「毀れる花」
一、
朝、通学路を横切ると
おじさんが死んでいた。
朝、学校に行く私とおじさんは
いつもすれ違うのだった。
二、
死んでるの?
隣を歩いていた友達が言った。
枯れてるみたいね。
私は何となく呟いた。
三、
夕方、私よりも大きなおじさんの細い指から、
黄緑の蔓がのびていた。
細い睫の上に、紋白蝶がとまっている。
白髪のない髪は、細い葉むらになっていた。
四、
朝、友達がおじさんを見て言った。
植物的ね。おじさんの細い肩を指差した。
花は咲かないのかな。
おじさんは緑の葉っぱで、花はなかった。
五、
水をやったらどうかな。
友達はまた言った。
そうだね。
私はおじさんの緑の髪の毛に触った。生温い。
六、
夜、抜け駆けして、こっそり水遣りに行った。
月明かりの下、どこかの虫の鳴き声が白く滲んだ。
蒸し暑い夜だった。
おじさんは小さな星のような花をつけた。
七、
白い花は水を含んで揺れた。
おじさんの指の蔦から、一つ、二つ、三つ、
光がはじけるように花は咲いた。
友達に教えようと思ったけど、おじさんは夜露と一緒に土に溶けていった。
八、
朝、あの人は植物的だったね。
友達は居なくなったおじさんの事をそう譬えた。
朝陽の眩しい通学路に
毀れた花の匂いだけが残っている。
了
読んで下さった方、有難うございます!
えーとこの度、おっさん企画へのお誘いを頂き、勝手に参加させて頂きました。
企画主催者様、挨拶など全く出来ていない&企画内容を完璧に理解出来てない状況での身勝手な参加すいません。
おっさんよ夏の夜空に打ちあがれということで、詩での参加なのですが、企画の規則に合ってなければ、除外して下さい(汗)
(8月25日:後書き)
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