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幸せのかたつぃ
作:きら☆


 まさか、密かに思いを寄せていた女の子に、告白されるとは夢物語の中でしか想像はしていなかった。
 僕はただ今、先週告白されたばかりの女の子と初デート中である。
 表向き上、同じクラスの級友程度としてしか彼女の事を見ていなかった僕にとっては(本当は大好きだった)、彼女から愛の告白を訊かされた時は、眼球が飛び出して危ない汁が飛散しそうなほど瞠目したものだ。告白されて改めて気付いたのだが、彼女は意外にも中心線の通った端麗な顔立ちをしており、世間一般的に言えば可愛いジャンルに含まれるだろう。その彼氏となれば鼻も高い。しかし、そう見えるのは告白された影響であり、僕の精神は一種の病に蝕まれている可能性も否めなくはないが、そこは物語の都合上考えないことにしたい。
 予め決めておいた駅に集合し、僕たちは雑踏を闊歩している脇役A、B的な存在として、町中を彷徨いていた。
「…………」
 典型的な引っ込み事案に属する彼女は、僕に告白した時点で気合いと言う名の有機物が燃え尽きたらしく、初デートである今、もじもじとこちらを窺ったりするだけで、恋人らしい会話が始まりそうな気配はさらさらない、で、僕と目が合うとはにかんだ笑顔を見せてくる。可愛いぞこの野郎。
 どちらかと言えば暑い32度の炎天下の今日はデート日和に持ってこいと言えるかどうか、いささか微妙なところで、僕個人の意見を述べさせて貰えば、降り注ぐ太陽さまさまは少し自重して頂きたい。彼女が白いワンピースなのは、僕が生粋のワンピース好きなのを知っていてのことか、まあそれはどうでもいいとして、ワンピース越しでもうっすらと滲み出ている汗を見る限り、一旦屋内に非難した方がよろしいのだろうか?
 行く場所はひとつしかない、と、スパっと決める決断力が僕には備わっていない。
「…………」
 苦にならない沈黙も彼女だからこそ、出せる類の物。しかし、このまま宛てもなく彷徨い続けるのは、節操がない(もちろん僕が)。初デートなら尚更だ。
「ねぇ?」
 僕たちはまだ今日は「おはよう」ぐらいでしか言葉を交わしあっていない。彼女もそこそこ緊張しているので様子なので、性別上男である僕が会話を始めるきっかけを作ってあげるのが人類普遍な常識だ。
「は、ははははい!」
 訪ねると彼女は無駄に声を張り上げた。
 一方の僕も、話しかけたところまではいいが、別段ネタを用意していた訳でもない。これでは甲斐性なしもいいとこだ。
 結局、だんまりしてしまった僕。
 そこで彼女が口を開いた。
「……よろしかったら、て、手でも繋ぎませんか?」
 内気な彼女だと思いきや、意外な大胆発言。彼女の見せてくれる笑顔で、一ヶ月はAVに頼らずに生きていける自信がある。
「いいよ」
 可能な限りの笑顔で、僕は彼女の手を握った。腕と腕が交差する恋人握りで。


 それからも僕たちは炎天下の中を黙って歩いていた。
 焦る必要はない。僕たちにはまだ先がある。
 今はただ、彼女と手を握り、笑顔の見せ合いっこ。

 それだけで、僕たちは幸せだった。


 1000字以内で書こうと思い、やってみればちょっと超えたが、そこは許容範囲。連載のプロローグ的な物語になってしまいました。


 人の幸せは人それぞれ。
 私の幸せは口内炎が無くなったと自覚した瞬間です。













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