看板
『命は親から頂いた大切なものです。人生は一度きり、一人で悩まず、相談してください。 電話 ○○ー○○○○ー○○○○』
自殺の名所として有名な、とある樹海の入り口に、自殺志望者を思い止まらす為の看板が立っている。
そこへやってきた、二十代半ば程の男は、ポケットからペンを取り出すと、
『ただし、ここへは電話をしないでください』
と看板に書き足し、電話番号の部分を黒く塗り潰した。
あまりの過酷な労働環境に絶望した相談員である男は、最後の仕事を済ますと、自分の人生を終わらせる為、重い足取りで樹海の奥深くへと入っていった。