挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
風竜の俺と竜騎士な君 作者:空色蜻蛉

Act.02 竜になったはいいもののパートナーを選べと言われて悩む俺

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

25/160

12 追いかけっこの始まり

 翌日、目が覚めたイヴは、副寮長のイリアに昨夜のことについて、説明を受けていた。

「昨夜、貴女がデュオに眠らされて連れ去られそうになっていたところを、寮長のセファンが気付いて助けました」
「ありがとうございます」

 イヴの記憶は、デュオに呼び出されて寮の外で話している途中で途切れている。朝、目が覚めて、昨日の格好のままで衣服を脱がされたりした形跡が無いことに、彼女は心底安堵していた。

「デュオ先輩はどうなるんですか?」
「どうもなりません」
「え?」
「残念ながら、未遂で終わり、デュオもさっさと姿を消したので、彼の仕業だという証拠は無いのです」
「そんな……」

 何も無かったことにするしか無いらしい。イヴにとっては腹立たしい限りだ。イリアも冷静な口調ながら、その瞳には剣呑な光が宿っていた。

「あの男は毎回捕まるすれすれで上手いこと逃れるのです。イヴさん、次に機会があったら、私達で捕まえてやりましょう」
「はい!」

 女子二人は意気投合した。

 そしてその日の午後、食堂で、カケル達チームメンバーは歓迎会後初めて4人揃って全員集合した。

「じゃあ、これから私達で小隊組むってことで良いんだよね」

 リリーナが首を傾げると、オルタナが頭の後ろで腕を組みながら同意した。

「いいんじゃねーの。ま、そっちのお偉い優等生様が俺らのペースに付いてこれるんならな」
「貴方達に合わせてあげてるのよ。何か不満でも?」
「へーえ」

 厭味ったらしく笑うオルタナとイヴの間で火花が散る。
 どうやらこの2人は顔を合わせると喧嘩になるようだ。ふわふわ笑って見ているカケルに、リリーナが声をかける。

「カケルもいいよね、リーダー」
「え? リーダー?」

 きょとんとするカケルは自分を指差して聞き返す。

「お前がリーダーだろ。どう考えても」
「ソレルよりかはましね」

 いがみ合っていたイヴとオルタナも、こればかりは息が合ったように賛同する。
 カケルは面倒臭そうにブーイングした。

「えーっ? イヴかオルトがやればいいじゃん。なんで俺…」

 ぶちぶち言うカケルは、だからと言って席を立ったり逃げたりするつもりはなさそうだった。
 リリーナはカケルが妙なことを言い出す前にと、すかさず話題を変える。

「そういえば、同じチームになったし、イヴとカケルは契約するんだよね?」
「え?」

 いきなり核心に触れるリリーナに、イヴはがたりと椅子を揺らして動揺し、僅かに頬を赤らめた。対してカケルは目をぱちくりさせて、のんびりと言う。

「俺、イヴと契約するつもりないけど」
「はあ!?」

 思わずリリーナは声を上げた。大体チームを組んだら、仲の良い男女の竜と竜騎士は契約するものと相場が決まっている。
 そもそも今回バラバラだったチームメンバーを纏めたのはカケルだ。デュオのところからイヴを取り返して一緒に空戦をしたのだから、リリーナやオルタナから見れば、イヴと契約というのはおかしくない流れだった。

「契約する気がないなら、なんでイヴと一緒に戦ったのよ!?」

 リリーナがイヴの心の声を代弁してくれる。

「なんでって……鍵全部集めたら、単位貰えるって話だったから、堂々とサボれるかなあと」
「それだけ!?」
「うん。俺、昼寝しても咎められない、いい感じに膝枕してくれるお姉さんと契約したいなぁ」
「……」

 イヴは拳を握って震えた。
 ちょっと良いかな、と思った昨日の自分の純真を返して欲しい。何がお姉さんだ、膝枕だ。結局寝ることしか頭にないのか。

「いっぺん、死んでこいっ!」
「ぐふぅ」

 怒ったイヴが食堂の椅子を蹴倒し、カケルを床に転がした。彼女は床で呻くカケルを踏み付けると、足早に食堂を後にした。

「イヴ! ああ、なんでこんなことになるの」

 嘆くリリーナはイヴの後を追って食堂を出ていく。
 後には床に転がった椅子とカケルが残された。
 痛みに呻くカケルの横に、オルタナが茶を飲みながらしゃがみ込む。

「お前なあ。確かにお姉さんの膝枕は俺も憧れるけどよ、ありゃないだろ。俺はあの馬鹿女に同情するぜ」
「オルト……どこかに俺を慰めてくれる大人のお姉さんはいないかなあ」
「何言ってんだよ馬鹿…」








 Act.02 竜になったはいいもののパートナーを選べと言われて悩む俺 完

 Act.03 パートナー契約?それって食べれるの(と惚けたい) へ続く


第三章は少し趣を変えて、オルタナとリリーナの話になります。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ