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加速する日本の変革2

オリンピックの話は忘れていました。

まあ、たいして重要な話ではないということでいいか。


 2022年の正月である。

 牧村一家は吉川家に招待されている。順平の母の洋子は、すでに専業主婦になって長く、今日は作ったおせち料理で牧村家を招待したものである。牧村舞ももう5歳である。父正樹および母の早苗と一緒にニコニコして、出迎えた吉川家の正人、洋子、順平に挨拶している。

 早苗が舞にお年玉を渡している。

 順平にはない。何しろ、彼の江南大学技術開発機構から渡される年間報酬は、2億円を超えるので、この中で一番の金持ちだ。ちなみに、同機構で発明によるロイヤリティの報酬としては、順平がダントツに多い。2番目は牧村だが、年5千万円足らずである。ちなみに、牧村はすでに教授になっており、江南大学技術開発機構の先端技術教室を受け持っている。彼の学問的な名声は世界的にも高くなるばかりで、さまざまな学会で座長を務めることも多くなっている。

 一方で、彼のことを「順平のおかげで」と陰口をきくものもいるが、牧村は事実ではあるので割り切っているし、一方で「発想」という意味では自らに自信をもっている。特に、今研究している空間理論、重力と時間に係る構成の解明と、その操作に関しては発想は牧村であるし、これには順平も大きな興味を示し、かなりの時間を費やしてのめりこんでいる。

 これは、アインシュタインの理論を覆すことになる極めて画期的なものになるはず。前段階の論文はもう書いて、ネイチャーに送っており、賛否両論であるが来月誌上に載る予定になっている。

 しかし、応用の方がかえって進んでおり、いわゆる重力エンジンということで特許の明細書は出来て、申請も済んでいる。さらには大小のプロトタイプはすでにできていて、すでに試運転は済まして、耐久試験を行っている。これは、順平がのめりこんで、防衛研究所と、まだ特許が成立していないにもかかわらず、その権利を買ったT自動車のメンバーが協力した結果である。なにより、現在は技術開発公社のおかげで、研究費はほとんど「好きなだけ使える」状態にあり、その点は恵まれていると思うのだった。


 招待された牧村家の3人と、吉川家の3人は居間のテーブルに座っている。テーブルには洋子手作りのご馳走が並んでいる。

 順平の父の正人は、もう少しできあがっていて顔か赤い。正人は、最近の開発品が爆売れしていて、現在は江南メカトロニクス㈱の開発担当常務取締役である。江南メカトロニクスも牧村が正人に会ったころは、売り上げ100億円足らずだったが、それからわずか2年で売り上げ250億円、社員も300人から700人に増えている。


「いやーーー牧村先生、お隣に住んでいますが、家ではなかなかお会いできませんね。順平が大変お世話になっています。また、私の仕事に関しても大変お世話になっていて。

 まあ、おひとつ」と正人がビール瓶を差し出す。


 牧村は「いやいや、順平君にはこっちこそお世話になっている方です」と、コップで受け、さらに正人が「奥さんもどうぞ」と早苗に次ぐ。


 さらに、洋子には早苗から、「奥さんどうぞ」と注ぐ。


「舞ちゃんは、このジュースでいいかな」洋子から舞にジュースを注ぐ。順平もジュースだ。


「あけましておめでとうございます!」皆で唱和して乾杯する。


「そういえば、順平君はもう中学になるけど、どうするか決まったのかな?」牧村が聞く。


「ええ、結局、今更中学校に所属しても、ということになりまして、今籍を置いている技術開発公社の研究員のみということになりました。それと、現状では不定期に、いろんな研究所や、大学に行っているのをルーティンワークにすることになりまして、大体半分は外に出ている感じになっているようです。

 さしあたって、これはレギュラーではないのですが、来月アメリカに1カ月ほど行くことになりました」と順平が言う。


「アメリカの話は聞いてなかったな。良く政府がO.Kしたね」と牧村が応じる。


「アメリカ政府の強い要望だったようですね。どうも技術的に日本に遅れをとってきているのが、だいぶいらただしいようです」と順平が付け加える。


「まあ、あまり一方的に不利・有利になると、だんだん摩擦が大きくなるので、しょうがない面もありますね。しかし、順平は前に米軍基地でセミナーを何度かはやっているだろう。あまり効果はなかったようだけど」と正人が口をはさむ。


「うーん。外人はちょっと違うんだよね。僕もちょっとノリが悪いというか。いまいち、乗り切れない」と順平が首をかしげながら言う。


「いまは例のセミナーは、『開発発想セミナー』ということになったけど、さまざまな試みの中では、日本人が一番成果を上げているようですね。反対に特に結果が悪いのは、中国・韓国人。たぶん、協力するというところが日本人に向いているのだとか」と牧村が付け加える。


「でも、米軍でやった結果は、僕としては不満足だったのですが、アメリカとしては満足だったようです。それで、もっと優秀なメンバーを集めてということらしいですね」そう順平が補足する。


 一方で、洋子、早苗は舞になにかと話しかけ、舞も楽しそうに話している。


「ところで、今度江南大学の学長選挙があるんですが。どうも山戸先生の名前が出ていて、本命という声もあるようですが、山戸先生は技術開発公社の理事長が忙しくて、それどころではないと言っていましたね」と牧村が話題を変える。


「公社は、FR機、S型バッテリー・モーター他のロイヤリティですごいことになっているのじゃないですか?」と正人が聞き、牧村が答える。


「僕も理事なんで、あまり詳しくは言えないんですが、江南大学の研究費はすべて賄っていますね。また、特別な開発費として500億以上出しています。

 また、重力エンジンを順平君が開発して、権利を売り払ったのはご存知だと思います。まあ、あれは順平君が自分の信念のために金を使いたいということで急いだのですがね。ちなみに、権利を買ったT自動車は自動車タイプのプロトタイプをすでに作ったのですが、現在造船メーカーと組んで貨物用の大型機を開発しています。

 早晩、重力エンジンの普及で、いまの航空機は廃れますが、旅客用の航空機と共に、今の船舶と航空機を組み合わせたタイプの貨物航空機を当面主に考えています。反重力が使えれば、なにも機体を軽く作る必要はないわけです。したがって、旅客用は、現状の航空機と同様なもので翼がないものであって、鉄製でもいいわけですのでこれは自動車メーカーの出番です。一方、貨物機は載貨重量1万トンくらいのものを考えているようですが、これは、今の技術レベルルでいえば船の範疇です。いま、T自動車と提携した造船メーカーが盛んにボディを作っているそうですよ。


 まあ、この種の開発はあくまでT自動車が中心にやっているのですが、防衛省といっしょに順平君がやっているのは宇宙船、というより宇宙戦闘艦です。

 このタイプについては、あくまで地球上で使うT自動車が中心にやっているものと違って、船体については完全な気密性を求められますし、加速能力も段違いです。この実機は殆どできており、もうすぐ試験飛行の段階ですが、これには相当開発費を投入していますね。防衛省の予算措置を待っているといつになるかわからないですからね」


「ええ!宇宙船!」と正人。


「そうだよ。僕たちは間もなく恒星間宇宙船を完成するんだ。飛翔型護衛艦という呼び名にするらしいけどね」順平が自慢そうに言う。


「それは聞いてないな。どのくらいの大きさ?」正人が聞く。


「長さ40m径8mの太めの葉巻型で重量は800トンかな。乗員は最大20名だよ」と順平。


「重力エンジンというのは、どのくらいの能力があるものなの」正人がさらに聞く。


「うーん、理論上は光速を超えるよ。一切噴射物は必要なく、自分で重力を発生してそれで自らを引っ張って飛ぶという感じかな。基本的には相対世論とは違う考え方に元づいているんだ。

 牧村先生とやっている理論に基づくもので、時間の要素も操作因子に入っているので、時間をかけず移動することも可能だと思う。機体が完成して試運転が終わったら、防衛省に寄付して、自衛艦にしてもらって武装してもらうんだ。僕たちが所有しても、運転や運用も困るしね。でも、行くところに関してははわがままを聞いてもらわなくては」順平が胸を張って言うのに対して正人が首をかしげる。


「本当かね。ちょっといくら何でも信じられないな」


 それに対して、牧村が、「本当なんです。実は1月20日に試運転を予定していて」


「だれが、作ったのですか?」と信じざるをえなくなった正人が聞く。


「エンジンは防衛省から人を出してもらったのと、四菱重工から人を出してもらっています。船体は、四菱重工の江南工場内の造船所で」牧村が答える。


「うーん、酔いが回ってきた」正人がへこたれる。


 1月20日、江南市四菱重工造船所、長さ40mのずんぐりした葉巻型のうすいブルーに塗装した船体が鋼製の架台上に載っている。開いている横腹のハッチに梯子がかけられている。

 15人ほどの来客が、100mほど離れた観覧席からそれを見つめている。自衛隊の制服を着た者が5名、米軍の制服を着た者も2名いる。順平も牧村も一緒だ。皆の前には50インチくらいのスクリーンがおいてあり、中の制御室が映っており、シートに座っている35歳くらいの自衛隊の制服を着た精悍な男性がきびきびと言う。


「それでは、飛翔型護衛艦“おおぞら”の試験運転を行います。私は海上自衛隊の艦長予定者の森下義彦2佐です」と敬礼する。


「まず、重力遮断試験から行います」通訳が英訳している。


「重力遮断!」「重力遮断!今!」、パネルに向かっている操縦士が復唱して操作卓を操作する。


「いま、重力が遮断されました。今、強い風が吹くと動くとおもいますよ。慣性があるので大変ゆっくりですが」と森下2佐が解説する。


「では次は反重力運転、これで上昇を始めます。最初はゆっくりですが徐々にスピードが上がっていきます。反重力運転開始!高度500mで停止」森下の指示に操縦士が反復する。

「反重力運転、オン!高度500mで停止。」


 “おおぞら”は軽やかに上昇を始め、あっという間に数百m上昇。「高度500mで停止しました。次は水平飛行を行います。速度は徐々で上げていって、時速500kmに達したら引き返します。」スクリーンの画面の森下が言う。


 “おおぞら”はゆっくりと、やはり軽やかに、遠ざかっていきあっという間に豆粒くらいになり、10分ほどたったころ、帰ってくる。


「飛行状況異常ありません。ただいまより着陸します」さらに森下。


 “おおぞら”は、なめらか、かつあたかも重量がないように、かるがると離陸した船台の上に着陸する。

 しばらくして、ハッチが開いて、森下2佐が出てきて、差し掛けられた梯子を下りてくる。


「飛行状況異常ありません。皆さん、乗船よろしいですね」森下に皆うなづく。


「それでは、梯子で申しわけありませんが、これでお乗りください」森下が皆を導く。

 中に入ると、人数ぶん以上18人分のシートがある。


「どうぞお座りになって、シートベルトを締めてください」副長が言う。


 座った皆に森下が解説する。「ただいまより、飛行を開始します。最初は垂直に500m上昇します。

 次に、1/20の角度で上昇します。速度は最大1000km/時までとし、高度3万kmまで上昇します。目の前にスクリーンがありますが、右が前方、左が後方をとらえています。」


 操縦士の声。「重力遮断!」「反重力運転開始」「上昇飛行開始」

 これらの操作で、地上から遠ざかり、前進しているのはスクリーンからは分るものの、電車に乗っているほどの振動、加速度も感じない。


 飛行中、「なにか、ご質問があれば」と森下。


 米軍の将校が質問する。以下はその問答。

「最大速度はどれほど?」

「高度3万mであれば、摩擦熱に耐えられる限界の2000km/時程度ですね」

「最大高度は?」

「これは基本的には宇宙船であり、必要であれば、月まででも行けます」

「航続距離は?」

「FR機を積んでいるので、燃料面ではほぼ無限に近いが、酸素の再生の面で100日間の連続運転以下を推奨されています。ただし、居住性からいえば、最大15名とすべきと考えています」


「レールガンは積むのか」

「積む予定です」

「米国には供与するの。」

「国の方針によるもので、我々が答えるべきものではありません」

 おおぞらは、2時間の飛行の後、同じ場所に着陸した。


 さすがに、この飛行は外から見えたので、四菱重工にはマスコミの問い合わせが殺到した。このため、この夕方16時から同工場で記者会見が開かれた。

 まず、船体の様子及び試験飛行の様子を写したビデオが公開された。

 その後、概要の説明が防衛省から行われた。


 担当者が説明する。

「これは、飛翔型護衛艦『おおぞら』です。

 全長40m、最大径8m満載重量1000トンの外構は高張力鋼による鋼板製であります。

 この艦の特徴は、江南大学で開発された重力エンジンを積んでいることで、飛行に際しては重力遮断、反重力浮揚、重力推進を行うことにより、発生させた重力による浮揚および推進を行うものでいかなる噴射体も必要としません。高度3万mでの最大速度は、摩擦熱の関係で2000km/時でありますが、空気の無い状態では、10万km/秒以上の発揮が可能です。

 動力にはFR機を使っていますので、乗員さえ耐えられれば航続距離は事実上無限です。ご質問をお受けします」

 以下はその問答である。


「江南大学の誰が開発したのか」

「理論的な解明は、牧村教授と吉川順平氏であり、開発はその指導のもとで防衛省も協力して数社の民間企業が加わって実施した」


「先ほど最大速度は空気抵抗が無ければ、10万km/秒と言っていたが、/時の間違いではないか。」「理論上、重力エンジンは光速まで出せる」


「建設費用は、どのくらいか。」

「現状では、正確には出せないが、100億円くらいとなる」


「そのような予算は、今年年度の防衛省にはないはずだ。秘密予算だ。許せん!」

「この開発費用は、江南大学技術開発公社が負担して、昨日の時点で防衛省が寄付を受けたものである。従って、開発には防衛省の予算は使っていない」


「この“おおぞら”は先般実用化したというレールガンは積むのか。その場合、侵略兵器と言わざるをえない」

「レールガンは当然積む。どのような武器も侵略に使おうと思えばつかえる」


 この点は、早速翌日の国会で問題になった。

「政府は、このような侵略兵器をひそかに作っていた、許せない」野党が言う。


「侵略というのは我が国がどこを侵略するのですか?」首相が反問する。


「どことは特定しないが、かっての侵略国家日本に戻るのか。直ちにあのような兵器を廃棄せよ」質問者はさらに要求する。


「あなたは、すきあれば他国を侵略しようとしている国、それも隣国の存在を知っているでしょう」首相の質問を野党の質問者がはぐらかす。

「どこにもそんな証拠はないではないか」


「国の安全保障というのは、最悪を考えて備える必要があります。あなたは、周りの人を信用して、戸締りもせず暮らしていますか。戸締りをしているでしょう。

 私ども政府は、他国の侵略は一切考えていませんし致しません。防衛は当然しますが。はっきり言って、周りの国々をもらってくれと言われても迷惑というのが、私どものみならず国民の皆さんのお考えだと思います。

 しかし、侵略の準備、軍備の強化を継続的に行って、かつ軍事的な恫喝を行う国が周辺に存在する以上、いくらあなたが反対しようが、我が国の安全保障のため、政府は“おおぞら”の配備をします」


 この国会中継の首相の発言は、大部分の国民の支持を受けた。


 1月25日、順平は斎藤と一緒に呉を訪れていた。おおぞらはセキュリティのために呉に移され、ドックから外に引き出されていた。むろん、自分で飛んできたものである。


 順平は敬礼をして、「森下艦長お世話をおかけします。こちらは、江南大学の斎藤博士です。私の世話係として一緒に行ってもらいます。月への飛行よろしくお願いします」


 森下2佐は答礼して、「幕僚長からの伝言です。『約束なのでそれを果たすが、絶対無事に帰ってほしい』とのことです」

 そう、順平は“おおぞら”開発および防衛省への引き渡しの条件として開発時には月に連れていくよう要求していたのだ。


「いや、申し訳ないとは思っているんですよ。だけど月にはスパイはいないから、セキュリティの面では安全ですよね」と順平。


 森下もにやりと笑って「実は私も、月にいけるなどいう点ではわくわくしています。ちなみに、今度の飛行は乗り組み員が私を入れて5名、研究所の人間が3人、広報部が2人乗ります。

 それでは乗り込んでください。出発します」


 “おおぞら”の船体の前で、すでに乗り組んでいる3人を除く他の人員に紹介された。

 順平たちは“おおぞら”に乗り込んで、部屋に案内される。幅3m、長さ3m程度の部屋に2段式のベッドとデスク2台がついている。トイレ、風呂は共用である。

 順平他の乗員は、コントロール担当の席に隣接するシートに腰かける。


「それでは、出発します」森下が言う。


 1時間後、大気圏を抜けて高度は300kmである。

 森下艦長が言う。「大気圏を抜けたので、速度試験をします。現在、月まではかなり遠く120万kmですが、速度試験にはちょうどいい距離です。では、推進用の重力発生強度を今の10%から50%に上げましょう」


「現在重力発生強度10%で、速度は1万km/時、2.8km/秒です。理論上、指数的に速度は上昇するとされています。まず20%!」「20%!速度4、5、6、7、8、10、12、12.5km/秒で安定しました」と操縦士。


「この場合には関係ないけど、地球の脱出速度を超えましたね。では30%!」森下の指示に操縦士が復唱する。「30%!速度20、50、100、200、310km/秒で安定しました」


 と繰り返し、50%で1万km/秒で安定したが、わずか100万kmの飛行としては速度が早すぎるので、1000km/秒に戻した。

 この中で、重力を逆に発生させてのブレーキも十分機能することも確認できた。また、これらの操作によって、体に感じる重力変動は少しあったが、不快感を覚えるほどではない。

 結局、出発後わずか2時間半後、巨大な月が見える位置まで到達した。


「せめて、地上1000m位まで降りましょうよ。その後、その高度で飛行して裏側まで行きましょう」順平が頼む。現在は、月は地球からみて半月なので、裏側は半分太陽に照らされている。


「いいでしょう。1000mの高度だったら危険はないでしょうから。速度は1000km/時とします」森下が応じる。


 2時間後、地球からは決して見えない月の裏側に到達した。

「代わり映えしないな。

 やっぱり、生命の無い世界はつまらないね。ところで資源探査結果はどうですか?」と順平。


 “おおぞら”には、順平効果で急速な進歩を遂げた資源探査機を持ち込んでいたのだ。


「だめですね。めぼしい資源は全く当たりません。やっぱり、水が無いと金属資源は濃縮されないようですね」と研究員。


「では、昼間の部分を過ぎたら、月を離れましょう。

 黄道面を離れて、星間物質の密度の低いところで速度を思い切り上げて、重力発生度と速度の相関をもっと取っておきたいのです」順平が言い、


「わかりました。もともとそういう予定ではありましたから」森下が応じる。


 その後、2日かけてさまざまに重力発生度と速度、加速度、逆加速度ブレーキをかけてデータを取っていく。

「ありがとうございました。これは来てよかった。すごくいいデータが取れました。重力推進と時間との関係がわかってきました。やっぱり牧村先生は正しかったのだな」

 順平が他の人にはわからないことを言っている。


 結局出発してから、3日後、“おおぞら”は呉港に帰ってきた。


皆さんに読んでもらうのが大変励みになります。

他の作家の皆さんも書いていますが、自分でも実感します。

修正します。

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