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ブラッドボーイ 作者:桑原あき
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鮮血の誘い

1話 鮮血の誘い

相田たけるは特にこれといった特徴はなかった。顔は際立つほどのイケメンではないが、友達にブスと罵声を浴びせられることは無い。黒髪で、運動神経はいい方。運動神経といってもどちらかというとゴリマッチョではなく、俊敏系の方だ。体育では基本的に5。では運動バカで、勉強がこれっぽっちもできないという訳でもない。長所は明るい所と運動ができるところ、短所は自己中な所とあまり人に気を使えないところ、とでも言えば全てが語れるような男である。


たけるはいつも通り近くの塾へ自転車を漕ぐ。細い道だが、とばすと案外気持ちがよかった。
信号のない交差点を軽く指さし確認して、そのままの速度で全速力横断をしようとした時だった。2トントラックと言われる大型のトラックがこちらに突っ込み、たけるの横腹をつき飛ばした。8mほど吹っ飛び、道路に思い切り頭を打つ。

―――――痛えぇぇぇ


後頭部に鈍痛が走りおさえると、べっとりとヌルヌルした赤い血が手を染めた。小さい頃兄が頭を縫っていたことを不意に思い出す。


だんだんと意識が朦朧としていく中で、ふと周りを見る。当たりは自分の身体から止まること無く吹き出る鮮血で、まるで戦場のように紅く染まっていた。右手は肩から外れ意識のままに動かすことが出来なくなっていた。トラックの運転手はやはり人間の心理に従って怖くなり逃げ出したらしくもう姿はなかった。



(おれ死ぬのか・・・・・・)



死因は出血多量。15歳の短い寿命を過ごした
ちいさな命と思われていた。



眠りから覚め、意識が覚醒する。だんだんとまぶたを開けると、少女の声が聞こえた。右手の親指がチクリと痛い。紙で指を切った時の感覚だ。



(俺助かったのか??)



「アラー、ほんとに大丈夫?さっきからぼーっとしてるけ ど・・・・・・」
「あ、アラー?」
「お前紙で指切ったら自分の名前も忘れたのか」
その声は男の声だった。目を開けると赤髪のが席の前からこちらに身を乗り出していた。


「うわ!!びっくりした!!」


たけるは、心底驚いた様子で赤髪の少年を見た。隣では茶髪の美少女が疑念と心配の目でコチラを見ている。


「お、俺の名前アラーじゃなくて・・・・・・、何だっけ?」

「紙で指切ってここまで記憶が抜けるのか」
「紙で指切るのとは関係ないでしょ」
少年と少女が話し合う。

記憶がどんどん消えていく。思い出そうとしたところを忘れ、ここは覚えていると踏んで、記憶の回路をたどるとまた忘れる。いたちごっこは終わらなかった。
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