第6話「つまりお前らに対しての容赦などしないという事だ」
前回までのあらすじ――――――
銘央大と大曜大の開幕戦。
序盤は金井、我妻が三振の山を築いた。
が、中盤からは我妻が打たれ始めた事や銘央打線の沈黙もあり、結果は2-0で大曜大の勝利。
しかし、これは銘央大と大曜大の対戦ではスーパーコメットリーグ開始以来最も小さな点差だという。
大曜大戦最少点差敗北という中途半端な原動力から、銘央大野球部はリーグ除外の危機から這い上がれるのか―――――
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8月、銘央大の野球場―――――
スーパーコメット夏期リーグは、最終戦を迎える。
ここまでは我妻が健闘するも打線が全く援護出来ず、ここまでの合計成績は0勝2分33敗。
しかも、最終戦の相手は総合優勝経験が1回あり、リーグ年間成績で6位以下になった事が無いという翠清大学。
銘央大のリーグからの除名がほぼ確定的な状況だ。
が、夏期の期間中にリーグ側が除外の条件を突然変更。
「リーグ年間で1勝も出来なかったチーム」に変わったのだ。
昨年なら既に除外されていたかもしれない。
しかし、今年こそは本当に除名のピンチ。
除名を回避するには、この最終戦を絶対に勝たなければならない。
そんな状況で、試合は始まる。
投げては俺が6回までノーヒットに封じる。しかし、問題なのは打線。
なのだが、今回の打線は違った。
5回にセカンドの大元が外野への安打を放つ。
その間に三塁ランナーがホームを踏み、銘央大が先制。
これで、1-0。
投手はというと、俺が翠清打線を抑えきって見事に完封。
1-0で、銘央大の勝利となった。
これで、リーグからの除外を免れる事が出来た。
「ま、まさか……夢ちゃうよな……?」
垣谷の目には、涙が流れ始める。
「よっしゃあああああ!」
1勝を挙げ、まるで優勝でもしたかの様な歓喜に沸く銘央大野球部。
しかし、除外の可能性があるのは来年も同じだ。