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風竜の俺と竜騎士な君 作者:空色蜻蛉

Act.03 パートナー契約?それって食べれるの(と惚けたい)

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番外編 にゃんこ


 夏寮の出入り口は、正面玄関と、食堂と繋がっている裏口の2つある。

 最近カケルは、同じチームのストロベリーブロンドの女子生徒イヴを避けているのだが、今もイヴから逃げるためこっそり裏口から出ようとしていた。
 さりげなく席を立って、食堂の奥に進む。
 裏口の重い扉を静かに開けて外に出る。
 外は夕闇に沈んでいた。

「あれ? オルト」

 どこかで時間を潰してから寮の自分の部屋に戻ろう。
 そう思ったカケルは歩き出そうとして、裏口の明かりの下に、見慣れたルームメイトの姿を発見した。
 明かりの下には獣人の友人の他に、小さな生き物が数匹うずくまっている。

 猫だ。

 この世界でも愛玩動物として、犬や猫を飼う習慣があるが、地球ほど多くはない。特にエファランではモンスターの脅威があり、無力な犬猫はモンスターの餌になってしまう。
 それでも王都レグルスともなれば、富裕層はペットを飼っているし、捨てられた猫が公園で繁殖していたりもする。
 学校の周囲にも猫がうろついているのを、カケルは知っていた。
 オルタナはしゃがみこんで野良猫に餌をやっている。

「おおー、にゃんこだ」

 無言で猫と戯れている友人の姿に、カケルはふらふら近寄って自分も猫を触りにいった。
 猫や犬は竜を恐れて逃げる場合もあるのだが、この猫は慣れているのか逃げなかった。
 カケルも思う存分猫を撫でる。
 猫に出くわす機会は少ないし、竜のカケルに撫でさせてくれることは滅多にない。
 この機会に、滑らかでふかふかの猫の毛並みを堪能する。

 そのうちに餌を食べ尽くした猫達は、別れを惜しむカケル達を残して四方に散っていった。

「あー、もう少し撫でてたかったのに……そうだ!」

 残念そうに両手をワキワキさせて、カケルは後片付けをしているオルタナに声を掛けた。

「オルト、変身して撫でさせてくれよー」
「絶対にお断りだ」

 オルタナは超絶嫌そうな顔をした。
 この友人は獅子の姿に変身できる獣人だ。
 前に一度だけ見たことがあるが、金色の毛並みがふさふさで、見事な鬣があった。
 思い浮かべるとちょっと撫でさせて欲しくなる。

「えー、けちー。減るもんじゃないのに」
「減るわ、精神的に。考えてもみろ、お前だって竜の姿になるだろ。男に撫で繰り回されるところを想像してみろ」

 想像してみた。
 …オルタナの言いたいことは分かる。
 自分が男に押さえ付けられて撫で回されるところを想像すると、凄く気持ち悪い。鳥肌が立つ。

「…はあ。女子ならまだとにかく」
「うん、女子ならいいよね」

 想像してみる。
 例えば、綺麗なお姉さんに抱き着かれて撫でられるシテュエーション。おっぱいがあたったりすればなおよい。
 細くて柔らかい指で撫でられるなら、天国気分だ。
 男子二人は束の間、幸福な想像に浸った。



「……そんなに撫でて欲しいなら、撫でてあげましょうか」

 気がつくと、裏口にイヴが立っていて。

「女子なら誰でもいいの?」

 その隣で、リリーナが小首を傾けて微笑んでいる。



 カケルはオルタナと顔を見合わせた。



「何の事だかさっぱりだなー、あはは。さらばっ!」
「急用を思い出したぜ」

 男子二人は可及的速やかに撤退した。
 竜と獣人が本気でダッシュしたら、人間には追いつけない。
 イヴとリリーナは冷静に後ろ姿を見送る。

「……あいつら、馬鹿なの。本気で撫でて欲しいのかしら」
「でもちょっと興味あるよ、獣人の毛並み。契約したりして、付き合ってたら撫でさせてくれるんだって。そこらの猫よりふかふかだって母様が言ってたわ」
「そうね。竜の冷たくてツルツルした鱗も捨てがたいわ。その辺の一般騎竜を捕まえて、撫でさせて貰う訳にもいかないわよね」
「うん、パートナー以外の人の変身した姿を撫でたら、ただの変な人だよ」

 密かに需要と供給は一致しているのだが、だからと言って仲良く撫で合いっことはいかないのが現実だ。
 女子二人は溜息をついた。






 
いつもご拝読ありがとうございます。
感謝の気持ちも込めて小話を入れました。

この世界って動物に変身したりできる訳ですけど、撫でてみたいですよねー。
けど、動物じゃなくて人間である以上、撫でられるのは抵抗ある訳で。
にゃんこで思いついたので撫でネタで話を書いてみました。

カケルの阿呆っぷりが書いていて楽しいです。
彼の抱える内面の暗さと、明るい外面のギャップが魅力なんだと思います。
これからも一緒にカケルの奇抜な行動を愛でてやってください(笑)
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