モテない男が手にした物(3/12)縦書き表示RDF


斎場に残してきた由希の元に急ぐツナ!はちゃめちゃなトラブルもあるがジャイブの機転により救われる・・・。果たしてツナの運命は・・・・??
モテない男が手にした物
作:K.KAIL



3話:初めての指きりげんまん


大急ぎで朝刊配達を終わらせて部屋に戻った僕とジャイブ。早く斎場に行かなきゃ・・・。

「さあさあ急げ急げ〜!由希ちゃんが待ってるんだろ〜〜??」

『わかってるよ〜・・。でも少しでもマシな格好してかなきゃ・・・また由希さんに引かれちゃうじゃないか〜!』

「・・・・・・こんな時にめかしこんで行くのも変だと思うぞ・・・。」

ジャイブのぼやきを無視して僕はパンツからシャツからズボンまで買ったばかりの新しいものに着替え、リュックの中にジャイブを入れてカブにまたがった。

時間はまだ朝5時。車も少ないし走りやすい時間だった。ほどなくして僕らは斎場に着いたんだ。

練の棺の前でもたれかかるように眠っていた由希さんを見つけた。

お化粧も落ちてすっかり目も腫れている。よっぽど泣いていたんだろうなあ。

「オマエ、気が利かないなあ〜・・ほら、そこに膝かけ毛布が置いてあるじゃねえか!それをかけてやるんだよっ!」

リュックの中から顔を出したジャイブが僕にさっそく喝を入れる。

『わ、わ、わ、わかってるよお・・・・』

僕は毛布を1枚取ってそっとかけてあげるんだけど・・・・

『き、き、き、緊張で・・・手・・・手が震える・・・・』

「バカバカっ!緊張するとこじゃねえだろっ!オマエそこで変なとこ触ったりしたら文字通りブタ箱行きだぞっ!!」

『だ、だ、だ、だって・・・』

目の前で眠る由希さんの吐息が指に当たるんです。僕はもう緊張がピークに・・・。その時でした。

「きゃっ!ツナ君?!あなた何してるわけっ?!」

ま・・・マズイ・・。これは確実に僕が変態扱いされるパターンでは・・・。

「こんな時に・・・・変態っ!!」

・・・・・・・・ほらね・・。もう練が亡くなってもこういう役回りは変わらないんだ。

絶望しかけたその時だった。

「にゃ〜ん」

「え??」

リュックからジャイブが顔を出して事もあろうか由希さんに甘えるのです。

「やだ・・・このこったらあ・・。超カワイイ。慰めてくれるの??優しいね。」

そしてジャイブが毛布に包まると由希さんがようやく気付いてくれたのです。

「もしかしてこの毛布・・・ツナ君が?」

『あ・・・いや・・・その・・・』

「なんだ〜・・早く言ってくれればよかったのに・・・。ごめんね。勘違いしちゃって・・。ありがとう、ツナ君!」

『いや・・・・いいんだよ!きき気にしないで!』

ジャイブを見ると彼の目はこう言っていた。

「これでおお〜〜〜〜きな貸し一つだぜ?むはははははは〜〜!」

ジャイブの効果もあってか少し由希さんが明るくなった。告別式が始まるまで僕らはいろんな話をしたんだ。

でもほとんどが練の話だったなあ。寂しいような仕方ないような・・。あ、ジャイブの話はその次に多かったんだよ。でもさすがに人の言葉を喋る事は内緒にしたんだけどね。

「あたしもね、両親いなくてさ。孤児院出てず〜っと一人で生きてきたの。誰にも頼らないで生きる自信があったけど・・。あたしやっぱ弱くてね、そんな時にいてくれたのが練だったんだ。あの人は人のためなら自分の犠牲を厭わない人だったから・・。」

『僕も一度ね、バイトでミスした時に監督にすごい殴られたんだ。そんな時に練は僕を助けてくれて・・・監督さんをボコボコにしてバイトをクビになっちゃったりして・・・熱いヤツだった・・。僕には絶対マネできないもん。』

「これからはあたしもツナ君も練に頼らずに生きてかなきゃならないんだもん・・お互いファイトだよ!はい!練の前で約束っ!」

『う・・・・うん・・・。』

「ゆ〜びき〜りげ〜んまんう〜そつ〜いた〜らハリセンボンのーますっ!ゆびきったっ!ねえ・・・・練・・・見てて・・・くれた・・・??」

由希さんはまた涙を流し始めた。僕らは練の眠る棺の前で指きりげんまんをしたんだ。女の子と指きりしたのも約束したのももちろん初めてだよ。僕もそこで練の眠る棺に向かって誰にも聞こえないくらい小さな声で言ったんだ。

『練・・・・僕、必ず変わるからね。』

「カッコつけてねーでせいぜいハリセンボン飲まなくていいようになんとかしろってーの・・・・」

ジャイブが僕の後ろでさり気無くぼやく。

『うるさいなっ!今いいとこなんだからジャマすんなよっ!』

「??ツナ君何一人でぶつぶつ言ってんの??」

『あわわ・・・・う・ううん!なんでもないんだっ!』

こんな調子で今日も太陽は昇るのでした。練、天国でも・・・元気でね。















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