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2人の夢の指揮者のお話

ゆきのせかいの ~夢屋「melody」と冬の夢~

作者:咲熊

 挿絵があるので、イメージを崩したくない方は非表示でお願いします。
 冬は嫌いよ。

 皆寒いからってすぐ寝てしまうし、食べ物も全然取れない。
 何時も空腹に耐え、寒さに身を丸くするしかない。

 でも少しだけ冬には感謝しているの。

 だって私の大好きなお父さんが冬は寄り添って寝てくれる。

 そうしていると、ぽかぽか、ぽかぽか、って体が暖かくなって幸せな気持ちになれるの。
 その瞬間だけは、私は寒さを忘れる事ができる。

 そんな幸せな気持ちになれるから、冬には少しだけ感謝してあげるわ。









 とても寒い日のことでした。

 日は昇り辺りは明るくなったにも関わらず、凍えた空気は容赦なく町の人々をちくちくと刺します。

 そんな寒い日でも、その寒さを我慢して皆働かなくてはなりません。

 夢屋の少年もその皆のうちの一人でした。

(温かい布団でずっと寝ていたい……)

 そんな仕様がないことを考えがら、少年は今日も店を開けました。

(きっとこんな寒い日だ。皆寒さを嫌がって出掛けやしない。お客なんて来るはずないさ)

 しかし少年の予想に反して、その日はお客さんが現れました。

 それは稲穂のような黄金の髪をもつ少女でした。

 焦って駆け込んで来た少女に、少年はビックリしてしまいます。
 そんな少年にも気がつかずに、少女は彼に詰めより早口に言います。

「ねえ、夢屋さん。冬の夢を頂戴」

 金色のキラキラしたその瞳が少年を見つめます。
 少年はその一見元気の良さそうな瞳の奥に、焦りや不安、そして、恐怖といった負の感情を見つけました。

(なるほど。この子はきっとこの町に来て日が浅い子だな。この店の噂を聞いて焦って来たか……)

「……君には売れない、今の君に売るときっと冬の夢は悪夢になってしまう」

「なんで!」

「夢は君の心を正直に表すよ。君が気がついていない奥底に眠る心までね」

 頑なな少年に少女は怯んでしまいます。
 しかし、どうしても引けない事情でもあるのか、ぎゅっと手を胸の前で組合せ、必死な様子で叫びます。

「………でも、それでもっ!私は、春を探しにいかなきゃ行けないの!」

「………。冬の夢を見て春を探す………か。君は何だか、不思議な考え方をするね」

 少年はその必死な様子に溜め息を吐きました。経験上、こういうときのお客さまは皆ひいてはくれないと知っていたからです。

 こういうお客さまは、皆、皆、それが悪夢だと知りながら飛び込まずにいられないのです。

「分かった……どうしてもというのなら、この石を持っていって」

「これは何?石の中が光ってる?」

 まあるくてざらざらとした表面に、中側からほんのり光っている不思議な石を、少女は手渡されました。

「中に火が迷い込んだ珍しい石さ。きっと、これを持っていれば冬の夢がどんなに寒くても凍えることはないだろう」

「わあ!すごい、ありがとう!」

 少年は少女に青い飴玉を渡します。

「これを舐めると直ぐに眠くなる。そのまま眠気に逆らわずにベットに横になって。そうすれば、もう君は冬の夢の中にいる。よければうちのベットを貸すけどどうする?」

「直ぐに行きたいわ!ベットを貸してください」

 少女は飴の変わりにお金を渡すと、先にいく少年の後を追いかけていきました。

 少年はそんな慌ただしい少女を横目で眺めながら、ため息を吐きました。

「………大丈夫かなぁ」





挿絵(By みてみん)





 吹雪の中、少女は降り立ちました。
 白い雪の壁が少女の周りを通せんぼし、一歩一歩を踏み出すのにも苦労をします。

(さむい……)

 夢の中の筈なのに、何故か少女は寒くて寒くて仕方ありませんでした。

 手先がまるで自分の物でないような気がして、言うことを聞いてくれなくなります。

「ねえ、私の手。私の物ならちゃんと私の命令を聞きなさいよ」

 強がりを言っても、手は命令を聞きはしてくれません。

(ちょっと高圧的過ぎたかしら?)

 今度は、これまた中々言うことを聞いてくれない足に、少女は一生懸命に頼み込みました。

「ねえ、私の足。お願いだから今だけは私の命令を聞いて」

 すると少しだけ足は軽くなりました。

(これなら歩ける!)

 少女は一歩一歩ゆっくりとですが前に進みました。

 何処へ行けばいいのか少女は知りません。
 何処へ向かっているのかも少女は知りません。

 ただ、その雪の壁に立ち向かえば、きっと春が現れてくれると信じて突き進みます。

 そうやって飽きもせず白い壁へと体当たりするように歩いていたら、次第に変化が現れてきます。

 それに少女は嬉しそうに叫びました。

「白い壁が消えた!」

 少女が降り立ったそこは丘の上でした。
 白い雪の壁はどこへいったのやらその姿を隠し、辺りは真っ青な空に囲まれています。

 刺すような寒さは和らぐことはありませんでしたが、それでも太陽の光が差し込んでいるだけで、充分その場所は輝いて見えたのです。

(きれい……)

 辺りの木々も土も全てが氷で覆われ、太陽の光を浴びて、色々な色を宿して輝くそこは、少女の想像以上に綺麗な光景だったのです。

 そんな少女の目先に一つだけ。氷に覆われた小さな花がありました。

 不思議なことに、花は雪が溶けてからしか芽吹かないのに、なぜたかそれは既に咲いている様です。

「まさか、あれが春かしら?」

 少女が凍った花に駆け寄ろうとした時です。

 少女の背後に恐ろしいものが現れました。

「ヴオオオオオオ」

 そいつは吹雪の様な声を唸らせて現れました。

 そいつは少女よりも何倍も大きな雪の怪物でした。

 雪の怪物はその口から吹雪を撒き散らしています。

(きっと、あの雪の壁はこいつが作ってたのね!)

 少女に雪の怪物が襲ってきます!

 雪の怪物は熊のような獰猛な氷の爪を持っていました。

 そのぎらぎらと尖った氷の爪が少女に迫ります。

 少女の凍えて中々命令を聞いてくれない手足では、その氷の爪を避けることは出来ませんでした。

 力弱い少女は呆気なく雪の怪物に倒されてしまったのです。

 少女の体はそこへ横たわりました。

 そんな少女体のの上には静かに雪が降り積もります。少女はすっかり雪の布団に包み込まれてしまいました。

(くらい、つめたい、さむいよぉ………お父さん。お父さん。さみしいよぉ)

 そんな少女が雪の布団の中思い出したのは、やはり、彼女の父親に他ならないのでした。








 寒い。冷たい。

 世界中が私を寒さで刺してきます。

 暗い。怖い。

 私の瞼は力を失い、段々私はなにも見えなくなっていきました。

(だから、冬は嫌いなのよ)

 私の頬に一筋の涙か流れたその瞬間、私の暗い視界がぐるりと周りました。

 場面は暗転し、私は混乱してしまいました。

 私が驚きながらも、そっと目を開けて最初に見たのは、雪で包まれた地面を踏みしめる、稲穂色の毛に包まれた私の手足でした。

(この手は……私があの町に来る前の手だ)

 まあるく弧を描き横を向いていた耳は、奇麗に三角に尖がって上向きに。
 なんだか鈍くて小さかった鼻は、つんっと尖がってよく効く鼻に。
 黒目の小さ見通しの悪い目は、視界が広く見渡せる大きな瞳に。
 平らですべらかだった歯は、ギザギザにとがって獲物を捕らえられるように。
 いつの間にか無くなっていた尻尾は元に戻り、頭にしか残っていなかった体毛はしっかりと全身を覆っています。

 私の姿は、人の姿から本来の狐の姿へと変貌していました。

(……夢の中だからかな?)

 びっくりして止まってしまった私の視界の端に、ちらっと黄金色が輝きます。
 私の毛より少しくすんだその懐かしい色に、私は反応しました。

 私は目の端に移ったその色に、自分の姿の変化なんてどうでもよくなってしまって、その黄金色へと走り寄ります。

 私は前足を精一杯動かして、それの尻尾を追いかけました。

「お父さん!待ってよ、お父さん!」

 どんどん離れる私とお父さんとの距離に、私の喉は不安になって悲鳴を上げました。

 このまま追いつけなかったらどうしよう。
 このまま離れてしまったらどうしよう。
 このままずっと会えなかったらどうしよう。
 一人でずっと、ここを彷徨うことになったらどうしよう。

 私はそれが不安で不安で仕方なくなったのです。

 そんな私の情けない悲鳴に、父さんはなんでもない顔して振り向きます。

「おお、ごめんよ***」

「もー!父さん!私の歩幅をいつも考えてくれないんだから!」

 何故だか、私の口は勝手に言葉を発しました。
 言いたいことは他に一杯あったはずでしたけど、何故だか私の口は思うようには動きません。
 私の口は私の命令なんて無視して、滑らかに言葉を発しました。

「そもそも、こんな寒い中、春を探しに行こうって無理やり私を連れだしたのは父さんなんだよ?もうちょっとこっちを気遣ってくれても良いじゃない」

「ごめん、ごめんって、***。お前はいつまでもチビだなぁ」

「私がチビなんじゃなくて、お父さんがデカなの!」

「はっはっは。そうかそうか。それはすまないねお姫様」

「また、からかってる!」

「ははは!」

 私は思い出しました。
 この会話には覚えがあります。

 これは私があの町に来る前のことでしょう。
 まだ、私がただの狐であった頃の記憶です。

(これも、夢なのかしら?それにしては私の記憶そのまんまだわ)

 この日、私はとても落ち込んでいました。

 仲間の狐たちに母親が居ないことを馬鹿にされたからです。
 私のお母さんは私を生んで死んでしまいました。お父さんからその時のお母さんの決意や気持ちを言い聞かされて育った私は、そのことを馬鹿にされることが我慢ならなかったのです。

 その上さらに、彼らは父さんのことも馬鹿にしました。

『お前は片親だからなぁ』

『あいつがしっかりと餌を食わして無いからそんなに小さいんだろ?』

『だから未だ狩りもできないんだな!』

『お前の親はどんくさいからなぁ。狩りが下手な血筋なのかもな!』

 彼らはそういって楽しそうに笑うのです。

 彼らにそんなに悪気は無かったのだろうと思いますが、私はそれがどうしても許せなかったのです。
 だからつい、彼らを自慢の爪でひっかいてそのまま逃げるように家へと戻って不貞腐れていました。

(あの狐たちはなにがそんなに嬉しかったのかしら。お父さんの苦労も知らないで、好き勝手に言って!)

 私は自分の寝倉の隅で一人でまるくなって悔しさをかみ殺していました。

 お父さんは私が具合が悪くなったのかと思って気にかけてくれましたが、私はなんだか、このもやもやとした気持ちをお父さん本人に伝える気がなく、だんまりを決め込みます。

 お父さんは、そんな風に意地を張っている私に気が付いていたのでしょう。
 彼は唐突に提案しました。

『***!春を探しに行こう!』

『いやよ、そんな気分じゃないの私』

『いいから、いいから。山の麓にはもうそろそろ春が訪れるんだ。この山の獣の中で一番に春を見てやろう。一番だ、一番!ほかの誰もまだ見つけてないんだぞ?自慢になるだろう?そうすればお前の暗い気持ちなんてすっ飛んで行ってしまうに決まっているさ!』

 そうして、お父さんは私を無理やり引っ張って冬の山へと繰り出したのです。

 そうやって過去の記憶を遡って行っていた私は、あることに気が付いて身震いしました。

 この後に起こることを思い出してしまったのです。

(ああ、ダメ。このままではダメ。きっとこの後にはあれが襲ってくる)

 私は夢屋の少年の言葉を思い出していました。

『きっと冬の夢は悪夢になってしまうよ』

 夢屋の少年は私にしっかりそう忠告してくれていました。

(……こういうことだったのね)

「ヴオオオオオオ」

 遠くから遠吠えの様な音が聞こえました。

「………っ!狼か?熊か?」

 お父さんは警戒して辺りを見渡し始めました。
 私たち狐は確かに肉食獣ですが、自分達より大きな獣にはどうしてもかないません。
 ですから、森を歩くときは警戒を怠れません。

 私は怖くなってお父さんにすりよりました。

「ごめんよ、***。少し様子を見てくるから、あっちのほうで隠れていてくれるか?何か、可笑しいんだ。全然獣の匂いがしない………」

「うん………」

 私は心細くなって喉を震わせながらも、父さんの言いつけを守って木の影に身を隠してしまいました。

 体も心も、まるで私の過去に飲み込まれたように私の命令を聞いてはくれません。
 私はこの後の最悪な結果を知っているにも関わらず、その結果を避けることが出来なかったのです。

 木の陰に隠れる私を確認したお父さんは恐る恐ると辺りを確認しに私から離れて行きます。

 私の口は相変わらず勝手に言葉を紡ぎます。

「………狼や熊の匂いはしないわ?………その代わり、何だか急に冷たくなったような………?寒い風が山の上から降りてきてる………?」 

(ああっ!ダメ!)

 私が不穏な気配に気が付いて山の上を仰いだ時でした。

 私のすぐ目の前に雪の化け物の牙が迫っていました。

 反応することも出来ずに、私はその雪の化け物に喉笛を噛み千切られたのです。

「………***!」

 お父さんが私の名を呼ぶ声が遠くに聞こえます。

 私は雪崩に巻き込まれて、父さんと離ればなれになってしまったのでした。









 目を開けても暗い雪の中。

 夢の中の追憶から戻っても、未だ少女は雪の布団に飲み込まれたままでした。

 寒くて寒くて仕方がありません。

(私………このままなのかな?ずっとこの寒くて暗いとこに居なきゃいけないのかな?)

 少女は不安で不安で仕方ありません。
 これが夢だということも最早忘れて、わんわんと泣きじゃくりました。

 その頬に伝う涙だけが、ほんのりと暖かったのが微かな救いでした。

 その時でした。

 そんな少女の耳に音楽が聞こえます。

(何の音だろう?)

 耳をすませば、それは少年からもらった火の石から聞こえてきます。

 聞き覚えのある曲です。ちょっとへたっぴな懐かしい曲でした。

(ああ……確か、お父さんの歌だ)

 馬鹿みたいににこにこして、楽しそうに踊りながら歌う父狐を少女は思い浮かべました。

(春の訪れを祝って、お父さんがいつも歌う曲だ)

(ああ、とってもあったかい……)

 火の石を抱えるように握りしめると、ぽかぽか、ぽかぽかと、冷えた体が温まってゆきます。
 その感覚はまるで、寒い夜に父狐が寄り添って寝てくれた時のようだったのです。
 少女は父狐が傍に寄り添ってくれているような気がして、安心しました。

(お父さん、お父さん、どこにいるの?私はここよ、早く迎えに来て)

(早く来てくれないと、私、また泣いてしまうわ)

「……!」

「……!」

「……どこにいるんだ、***!!」

 泣き叫ぶような父狐の声が少女に届きました。

(……来た!)

 少女も泣きそうになりながら叫びました。

『お父さん!!私はここよ!!ここにいるの!!』

「……***?***なのか!?」

 黒で染まった視界の端に白い光の筋が現れます。
 雪で埋まった少女の体を父狐が掘り返しているのです。

 そして、その白い光の穴はだんだんと大きくなります。
 そこからは少女よりもっと泣きそうな顔をした父狐の顔が現れたのでした。

「ああっ!***、本当に***なんだな……これは夢ではないんだな……」

『お父さん!』

 これは、厚く厚く積もった雪が解け、色とりどりの花々が控えめに覗く地面から顔を出した頃のお話です。

 父狐は娘の骨を大事そうに胸に抱き、大粒の涙を流したのでした。

「ああ、やっと、見つけた。やっと出会えた。ずっとずっとお前を探していたんだ!」

「ごめんね、寂しい思いをさせたね。もう一人にしないから、ゆっくりお休み」

 父狐は娘の死体にそっと寄り添いました。

 ぽかぽか、ぽかぽか、と少女の胸の奥が温かくなります。

『お父さん、春だね』

「ああ、もう、そこらじゅうに春が咲き誇っている」

『ううん、違うの。それもそうだけど、違うの』

 少女はふるふると、首を振ります。
 そして、花咲くように笑っていいました。

『お父さんが春みたいに温かいね』





挿絵(By みてみん)





 眠る少女そばに、夢屋の少年は心配そうに付き添っていました。

 少年には、少女の夢がとんでもない悪夢になるという確信があったものですから、いくら本人が望んだからといっても、素直に夢を売ってしまったことを少し後悔していたのです。

 商売人としてはお客さまが店の物で被害をこうむることなんてとんでもなく、危ないときは断るべきだったのです。
 しかしあの時、少年個人としては必至な少女に冬の夢を見せたやりたいと思ったのです。

 それになんだか直感が少女に夢を見せるべきだと言っていたのも、少年が夢を売ることにした一つの理由でした。

「うーん。うーん。でもなぁ」

 少年は世話しなく動き回ります。

 その時、寝ていた少女の瞼がピクリと動きました。

 そして、そっとその目を開けます。

「あっ!………おはよう目が覚めた?」

 夢屋の少年は内心ドキドキしながら少女にそっと訪ねました。

「おはようございます」

「………どうだった?怖くはなかった?」

 この町に来たばかりの住人は、時たまとんでもないことをやらかします。

 その結果、心が黒く染まってこの町にいられなくなる例を少年もたくさん見てきました。

 少年は少女が悪夢のせいで、心が黒くなってしまっていないか気が気じゃなかったのです。

 そんな少年の怯えを拭うように、少女はふんわりと笑顔になって言いました。

「はい……!とっても幸せな夢をみました」

 そして、花咲ように笑うのです。

「春に、出会うことが出来ました」

 その嬉しそうな笑顔に、少年はほっと、胸を撫で下ろしたのでした。

 そしてにこにこと暖かく笑う少女につられて、少年もニッコリ笑いました。

「それは良かった!………どんな春だったの?」

「ぽかぽかと暖かくて、いつも私のそばにいてくれる。そんな春に出会ってきました!」

「そっか、そっか。本当に良かったぁ」

 どうやら少女の心が黒く染まる心配は無さそうでした。

(むしろ……)

 少年は眩しそうに目を細めました。

 何故なら少女の元々輝くような稲穂色の魂が、以前にまして温かい輝きを放っていたからです。

(どうやら、このお客さまには良い夢をご提供できたみたい)

 外は雪が降り始め更にその寒さを増しましたが、少年と少女のいるその場には、ぽかぽか、ぽかぽかと温かい幸せそうな暖かさに包まれていたのです。








 いらっしゃいませ。
 ここは夢を売るお店。

 生き物は夢を見ます。
 起きているときも、寝ているときも。
 生きているときも、死んでいるときも。

 そう、ここは死者の町。
 ここは死者の町の夢屋「melody」。

 貴方に素敵な夢を見せましょう。
 貴方を素敵な夢で魅せましょう。

 さあ、そこの死んでしまった貴方。
 現世へ後悔はありませんか?夢でも良いから会いたい人は居ませんか?

 死者の夢は特別製です。
 なんと、場合によりますが、現世への扉が開くことが出来るのです!

 望めば貴方はいつだって夢を見れる。

 夢屋「melody」の扉は何時でもどんな生き物にでも空いています。

 さあ、貴方に素敵な夢の世界をご案内しましょう!



挿絵(By みてみん)




 ゆきのせかいの「春」のお話でした。

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