げ出しており、これらの企業に対する理不尽な措置は日本が世界に発表して、中国政府をしてその措置を止めざるを得ないようしている。
また、中国の公船がたびたび侵入してきな臭くなっていた尖閣諸島は、2021年ついに、日本がヘリポートを建設して(実際は重力機での交通が可能)、公務員を常駐させることにした。中国政府からは猛烈な抗議があり、3隻の駆逐艦からなる艦隊が近づいたが、日本から“ゆきかぜ”がわざと45ノットの全速で駆けつけると、こそこそ逃げ出した。
新世界新聞のキャンペーンの一環で、憲法は、アメリカが戦後、日本が二度とアメリカの目障りにならないように押し付けた代物ということが国民に知れ渡り、特に9条は改正するのが当然という風潮になった。なお、政治状況は、自由民主党が依然宗教団体付属の公明党と組んで政権与党であるが、民進党や維新の会、社民党、共産党などはほとんど力を失っている。
総理の阿山率いる政府は、絶好調の経済を反映して盤石の支持率70%超を誇っている。
ここで、新世界新聞社長の青山を中心に、政治団体“日本の夜明け”を正式に党として登録して、日本の夜明けは候補者を立てるということを公表した。順平も表に出てきており、設立者の一人であることを公にしているのみならず、いままでほとんど出ていなかったマスコミにも、積極的にでるようになった。
ある番組に出た、順平のインタビューの様子である。これは、本人が生放送ということで要求したものである。番組は、今までの順平の事績を紹介したあと、インタビューに移る。
「本日は、吉川順平さんにおいで頂いています。吉川さんは、みなさんもよくご存知のとおり、現在13歳、先ほども紹介されたように、FR機をはじめとする近年の我が国からの数々の画期的な発明・開発の中心人物です。吉川さんがこうした番組に出演されるのは初めてかと思います。
それでは、吉川さん、皆さんに自己紹介をお願いできますか」
「はい、吉川順平です。
現在は、江南大学技術開発公社の研究員という立場です。きょう、こうしてこの番組に出させていただくのは、13歳の少年にすぎない私ですけど、私なりにこの日本という祖国、および世界、それから人類に関して思うことを皆さんに聞いていただきたいと思ってのことです」
金曜日の夜8時というゴールデンタイムの番組であるが、視聴率は35%に達している。これは、今や世界で最も有名な個人であり、ニュースではたびたびその姿を現すが、短いインタビューに答える程度で一般人からはほとんどその人となりは知られていない、順平がテレビに姿を現すとあってのことである。
「わたしは、この日本という国については、大変はがゆい思いをしてきました。
基本的に日本人は、全体としては世界においても最も優しくて、思いやりもあって、勇敢で、公平でかつ有能であると思います。お人よしともいいますが。
しかし、残念ながら世界の他の民族はそうではない。とりわけ、白人種は、全体として血にまみれた歴史から腹黒い。さらに、隣国の数か国はなおさらで、その上に性格が悪い。
最近は“新世界新聞”の働きもあって、だいぶ改善をされてきましたが、われわれは、他の腹黒い民族から押し付けられた歴史観を受け入れて、いわれなき中傷を言われてもしょうがないと受け入れてきました。これは、もうやめてほしいのです。
少なくとも、歴史として証拠がなく裏付けのない話、それも我が国の祖先の皆さんを貶めさせるうそが蔓延するようなことは繰り返さないでほしいと思います。一方で、むろん恥ずべき、反省すべきこともあります。これは、まっすぐ受け止めて反省の材料にしなくてはならないでしょう。また、こうした歴史を踏まえての、日本の今後について、私も皆さんとともに真剣に考えていきたいとおもっています。
ここで、お知らせしたいことがあります。
私どもは、すでに恒星間飛行が可能な宇宙船を完成しています。詳しくは申しませんが、1年後程度には探検飛行に出発するはずで、私の考えでは私どもが居住可能な惑星が見つかる可能性は高いと思います。
この場合、早急に植民団を送ることになるでしょう。つまり、近いうちに宇宙時代が訪れるのです。
100年後振り返れば、今の時期は人類が宇宙に出ていく始まりの時代として記録されているでしょう。こうした思いもあって、私も協力して、『日本の夜明け』という政治団体が立ち上げられました。これは、今のさまざまの世界での問題を乗り越えて、宇宙時代をできるだけ希望に満ちて、スムーズに迎えようという人々が集まったものです。
8月に迫った総選挙には、たぶん200人程度の候補者を立てて、皆さんのご支持をお願いすることになります。みなさん、今後たぶん10年間は大変変化に富んだ、変革の時代が続きます。
みなさん。私及び意を同じくする同志の方々の考え方を理解し、できれば一緒に歩んでいただき、これを希望に満ちた時代の訪れとして共に進んでほしいと思います」
その後、30分程度のインタビューがあって、実質45分の番組は終わった。
少なくとも、視聴した人々は、歴史始まって以来の天才という吉川順平という少年が、どういう考えか、また真剣に日本の将来を考えていることは伝わった。また、『日本の夜明け』という名前はしっかり皆に伝わった。
そのこともあって、『日本の夜明け』党は、自民党、維新の会からの参入もあって、200人の立候補が予定されている。なかには、江南大学関係では、新技術開発公社の事務長をやっている瀬川幸平、ほか2人も立候補している。
8月、激しい選挙戦が行われた。
憲法改正については、基本的に以下のような内容になっている。諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」などという寝ぼけた前文をまず全面的に改訂し、武装、交戦権を否定するなど人間の性質を考えたら、死ねと言わんばかりの9条も全面的に改定する。
しかし、侵略の禁止は侵略の定義の明確化と共にうたっている。その他、時代にそぐわない内容は改定するとともに、衆参両院および国民投票で過半数の賛成で改定できるものとしている。
この憲法改正については、すでに衆議院の候補で表立って反対できるものは少なく、共産党と社民党の全部と民進党の一部の候補者のみが依然として反対している。
投票の結果、自民党が第1党は変わらなかったが、減らされた定員500名に対して以下驚く結果となった。
自由民主党:248名
公明党:30名
日本の夜明け党:172名
民進党:35名
維新の党:30名
共産党:12名
その他諸党:0名
無所属:3名
日本の夜明け党は第2党に躍進!
江南大学では新技術開発公社の瀬川幸平他2名も当選している。
なお、憲法改正については賛成者82%で決定した。
総選挙後最初の閣議。
留任の秋山官房長官が口火を切る。
「本日の閣議を開きます。まず、皆さんの簡単な自己紹介からお願いします」
自己紹介後、「本日の最大の議題は、ますます不安定化する中国ということです。まず、外務大臣、説明をお願いします」
これも留任の外山大臣が話す。「中国において暴動が頻発しているのはご存知の通りです。しかし、ここにきて一部の軍人が混じったものが起き、だいぶ中南海は神経質になっています。こうしたことが起きると、国民の目をそらすために何らかの対外的なことを起こすのは中国政権の常套手段です。情報源からは、かなり具体的な戦争の準備が進んでいるという情報が入ってきています。やはり、ターゲットは目障りな日本のようですね」
「伊藤防衛大臣は中国の動きについて報告してください」官房長官が促す。
「はい、精度を増した偵察衛星による観測によると、ターゲットは尖閣列島で間違いないですね。米軍が、自衛隊の新装備の増強を受けて、引いていっていますので誤解したのだと思います。
東海艦隊を動かすつもりですね。また新造なった8万トン空母、“南海覇王”も加わります。
海は、空母1隻、駆逐艦12隻、フリゲート艦12隻、兵員輸送船1隻というところで、空からは連城空軍基地から50機、梅県空軍地区から50機の編隊を組んできそうです。たぶん1カ月程度で動きます。
また、韓国海軍、空軍に動きがあります。
どうも空挺で先鞭をつけて、上陸ということのようです。ターゲットは対馬です」
「おろかな!」副首相兼財務大臣の新川が吐き捨てるように言う。
「しかし、中国は日本がレールガンを持っていて、弾道ミサイルも撃ち落とせるということは知っているはず。増して、海戦でこのレールガンは艦載型ですよ」文部・科学大臣が言う。
「そう、有能な軍人は反対しています。しかし、人は信じたいことを信じるものです。要は、暴動を抑えきれず、ここでリスクを冒すしかないという考え方でしょう。貧すれば鈍すということでしょうか」
首相の盟友とされる中根経産大臣が言う。
「自衛隊、そういえばすぐ自衛軍ですね。伊藤大臣、その対応策と準備状況を説明してください」官房長官が尋ねる。
「はい、尖閣ですが、レールガン搭載艦として作られた最新の”ゆきかぜ”と同形艦”しらゆき”が出動します。その他空母”ひゅうが”、イージス艦”ちょうかい”他3隻、駆逐艦3隻を出動させます。イージス艦ほかの護衛艦は大出力のレールガンは積んでいませんが、防空型のものは積んでいますので、まずミサイルへの防空は万全かと。潜水艦も“こくりゅう”他6隻を向かわせます。
F4、F15に重力エンジンを積んだ改F4は30機、改F15は30機が実用になっていますので、改F4はひゅうがに15機載せ、沖縄から改F15を15機向かわせます。
これで、十分でしょう。
対馬は、イージス艦3隻他、護衛艦を12隻、向かわせます。中の3隻はレールガンを積んでいることは公表しているので、最初からあきらめると思います。さらに、F15改戦闘機を15機送ります。
また、中国が核ミサイルを脅しに使ってくる可能性がありますから、飛翔型護衛艦“おおぞら”を軌道高度に乗せておきます。もし中国政府が核ミサイル使うということを言ったら、首相!」
阿山首相うなづき、「ええ、核ミサイル基地6か所ですか。すべてつぶしてください。
ただ、対馬は送る艦隊の規模を小さくするか、やめましょう。
いい加減、竹島に収まらず、対馬も領有まで主張する韓国の愚かさには、遺憾砲のみでは“いかん”と思っています。彼らがこっちの足元を見たつもりで暴発するなら、きっちり反撃しましょう。ついでに、竹島も取り返します」
「おおーー」参席者からどよめきが起きる。
「しかし、首相ご承知と思いますが、かの国民は狂いますよ」と外務大臣。
「中国と韓国の日本人の引き上げ命令を出してください。命令です。従わないものはやむをえません」
首相が言い、官房長官から、「防衛大臣、今の首相からの話への対応は?」
「わかりました。急ぎ制服組と再協議します。対馬については、かの国が予定通りの行動をとることをためらわない程度の防衛ですね」
その後、1時間ほど対応策として各省の必要な動き等の話があって、最後に阿山首相が言う。
「内政問題を、外部との戦争でそらそうなどという政府は、何度でも同じことをします。
今回は、こちらの情報の把握と対応策を漏らせば、あきらめるでしょう。しかし、また同じことをたくらみます。この際、たたきつぶしましょう。
また、出来ればでいいのですが、最初の一発は向こうに打たせてください」
翌日、日本政府から中国大使館、韓国大使館、公使館あて、および外務省、経産省、国交省の把握している限りのこれらの国に進出している日本企業に、ひそかにすべての日本人を引き揚げさせるように命令が届いた。もともと悪化していた中国に関しては、なるほどと思う人は多かったが、韓国はなぜと思う向きも多かった。
しかし、結局2国の日本人は帰れるものは1週間ほどで帰国したが、一方でやはり結婚してその地に住んでいる女性の半分ほどは残る結果となる。
こうした、日本政府の行動に危機感を覚える有能な中国・韓国の軍人、役人は多かったが、結局、指導者層は信じたいことを信じるということで、中国・韓国の行動の予定は変わることはなかった。
予約投稿というのをやってみます。