抱えきれぬ想い 〜ルーフェイア・シリーズより〜(16/27)PDFで表示縦書き表示RDF


抱えきれぬ想い 〜ルーフェイア・シリーズより〜
作:こっこ



Episode:16


 昨日と同じようにケーキを選んでもらって、空いている席に座る。
 と、向こうのほうにイマドがいるのに気がついた。いっしょに居るのは友だちだろう。
 向こうも気がついたみたいで、視線が合う。ちょっと嬉しくなって、小さく手を振った。
 とたんにイマドが、両脇の友だちから殴られる。

――あたしの、せい?
 ほかに考えられなかった。あたしみたいな、普通の生活を知らないような人間が、親しげにしたりするから……。
 涙がこぼれそうになって、下を向いてくちびるを噛む。

「わわわ、ルーフェイアどしたの? どっか痛くした?」
 先輩が慌ててるのを見て、泣くのをやめようとしたけど、逆効果だった。よけいに涙があふれて、止まらなくなる。
 イマドに会ってからあたし、どうもダメだ。前からすぐ泣いて、どうにかしなきゃと思ってたけど、なんだかひどくなった気がする。

「ほんとにキミ平気? 部屋帰って休む?」
「あー先輩、コイツ泣き出すと当分ダメですから」
 聞き覚えのある声に、思わず顔を上げる。
「イマド……?」

 いっしょにいた二人の首根っこをつかんだ彼が、目に前に居た。こともあろうに二人を引きずりながら、ここまで来たらしい。
「オイコラ何しやがる、放せっての!」
「つかイマド、いつもとキャラ変わってるって!」
 友だちらしい二人が、口々に文句を言う。
 なんだかよく分からないけど、やっぱりあたしが原因で、騒ぎになってるみたいだ。

「あの、あたしのせいで……ごめんね……」
 申し訳なくて、引きずられてきた二人に謝る。
「あ、違うから! そのさ、悪いの俺らだから!」
 友だちの片方が、あたしに向かって謝った。

「てかおまえなぁ、なんだっていきなり泣くんだっての」
「ごめん……」
 こんどはイマドに謝ったあたしの前で、なぜか彼の頭が、ごちんと音を立てて殴られる。
「キミねぇ、何しにここまで来たか知らないけど、この子泣かせたらボクが承知しないよ!」
 ロア先輩、すごい剣幕だ。

「あの、先輩、違うんです!」
 殺気のようなものを感じて、慌てて止める。
「けどさ、こいつらが何かしたから、ルーフェイアが泣いたんだよ」
 つまりはあたしのせいで、よけいにややこしくなったらしい。

「あの、イマドたち、関係なくて……その、すみません……」
 上手く説明できなくて、だんだん声が小さくなってしまって、情けなくてまた涙がこぼれた。
「あ、先輩も泣かした」
「ちょっと、ボクは別に!」
 何がなんだか分からなくなってくる。








Web拍手 ←Web拍手です

NNR 月1回のみ:ネット小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
1票で大きく順位が上がります。なお順位だけ見たい方はこちら
FT小説ランキング 毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
順位だけ見たい方はこちら

遠き風に願いし君は 筆者のムーンチャイルド用長編作品です。

筆者サイトへ(筆者連載物「ルーフェイアシリーズ」のまとめ、その日の最新話へのリンク、改行なし版等があります)







ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう