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「こんにちは、運転席どうぞ」

「はーい」



あれから一週間くらい経とうとしている。

彼女とはしばらく会えてない。
たくさん話したい、聞きたいことは山のようにあるのに。


『今月中には免許取れるね』
『あ、でも私しばらく来ません』
『はぁ!?何でよ!』
『何でもなにも…テストですもん。テスト明けには部活も始まりますし』


テスト、ね。
今日の生徒だってテスト期間真っ只中らしいのに。

「良いの?勉強しなくて」

「だって家にいたって勉強しないですもん」

「俺も学生の時そんな感じだった。家じゃ勉強しないけど、かといってわざわざ学校に行ってまで勉強する気にならないんだよね」

「ですよねー」


楽しいよ。楽しいけど…

物足りない。アレに勝る刺激がない。



「はい、原簿返します。
お疲れさまでした、忘れ物無いようにね」

「はーい!」



違う、何か違う。

作らない可愛さとか、狙ってるのかと聞きたくなる面白さとか、別に求めてる訳じゃないけど…


何かにつけて彼女と比較してしまう。

この子は彼女より教養がないとか、この子は彼女より地理を理解してるとか。


そして、生徒への指導中ですら考える。
彼女は今どこにいて何をしているのか、と。



彼女はアルコールか?そして俺はアル中か?

自嘲するように笑い、下山方面行きのスクールバスに目をやる。

勿論そこに彼女の姿はない。



彼女が誰よりも近く、誰よりも遠い存在に感じた。




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