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  作者: 鵜狩三善


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順番

 祖父の体からは、いつも白々と煙が立ち昇っていた。

 勿論本当に燃えてなどいない。熱も匂いもない。

 確かめてはいないが、それはきっと僕にしか見えていない。

 それでも。

 僕たち孫を迎えて微笑む祖父の体からは、いつも白々と煙が立ち昇っていた。

 優しい祖父だったが、子供心にはひどくそれが恐ろしくて、僕は祖父母の家に行くのが嫌いだった。

 

 祖父が逝去すると、父の体から煙が立ち昇るようになった。

 当然本当に燃えてなどいない。熱も匂いもない。

 これも確かめはしなかったけれど、ひょっとしたら祖父の煙は、父にも見えていたのかもしれない。

 僕と父はしんみりと晩酌をするようになった。かつて、祖父と父とがそうしていたように、



 先日、その父が死んだ。

 気づけば煙は、白々と僕の体から立ち昇っていた。


 来年小学生になる妹の子が、僕を見て火がついたように泣き出した。

 多分、あの子にも見えているのだろう。

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2024/11/16 20:19 退会済み
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