挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

ブックマークする場合はログインしてください。

うさぎとくまのクリスマス

作者:秋原かざや
 白いうさぎさんは、くまさんに命をたすけられました。
 そのとき、うさぎさんは、くまさんにこいをしてしまいました。

 雨がふっている山道。
 そこを駆けていたうさぎさんは、大きな大きなくまさんに出会いました。
 くまさんは、どんなどうぶつでもたべてしまいます。
 だから、うさぎさんもたべられると思って。
 こわくて震えて、うごけなくなっていました。

 そのときです。
 山の上の方から、ごろごろと大きな岩が転がってきました。
 このままでは、うさぎさんがつぶれてしまいます!
 それを助けたのが、くまさんでした。

 ごろんとその岩を、うさぎさんをまもるように避けてくれたのです。
 きっと、くまさんの方へと転がってくる岩を自分で避けたのでしょう。
 でも、うさぎさんは、それがとくべつなことのように思えて仕方ありません。

 そのときから、うさぎさんはくまさんを見ると、どきどきするようになったのです。
 そう、うさぎさんはくまさんに、こいをしてしまったのです!

 その後。
 うさぎさんは、くまさんのところに行って、お礼をしにきたのです。
 ハチミツを片方の前足につけて、くまさんにあげようとしたのです。
 そこで、うさぎさんは気づいてしまいました。
 くまさんはうさぎさんを、たべてしまうことができるということを。
 ぶるぶる震えながら、ハチミツのついた前足を差し出すと。
 くまさんは優しくそれをなめとってくれました。
 しまいには。
「ありがとう」
 の言葉もうさぎさんにかけてくれたのです。

 その後も毎日のように、うさぎさんはハチミツを運びます。
 けれど、何度も行き来するのは大変です。
 それに気づいたくまさんは、こういいました。
「ここに住めばいい」
 最初、くまさんを怖がっていたうさぎさんでしたが、今ではちっとも怖くはありません。
 いつも一緒によりそって寝るようになりました。
 とても、とても幸せな日々を過ごしていました。
 くまさんも、うさぎさんのことを気に入ったのか、たまに山に行っては、うさぎさんの食べられる草や実をもってきてくれるようになりました。

 そんなある日のことです。
 にんげんたちが、楽しそうに話をしているところにそうぐうしました。
「もうすぐクリスマスだね!」
「サンタさんにお願いするプレゼントはもう決まったの?」
「あのね……」

 クリスマス?
 はじめて聞く言葉に、うさぎさんはどきどきしました。
 どうやら、クリスマスというのは、とくべつな贈り物をとどけること、みたいです。
 とくべつな贈り物。
 うさぎさんは、こいするくまさんに、もっともっとよろこんでもらおうと、プレゼントを考え始めました。
 何がいいでしょう?
 ハチミツはだめです。
 なぜなら、毎日、持ってきているからです。
 とくべつな贈り物ですから、とびきりとくべつなものでなければなりません。
 では、うさぎさんのすきな、にんじん?
 くまさんがにんじんを美味しそうに食べている様子は、みたことありません。
 それなら、くだものはどうでしょう?
 だけど、高いところにあるくだものを取るには、うさぎさんは小さすぎました。
 うーんと、川をながめていたときです。

 ぴしゃんばしゃん、じゃっぱーんっ!!
 おおきな鮭が下流から、のぼってきました。

 うさぎさんは、きゅぴーんと感じ取りました。

 こ れ だ っ !!

 その日から、ハチミツを届けてからというもの、川に行って、鮭を取りはじめました。
 けれど、なかなか捕まえられません。
 何度も何度もチャレンジして、やっと、やや小ぶりではありますが、一尾を手にいれたのです!
「あとはくまさんのところに持っていかないと!」
 しっぽを咥えて、一生懸命、運んでいきます。

 ずるずる、ずるずる、ずるずるずる。

「うさぎさん、うさぎさん。そんなおおきな鮭をどこに持っていくんだい?」
 きつねさんがうさぎさんに尋ねました。
「たいせつなかたに、プレゼントするのです」
「大変だねえ、手伝ってやろうかい?」
 うさぎさんは、きつねさんの目を見ました。
 どうやら、狙っているのは、うさぎさんの持つ鮭のようです。
 うさぎさんは、鮭を食べません。
 だから、手にいれようと考えているようでした。
「わたしのたいせつな方は、くまさんです。くまさんに手伝ってもらいますからいりません」
「なんだって、くまだって!?」
 うさぎさんの言葉にきつねさんは驚いて逃げてしまいました。

「うさぎさん、うさぎさん。そんなおおきな鮭をどこに持っていくんだい?」
 今度はたぬきさんがやってきました。
「たいせつなかたに、プレゼントするのです」
「うさぎさんだけで持つのは大変だ。手伝ってあげよう」
 そういって、たぬきさんは鮭を持とうとしました。
「ダメっ!!」
 ばしんとその足を叩きました。
 たぬきさんもまた、きつねと同じ目をしていました。
 明らかに鮭を狙っています。
 そんなたぬきさんに持ってもらっては大変です。
「なんだい、親切にしてやろうと思ったのに」
 たぬきさんは怒りながら、のろのろと山の方に向かっていきました。

「ほうほう、うさぎさん。その鮭をどこにもっていくんだい?」
 今度はふくろうさんが声をかけてきました。
「たいせつな方へのプレゼントなのです」
「なら、運ぶのを手伝ってやろうか?」
 ふくろうさんも、きつねと同じ目をしていました。
 うさぎさんは言います。
「わたしのたいせつな方は、くまさんです。くまさんに手伝ってもらいますからいりません」
 けれど、ふくろうさんはあきらめません。
「そんなこと言わずに、手伝ってやるよ」
「やめてっ!!」
 ふくろうのつめが、うさぎさんを切り裂きました。
 うさぎさんも低く飛んできたふくろうさんにとびかかり、噛み付きました。
「くそ、へんなうさぎめっ!」
 やっとふくろうさんも、どこかへ飛んで行ってしまいました。

 ずるずるずる。
 やっとこさ、くまさんのいるほらあなにたどり着きました。
 今は真夜中。
 寒いとうさぎさんは、体をぶるっと震わせました。
「遅かったな。どこに行ってたんだ」
 こんな夜遅くなのに、くまさんは起きていてくれました。
「メリークリスマス! くまさんへの贈り物です」
 うれしそうにうさぎさんは、くまさんの前に持ってきた鮭を差し出しました。

 でも、よく見ると、表はふくろうさんとの戦いで少し傷がついてしまっていました。
 また、その裏は、引き摺って持ってきたために、小石がこびりついています。
 うさぎさんはそれをみて、しょんぼりしてしまいました。
 これでは、くまさんはよろこんでくれないかもしれません。
 それに、鮭は小ぶりの大きさ。くまさんのおなかをまんぞくさせるほどではないのです。

「これはうまそうだな」
 ちょうど腹が減っていたんだと、くまさんは渡された鮭をもぐもぐ食べ始めました。
 傷ついた表も。
 石の付いた裏もぜんぶ、きれいに食べ切ってしまいました。
「すばらしい贈り物をありがとうな」
 くまさんはうさぎさんを優しく抱き寄せて、ほら穴の中へと入っていきました。

 そして、数日後。
 寝ているうさぎさんのそばに、にんじんが5本、置かれてしました。
 葉っぱに見たことのある噛み跡があったので、すぐに誰がくれたのかわかりました。
 すぐさま、うさぎさんはくまさんのところに行きました。

「すてきな贈り物を、ありがとう!」
 ぴょんと飛び込んでくるうさぎさんに、くまさんは少しおどろきましたが。
「喜んでくれたのなら、それでいい」
 そんなくまさんの言葉が、うさぎさんにはくすぐったく感じました。
 その後、くまさんとうさぎさんは、身を寄り添いながら、ゆっくりと瞳をとじました。
 そとでは、しんしんと雪が降ってきています。
 くまさんとうさぎさんは、こうして、幸せなクリスマスを過ごしたのでした。

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ