ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
「民から集めた税からですよ、お姉さま。決してドレスは勝手にできるものではないのです」

 何でこんなに幼子に教えるように噛み砕いて説明しないといけないのだろう。

 姉たちは「税金だったのか!」と、たった今理解したといった顔だ。彼女たちに付けられていた教育係は何を教えていたのだろうか?異性の射止めかたとかか?・・・お金の無駄だな。クビにしよう。

「ですから、お姉さまたちのドレス代にばかり使ってはいられないのです。税はいざとなった時のために取っておかなくてはいけないのですよ。それに二月ほど前に今年の春物新作とかいって30着ほど買っていたではないですか。十分でしょう?」

  私なんか、勿体ないから自分で繕っているんだぞ!!それにあなたたちが捨てたドレスを少し直して自分用にしたり、換金したりして国庫に戻してるんだ!!今じゃ王宮にいるお針子よりも腕がいいんじゃないだろうか。王女としては微妙だけれども。

  そんな人の苦労も知らないで、姉姫たちは口を揃えてとんでもないことを言い出した。

「「「でも民のお金はわたくしたちのものでもあるでしょう??それを使って何が悪いのよ。わたくしたちが使ってこそ意味があるのです。それにわたくしたちがきれいなドレスをきて、大国の王子でも落とせばいいのでしょう?大国に嫁げばその分この国も潤うのだしね。こちらが感謝してほしいくらいだわ!!」」」

・・・彼女たちは国語能力がないのか。それに大国の王子をおとすって言っといて未だに誰も決めていないだろう!!・・・なんか疲れた。というかこいつらすごく邪魔だ。

「ふう、何を言っても無駄ですね。お姉さま方、まだ議会の途中ですので、これ以上のことはお父様に聞いてください。それに今日はレンダ―公爵家のギュンターさま達がいらっしゃるのではなかったのですか?早く用意しないと間に合いませんよ?」

  これ以上相手しているのが面倒だったので、父に丸投げしよう。父の横にはたいてい母がいるからどうにかなるだろう。もし姉たちのほうに折れた場合は、あの目障りな髭をむしり取ってやろう。

「「「そうでしたわ!!!お茶の時間に遅れてしまいますわ!!まったく、時間を無駄にしてしまったじゃないの。早く行きましょう!!今日はこれまでにしといてあげるわ。ソフィア覚えておきなさい!!!」」」

  捨て台詞を残してドスドスと音を立てながら出て行った。彼女たちの後ろにはどこに隠れていたのか数人の侍女がどこからともなく現れ、歩いて行った。

  はぁ、やっと喧しいのがいなくなった。こっちこそ時間を無駄にしてしまった。ああ、公爵家のギュンター様には感謝しないと・・・会ったことないけど。

  それより議会を再開しなきゃね。とんだ邪魔が入っちゃったよ。

「すみませんでした。本当に困りますよね、姉姫たちは」

ニコッと笑いながら言うと、なぜか一様に顔を青くした。

何故だろう?何もないのだろうか。なら私は父の所に行って勝手に逃げたのを問い詰めなきゃ。

「これ以上何も無いようなら、私は失礼させていただきますね」

一同コクコクと首を縦にふる。

 なら早速行こう。父のもとに。

  父の席にあったクマの頭を鷲掴みして席を立つ。少しストレスが溜まっていたから、反対の手でクマの腹を殴ってみた。ゴスッと音がしてクマの首がカクンとなったら、宰相の席から小さな悲鳴が上がった。別に彼を殴ったわけではないのに。扉の前に行って、一応挨拶の代りに振り向いて笑ったら、宰相がひっくり返っていた。

・・・・・・なにか朝に悪いものでも食べたのだろうか?



★残された人々★

「いやぁ、一の姫さま方は何というか・・・頭が・・・・」

「四の姫様がいて本当に助かりますなぁ・・・」

「しかし、四の姫様のあの顔もなかなかに・・・」

その言葉で、部屋にいた全員が先ほどの四の姫の笑顔を思い出し、カタカタと震えだした。
 
 あの笑顔は怖かった。何か一言でも言ったら殺されそうだと思うほどに凄惨な笑いだった・・・宰相は未だにひっくり返ったままピクピクしている・・・可哀想に。

「は、早くアレックス様に大きくなってもらいたいですなぁ」

アレックスとはこの国の第一王子でまだ生まれて間もない。

「そ、そうですな。王子には最高の教育係をつけましょう!!」

・・・一、二、三の姫たちにもちゃんとした者が付いていたはずだが・・・。

 その事を思い出したのか、しばらくの間沈黙が続いた。

「ワ、ワシは先ほどの話を部下にしないといかんから、失礼するぞ」

「ワ、ワシもじゃ!」

「わ、私は剣の手入れが・・・」

ゲフゲフンッと、わざとらしい咳をしてみんなワラワラと散っていった。

―――――――後には、まだプルプルしている宰相だけが残された。





+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。